第24章「羽衣狐編」
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「ぬぉー!美味美味!遠野の酒もなかなか美味いなぁ!」
「ガハハ、斑よ!なかなかの飲みっぷりだな!」
彩乃がイタクたちと再会を喜んでいた頃、ニャンコ先生は赤河童たちと酒とツマミを手に宴会を楽しんでいた。
宴会の中央には人一人入りそうな大きな釜が置かれており、その中には未だに眠りにつくリクオが入っていた。
ニャンコ先生は遠野に連れて来られても未だにのんきに眠り続けるリクオを眺めながらニヤリと笑う。
「なぁ赤河童、こいつ起きると思うか?」
「さあねぇ。あと半刻経っても起きなければ喰っちまっていいぞ。」
「ああ、楽しみだな。あのぬらりひょんの孫ともなればなかなか美味い妖力を持っているだろう。彩乃程ではないがなかなか美味いツマミになるだろうな。」
ペロリと思わず舌なめずりをするニャンコ先生に赤河童はスッと目を細める。
この奴良組の若造は一緒に連れて来られたあの娘の大切な友人だと聞く。
なんだかんだと悪態をついていても、大切に守っているあの娘の友人を食べるのが楽しみだと口にする斑に、やはり腐ってもコイツも妖怪だなと思う。
妖怪は理性よりも本能的に生きる生き物だ。
いくら人間と共に生きていても、その本質が変わることはないのだと安心する。
最近の斑は人間の小娘の傍にいるせいですっかり不抜けになったと思っていたが、大妖怪と呼ばれていた頃の威厳は未だに健在のようだ。
「う...う〜ん……おう、氷麗……洗濯物そこに置いておいたから……」
妖怪たちが宴会で盛り上がっていると、もぞりとリクオが身動ぎした。
夢でも見ていたのか、むにゃむにゃと寝言を言いながらうっすらとその目を開けた。
それに斑や他の遠野の妖怪たちは思わず舌打ちする。
ーー起きなければ喰えたのにと。
「ちぃ……起きたかい。」
「あと半刻ほど起きなければ喰っていいという話じゃったのに……」
妖怪たちが値踏みするようにジロジロとリクオを見下ろしている。
リクオが半妖だかそれ以下の血しか妖怪の血が流れていないだとか、この遠野の地で生き残れるのかとそれぞれが好き勝手に話している。
起きたばかりのリクオは訳が分からずに彼等を見つめていた。
「……なんだここは……」
「やっと起きたか〜!ほれ!赤河童様にご挨拶じゃ!」
そう言って青いなまはげがリクオの入った釜をひっくり返す。
それにリクオは慌てて受け身をとるが、転がり落ちた先では赤河童がリクオの顔を覗き込むようにじっと見下ろしていた。
「あんたが『ぬらりひょんの孫』かい。……ふむ。よう似とるなあの頃のあやつが蘇ったようだわい。」
「……あんたら誰だ?じじいの知り合いか?ここはどこだよ。」
「おい、赤河童様になまいききいちゃいけねぇ!」
赤河童への態度が気に入らなかったらしい遠野の猿たちがギロリとリクオを睨みつける。
それに口を開いたのはニャンコ先生だった。
「ーーお前は遠野に連れて来られたのさ。」
「っ!お前は斑!?なんでお前がここにいるんだよ!遠野?彩乃もここに居んのか!?」
「ああ、私たちはお前に巻き込まれて無理やり連れて来られただけだ。」
「……彩乃はどこにいる?」
リクオがキョロキョロと周りを見回すが、彩乃の姿が見えないのか斑に尋ねる。
それに斑はあるのかないのか分からない短い肩をすくめて首を横に振った。
「さあな。この遠野の里の何処かにはいるだろう。」
「おい!」
「……もういいぞ。おい、見習いを連れて仕事を教えてやれ。」
赤河童の隣にいる河童がそう声をかけると、近くにいた猿たちがリクオの腕を掴んで連れ出そうとする。
「あっ、おい!見習い!?東北!?ふざけんな!俺は早く京都に行かなきゃなんねーんだよ!」
「……京都?」
「お前が京都!?笑わせるなー!ガハハ!」
リクオがそう叫んだ瞬間、妖怪たちが一斉に笑い出す。
河童の1人がリクオを指さして馬鹿にするように鼻で笑った。
「”畏の発動”しか出来ぬお前では死に急ぐも同じ」
「そうかい!」
「おい、逃げる気か?」
そう言われてもリクオは止まらず、スタスタと歩いて屋敷を出て行こうとする。
するとリクオの前に河童犬が現れて、いつの間にかリクオは転ばされていた。
それを見た斑は吹き出し、それに釣られるように遠野の妖怪たちもゲラゲラと笑い出す。
「ハハハハハハ!おい見たか!河童犬に敗れたぞ!」
「犬以下じゃ!」
「奴良組の若頭は犬以下じゃ!」
「なっ、なん??」
リクオはまるで何が起きたか分かっていないようで、なぜ自分が今転んだのか分からないようだった。
混乱する頭で必死に考えているのだろう。その目には困惑と動揺が手に取るようにわかった。
「お前はここで生き残れなければみんな死ぬだけだ。彩乃も花開院家の娘も守れずにな。」
「……斑……」
「せいぜい修行に励むんだな。」
ふんっと鼻を鳴らすと、ニャンコ先生は困惑するリクオを無視して酒をまた飲み始めるのだった。
*
一方その頃の彩乃はというと……
彩乃はイタクたちに連れ出され、遠野の数ある実戦場の中でも一番広い切り株の上に来ていた。
そこでは淡島や雨造たち若い遠野勢が実戦訓練を行っており、激しい戦闘が繰り広げられていた。
「ねっ、ねえ……私ってここにいて大丈夫なのかな?」
「あっ?どういう意味だよ?」
「いや、だって……なんかみんな本気で戦ってて危ないし。私って邪魔じゃない?」
「こんなのただの準備運動みたいなもんだろ。それに何があっても俺がお前を守る。」
「えっ……ありがとうイタク。」
(どっかの飲んだくれてる用心棒と違って頼りになるなぁ〜)
「……ふん。」
(彩乃はか弱いからな。俺が守ってやらないと……)
イタクと彩乃の仲良さげなやり取りを、淡島たちは修行をしながらちらちらと微笑ましげに見守っていると、イタクの肩に一匹のイタチが飛び乗った。
「チィ!」
「……わかった。すぐに向かう。」
「どうしたの?」
「奴良組の奴が目を覚ましたみたいだ。」
「ーーえっ!リクオくんが!?」
イタクの言葉に彩乃はすぐさま反応する。
それにイタクはスっと目を細めると言葉を続けた。
「連れて来てやる。彩乃はここで少し待ってろ。」
「えっ?あっ!イタク!……行っちゃった。」
イタクは彩乃に一言だけ伝えると、すぐに何処かへと行ってしまった。
残された彩乃は不安げにイタクが去って行った方角をじっと見つめていると、冷麗が優しげな瞳で彩乃に声をかけてくる。
「大丈夫よ。イタクならすぐに戻ってくるわ。」
「イタクは指導係にさせられたからね。クスクス」
「……指導係?リクオくんの?」
「ええ。イタクったらはりきってたわよ。」
そう可笑しそうにクスクスと優雅に笑う冷麗に彩乃はきょとりと目を丸くする。
ーーそうか、イタクがリクオくんの指導係……イタクって面倒見がいいからきっとリクオくんの修行相手を任されたのだろう。
しっかりしていて真面目な彼ならきっとリクオくんとも気が合うだろうし、いい友人になってくれそうだ。
*
それから暫くしてイタクがリクオくんを連れて戻ってきたのだが……
「どっ、どうしたの2人とも……」
何故かリクオくんとイタクの機嫌がものすごく悪かった。
2人とも服が泥だらけで、リクオくんなんて殴られたのか頬が赤くなっていた。
まさか……喧嘩したのか?
2人はお互いを見ないようにそっぽを向き、機嫌悪そうに彩乃に一言……
「「殴り合った」」
とだけ呟いたのであった。
「ガハハ、斑よ!なかなかの飲みっぷりだな!」
彩乃がイタクたちと再会を喜んでいた頃、ニャンコ先生は赤河童たちと酒とツマミを手に宴会を楽しんでいた。
宴会の中央には人一人入りそうな大きな釜が置かれており、その中には未だに眠りにつくリクオが入っていた。
ニャンコ先生は遠野に連れて来られても未だにのんきに眠り続けるリクオを眺めながらニヤリと笑う。
「なぁ赤河童、こいつ起きると思うか?」
「さあねぇ。あと半刻経っても起きなければ喰っちまっていいぞ。」
「ああ、楽しみだな。あのぬらりひょんの孫ともなればなかなか美味い妖力を持っているだろう。彩乃程ではないがなかなか美味いツマミになるだろうな。」
ペロリと思わず舌なめずりをするニャンコ先生に赤河童はスッと目を細める。
この奴良組の若造は一緒に連れて来られたあの娘の大切な友人だと聞く。
なんだかんだと悪態をついていても、大切に守っているあの娘の友人を食べるのが楽しみだと口にする斑に、やはり腐ってもコイツも妖怪だなと思う。
妖怪は理性よりも本能的に生きる生き物だ。
いくら人間と共に生きていても、その本質が変わることはないのだと安心する。
最近の斑は人間の小娘の傍にいるせいですっかり不抜けになったと思っていたが、大妖怪と呼ばれていた頃の威厳は未だに健在のようだ。
「う...う〜ん……おう、氷麗……洗濯物そこに置いておいたから……」
妖怪たちが宴会で盛り上がっていると、もぞりとリクオが身動ぎした。
夢でも見ていたのか、むにゃむにゃと寝言を言いながらうっすらとその目を開けた。
それに斑や他の遠野の妖怪たちは思わず舌打ちする。
ーー起きなければ喰えたのにと。
「ちぃ……起きたかい。」
「あと半刻ほど起きなければ喰っていいという話じゃったのに……」
妖怪たちが値踏みするようにジロジロとリクオを見下ろしている。
リクオが半妖だかそれ以下の血しか妖怪の血が流れていないだとか、この遠野の地で生き残れるのかとそれぞれが好き勝手に話している。
起きたばかりのリクオは訳が分からずに彼等を見つめていた。
「……なんだここは……」
「やっと起きたか〜!ほれ!赤河童様にご挨拶じゃ!」
そう言って青いなまはげがリクオの入った釜をひっくり返す。
それにリクオは慌てて受け身をとるが、転がり落ちた先では赤河童がリクオの顔を覗き込むようにじっと見下ろしていた。
「あんたが『ぬらりひょんの孫』かい。……ふむ。よう似とるなあの頃のあやつが蘇ったようだわい。」
「……あんたら誰だ?じじいの知り合いか?ここはどこだよ。」
「おい、赤河童様になまいききいちゃいけねぇ!」
赤河童への態度が気に入らなかったらしい遠野の猿たちがギロリとリクオを睨みつける。
それに口を開いたのはニャンコ先生だった。
「ーーお前は遠野に連れて来られたのさ。」
「っ!お前は斑!?なんでお前がここにいるんだよ!遠野?彩乃もここに居んのか!?」
「ああ、私たちはお前に巻き込まれて無理やり連れて来られただけだ。」
「……彩乃はどこにいる?」
リクオがキョロキョロと周りを見回すが、彩乃の姿が見えないのか斑に尋ねる。
それに斑はあるのかないのか分からない短い肩をすくめて首を横に振った。
「さあな。この遠野の里の何処かにはいるだろう。」
「おい!」
「……もういいぞ。おい、見習いを連れて仕事を教えてやれ。」
赤河童の隣にいる河童がそう声をかけると、近くにいた猿たちがリクオの腕を掴んで連れ出そうとする。
「あっ、おい!見習い!?東北!?ふざけんな!俺は早く京都に行かなきゃなんねーんだよ!」
「……京都?」
「お前が京都!?笑わせるなー!ガハハ!」
リクオがそう叫んだ瞬間、妖怪たちが一斉に笑い出す。
河童の1人がリクオを指さして馬鹿にするように鼻で笑った。
「”畏の発動”しか出来ぬお前では死に急ぐも同じ」
「そうかい!」
「おい、逃げる気か?」
そう言われてもリクオは止まらず、スタスタと歩いて屋敷を出て行こうとする。
するとリクオの前に河童犬が現れて、いつの間にかリクオは転ばされていた。
それを見た斑は吹き出し、それに釣られるように遠野の妖怪たちもゲラゲラと笑い出す。
「ハハハハハハ!おい見たか!河童犬に敗れたぞ!」
「犬以下じゃ!」
「奴良組の若頭は犬以下じゃ!」
「なっ、なん??」
リクオはまるで何が起きたか分かっていないようで、なぜ自分が今転んだのか分からないようだった。
混乱する頭で必死に考えているのだろう。その目には困惑と動揺が手に取るようにわかった。
「お前はここで生き残れなければみんな死ぬだけだ。彩乃も花開院家の娘も守れずにな。」
「……斑……」
「せいぜい修行に励むんだな。」
ふんっと鼻を鳴らすと、ニャンコ先生は困惑するリクオを無視して酒をまた飲み始めるのだった。
*
一方その頃の彩乃はというと……
彩乃はイタクたちに連れ出され、遠野の数ある実戦場の中でも一番広い切り株の上に来ていた。
そこでは淡島や雨造たち若い遠野勢が実戦訓練を行っており、激しい戦闘が繰り広げられていた。
「ねっ、ねえ……私ってここにいて大丈夫なのかな?」
「あっ?どういう意味だよ?」
「いや、だって……なんかみんな本気で戦ってて危ないし。私って邪魔じゃない?」
「こんなのただの準備運動みたいなもんだろ。それに何があっても俺がお前を守る。」
「えっ……ありがとうイタク。」
(どっかの飲んだくれてる用心棒と違って頼りになるなぁ〜)
「……ふん。」
(彩乃はか弱いからな。俺が守ってやらないと……)
イタクと彩乃の仲良さげなやり取りを、淡島たちは修行をしながらちらちらと微笑ましげに見守っていると、イタクの肩に一匹のイタチが飛び乗った。
「チィ!」
「……わかった。すぐに向かう。」
「どうしたの?」
「奴良組の奴が目を覚ましたみたいだ。」
「ーーえっ!リクオくんが!?」
イタクの言葉に彩乃はすぐさま反応する。
それにイタクはスっと目を細めると言葉を続けた。
「連れて来てやる。彩乃はここで少し待ってろ。」
「えっ?あっ!イタク!……行っちゃった。」
イタクは彩乃に一言だけ伝えると、すぐに何処かへと行ってしまった。
残された彩乃は不安げにイタクが去って行った方角をじっと見つめていると、冷麗が優しげな瞳で彩乃に声をかけてくる。
「大丈夫よ。イタクならすぐに戻ってくるわ。」
「イタクは指導係にさせられたからね。クスクス」
「……指導係?リクオくんの?」
「ええ。イタクったらはりきってたわよ。」
そう可笑しそうにクスクスと優雅に笑う冷麗に彩乃はきょとりと目を丸くする。
ーーそうか、イタクがリクオくんの指導係……イタクって面倒見がいいからきっとリクオくんの修行相手を任されたのだろう。
しっかりしていて真面目な彼ならきっとリクオくんとも気が合うだろうし、いい友人になってくれそうだ。
*
それから暫くしてイタクがリクオくんを連れて戻ってきたのだが……
「どっ、どうしたの2人とも……」
何故かリクオくんとイタクの機嫌がものすごく悪かった。
2人とも服が泥だらけで、リクオくんなんて殴られたのか頬が赤くなっていた。
まさか……喧嘩したのか?
2人はお互いを見ないようにそっぽを向き、機嫌悪そうに彩乃に一言……
「「殴り合った」」
とだけ呟いたのであった。