第6章「牛鬼編」
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夏目先輩はいつも笑顔で優しそうな人だけど、どこかミステリアスで話し掛けにくいというか、他人を寄せ付けない雰囲気の人だと噂されていた。
あの笑顔はどこか嘘っぽく、近寄り難いのだとか……
そんな噂を俺は聞いていた。
「前に興味本位で夏目先輩を見に行ったんスけど、そしたら噂以上に美人でびっくりしたんスよ!」
「……島くん、話が逸れてるよ。」
「あ、すみません。」
んで、俺が先輩に見惚れ……ごほん。見ていたら、二年生に話し掛けられたんス。
そん時に夏目先輩が霊的なものが視える人だって噂を聞いて、んで、こんな噂も聞いたんスよ……
夏目先輩は親に捨てられたとか、両親を無くして親戚の家をたらい回しにされてるとか、そんな噂が流れていると……
「そんなのただの噂じゃないのか?」
「私、夏目先輩は美人だけどちょっと変わり者の先輩って話しか知らないわよ?その噂本当なの?」
「俺にその噂を教えてくれた先輩が今年合併になってから来た先輩で、しかもその先輩は去年夏目先輩のクラスメイトだったらしいから、信憑性は高いぜ?何でも去年の夏頃に転校してきた季節外れの美人転校生ってことで噂になったらしいし……」
「「……」」
島の話を聞いて、誰もが彩乃に同情的な想いを寄せる。
「……私、夏目さんがそんなに大変な家庭環境に身を置いていたなんて知りませんでした。」
「氷麗……」
(それは僕もだよ……)
夏目先輩は妖怪にだって優しいから、素敵な家族にとても大切に育ててもらったのだと勝手に思い込んでいた。
「それに……こんな噂もあるんス。夏目先輩はよく一人で挙動不審になったりと変わった性格の人だから、親戚にずっと家庭内暴力を受けているんじゃないかって……その証拠に、いつも怪我してるらしいですよ。」
「それは無いんじゃないかな!?」
「何だよリクオ。何でお前がそんな事言えるんだ?」
「だってそれは……(たぶん友人帳関係で妖怪に襲われてだと思うし……)」
とは言えないリクオは、どうしたものかと言葉に詰まった。
この前の夏目先輩の妖怪に対する無謀さなら、きっと過去に何度か怪我を負うような事はあるだろう。
ただの憶測だが、彩乃の居ない所で勝手にそんな話をして欲しくなかった。
「夏目さんはすごくおっちょこちょいなのよ。」
「及川さん?」
リクオがどう誤解を解こうかと困っていると、氷麗が助け舟を出した。
「よく段差のない所で転ぶって本人が言ってたわ。」
「へえ~、及川さんて夏目先輩と親しいんやね。」
「えっ!?ええ、そうよ!」
「……氷麗……」
助かったけど、先輩がドジっ子だという誤解が生じてしまった。
まあ、氷麗なりに先輩を気遣っての手助けたのだろう。
「……それにさ、先輩のいない所でこういう話するのって良くないと思うんだ。気になるなら、本人に直接訊いた方がまだいいと思うよ?」
「うむ、確かに奴良くんの言う通りだな。」
「そうね。こういうのって良くないわ。」
リクオの言葉にみんながそうだなと納得していく。
誰だって、自分の居ない所で勝手に踏み込んだ話をされるのは嫌だろう。
「……しかし、そうか。そんな事情なら、無理に誘えないな。」
「そうッスね、清継さん」
「だが、実に惜しい人材だ!……そうだ!!」
「「?」」
清継は何かを閃いたようにとてもいい笑顔を浮かべ、清十字団のみんなは不思議そうに首を傾げるのだった。
*****
一方の彩乃はというと、自分のせいで空気を悪くしてしまったことに激しく落ち込んでいた。
「うう、気まずい……」
「まったく、人間ってのは面倒臭いね~、彩乃は本当は嫌じゃないんだろう?」
ヒノエのストレートな言葉に彩乃は苦笑しか浮かばない。
確かに妖怪を調査するなんてかなり変わった部活だと思うが、みんなと何かを一生懸命やるという事に強い憧れを持っている彩乃は、部活に入る事が嫌で断っている訳ではなかった。
「無理だよヒノエ。私には友人帳の事もあるし、それに、自分から妖怪に関わるのはあまりしない方がいいって思うの。……タマの件で、人間が不用意に妖に手を貸すのは良くないって身に沁みてわかったし……」
タマの件で、自分の無力さを痛感した彩乃は、少し妖怪に対して臆病になっていた。
ヒノエはそんな彩乃を心配そうに見つめ、小さくため息をつく。
「……彩乃がそれでいいってんなら、私は何も言わないよ。」
「……ありがとう、ヒノエ。」
「しかし、今回向かう捻目山は妖が多く住まう土地です。お気をつけ下さい、彩乃様。」
「うん、だからヒノエとカゲロウが付いて来てくれるって言ってくれた時は助かったよ。二人共ありがとね。」
ふわりと柔らかく微笑むと、ヒノエとカゲロウはほうっと頬を赤らめて彩乃に見惚れるのだった。
「ちょいとお前!彩乃に妙な色目使うんじゃないよ。この子は私のなんだからね!」
「い、いえ、私は……」
「ヒノエ!カゲロウを苛めないで!」
「やれやれ、騒がしい奴らめ……」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ三人を、ニャンコ先生は呆れた眼差しで見つめるのだった。
あの笑顔はどこか嘘っぽく、近寄り難いのだとか……
そんな噂を俺は聞いていた。
「前に興味本位で夏目先輩を見に行ったんスけど、そしたら噂以上に美人でびっくりしたんスよ!」
「……島くん、話が逸れてるよ。」
「あ、すみません。」
んで、俺が先輩に見惚れ……ごほん。見ていたら、二年生に話し掛けられたんス。
そん時に夏目先輩が霊的なものが視える人だって噂を聞いて、んで、こんな噂も聞いたんスよ……
夏目先輩は親に捨てられたとか、両親を無くして親戚の家をたらい回しにされてるとか、そんな噂が流れていると……
「そんなのただの噂じゃないのか?」
「私、夏目先輩は美人だけどちょっと変わり者の先輩って話しか知らないわよ?その噂本当なの?」
「俺にその噂を教えてくれた先輩が今年合併になってから来た先輩で、しかもその先輩は去年夏目先輩のクラスメイトだったらしいから、信憑性は高いぜ?何でも去年の夏頃に転校してきた季節外れの美人転校生ってことで噂になったらしいし……」
「「……」」
島の話を聞いて、誰もが彩乃に同情的な想いを寄せる。
「……私、夏目さんがそんなに大変な家庭環境に身を置いていたなんて知りませんでした。」
「氷麗……」
(それは僕もだよ……)
夏目先輩は妖怪にだって優しいから、素敵な家族にとても大切に育ててもらったのだと勝手に思い込んでいた。
「それに……こんな噂もあるんス。夏目先輩はよく一人で挙動不審になったりと変わった性格の人だから、親戚にずっと家庭内暴力を受けているんじゃないかって……その証拠に、いつも怪我してるらしいですよ。」
「それは無いんじゃないかな!?」
「何だよリクオ。何でお前がそんな事言えるんだ?」
「だってそれは……(たぶん友人帳関係で妖怪に襲われてだと思うし……)」
とは言えないリクオは、どうしたものかと言葉に詰まった。
この前の夏目先輩の妖怪に対する無謀さなら、きっと過去に何度か怪我を負うような事はあるだろう。
ただの憶測だが、彩乃の居ない所で勝手にそんな話をして欲しくなかった。
「夏目さんはすごくおっちょこちょいなのよ。」
「及川さん?」
リクオがどう誤解を解こうかと困っていると、氷麗が助け舟を出した。
「よく段差のない所で転ぶって本人が言ってたわ。」
「へえ~、及川さんて夏目先輩と親しいんやね。」
「えっ!?ええ、そうよ!」
「……氷麗……」
助かったけど、先輩がドジっ子だという誤解が生じてしまった。
まあ、氷麗なりに先輩を気遣っての手助けたのだろう。
「……それにさ、先輩のいない所でこういう話するのって良くないと思うんだ。気になるなら、本人に直接訊いた方がまだいいと思うよ?」
「うむ、確かに奴良くんの言う通りだな。」
「そうね。こういうのって良くないわ。」
リクオの言葉にみんながそうだなと納得していく。
誰だって、自分の居ない所で勝手に踏み込んだ話をされるのは嫌だろう。
「……しかし、そうか。そんな事情なら、無理に誘えないな。」
「そうッスね、清継さん」
「だが、実に惜しい人材だ!……そうだ!!」
「「?」」
清継は何かを閃いたようにとてもいい笑顔を浮かべ、清十字団のみんなは不思議そうに首を傾げるのだった。
*****
一方の彩乃はというと、自分のせいで空気を悪くしてしまったことに激しく落ち込んでいた。
「うう、気まずい……」
「まったく、人間ってのは面倒臭いね~、彩乃は本当は嫌じゃないんだろう?」
ヒノエのストレートな言葉に彩乃は苦笑しか浮かばない。
確かに妖怪を調査するなんてかなり変わった部活だと思うが、みんなと何かを一生懸命やるという事に強い憧れを持っている彩乃は、部活に入る事が嫌で断っている訳ではなかった。
「無理だよヒノエ。私には友人帳の事もあるし、それに、自分から妖怪に関わるのはあまりしない方がいいって思うの。……タマの件で、人間が不用意に妖に手を貸すのは良くないって身に沁みてわかったし……」
タマの件で、自分の無力さを痛感した彩乃は、少し妖怪に対して臆病になっていた。
ヒノエはそんな彩乃を心配そうに見つめ、小さくため息をつく。
「……彩乃がそれでいいってんなら、私は何も言わないよ。」
「……ありがとう、ヒノエ。」
「しかし、今回向かう捻目山は妖が多く住まう土地です。お気をつけ下さい、彩乃様。」
「うん、だからヒノエとカゲロウが付いて来てくれるって言ってくれた時は助かったよ。二人共ありがとね。」
ふわりと柔らかく微笑むと、ヒノエとカゲロウはほうっと頬を赤らめて彩乃に見惚れるのだった。
「ちょいとお前!彩乃に妙な色目使うんじゃないよ。この子は私のなんだからね!」
「い、いえ、私は……」
「ヒノエ!カゲロウを苛めないで!」
「やれやれ、騒がしい奴らめ……」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ三人を、ニャンコ先生は呆れた眼差しで見つめるのだった。