第18章「夏祭り編」
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彩乃ちゃんを好きだと自覚してから、色々な感情を抱くようになった。
彼女のことを気が付くとよく見ている。
目で追うことが多くなった。
彩乃ちゃんが笑うと心が温かくなるし、嬉しくなる。
だけど同時に心がぎゅっと締め付けられるような切ない気持ちにもなる。
そして……嫉妬深くなったように思う。
彩乃ちゃんは人と深く関わろうとしない。
だけど、一度心を許した相手には信頼を寄せる。
相手にもそれが伝わるのか、彩乃ちゃんの周りの人たちはとても優しい人ばかりだ。
だからこそ不安になる。田沼先輩や北本先輩に西村先輩。それにあの祓い屋の名取さん。
彩乃ちゃんの周りには優しくてカッコよくて素敵な異性が多すぎる。
あの四人の中で僕が彩乃ちゃんと一番遅く知り合った。
あの人たちは僕が知らない彩乃ちゃんを知っている。
そう考えてしまう……
彩乃ちゃんが田沼先輩と話しているとモヤモヤする。
名取さんを信頼しているあの瞳が許せなくなる。
――僕はこんなに嫉妬深かっただろうか?
彩乃ちゃんを好きになって、温かな感情を知った。
けれど同時に知りたくなかった自分の一面を知ることになってしまった。
それでも、それでも僕は……
「先生と氷麗ちゃん何処行っちゃったんだろうね…………っ!?」
びくりと、彩乃の肩が跳ねる。
いなくなった先生と氷麗を探して周囲をキョロキョロと見回していた彩乃の手を、リクオが不意に握ってきたからだ。
びっくりしてリクオの方を見れば、リクオはほんのりと頬を赤く染めて少し困ったように微笑んだ。
「……リクオくん?あの……」
「――人混みが多くて、僕等まではぐれたら大変だから……」
「あっ、そっか。そうだね。」
「鳥居の所までこのままでいい?氷麗たちもきっと戻ってるだろうし。」
「あっ、うん。もちろん。……ちょっと恥ずかしいね……」
照れくさそうに笑う彩乃の手を、リクオはぎゅっと強く、握る手に力を込めた。
******
「うええ~~ん!!」
「……あれ?」
「どうかした?」
暫く手を繋いだまま歩いていると、リクオの耳に微かに子供の泣き声が聞こえてきた。
突然足を止めてキョロキョロと辺りを見回すリクオに、彩乃は不思議そうに首を傾げた。
「……なんか……近くで子供の泣き声が聞こえた気がして……」
「子供の?私には何も聞こえないけど……この人混みで周りもざわついてるし……」
「いや……確かに聞こえる。こっちかな?」
リクオは彩乃の手を引いて声の聞こえる方へと足を進める。
人の波を掻き分けて進んでいけば、彩乃の耳にも確かに子供の泣き声が聞こえてきた。
「わああ~~ん!あ~ん!!」
「ほんとだ。聞こえる。でも……一体何処に……」
「う~ん、近くにいると思うんだけど……」
二人は耳を澄ましてなんとか子供の居場所を探ろうとするが、この人の多さでは中々困難だった。
それでもリクオは神経を研ぎ澄まして子供の声を聞き、目を凝らした。
すると屋台の隅にぽつんと突っ立ったまま大声で泣いている子供がいた。
しかし、その子供は……
「彩乃ちゃんいたよ!」
「本当に!?何処!?」
「あの屋台の隅っこ!けど……」
「何?……あっ。」
リクオの指差す方向を見て、彼が言葉を濁した訳がわかった。
子供は子供なのだが、屋台の隅で泣きじゃくるその子供は人の姿をしてはいなかった。
兎のような姿をしたその妖の子供を見て、彩乃とリクオはお互いに顔を見合わせたのだった。
彼女のことを気が付くとよく見ている。
目で追うことが多くなった。
彩乃ちゃんが笑うと心が温かくなるし、嬉しくなる。
だけど同時に心がぎゅっと締め付けられるような切ない気持ちにもなる。
そして……嫉妬深くなったように思う。
彩乃ちゃんは人と深く関わろうとしない。
だけど、一度心を許した相手には信頼を寄せる。
相手にもそれが伝わるのか、彩乃ちゃんの周りの人たちはとても優しい人ばかりだ。
だからこそ不安になる。田沼先輩や北本先輩に西村先輩。それにあの祓い屋の名取さん。
彩乃ちゃんの周りには優しくてカッコよくて素敵な異性が多すぎる。
あの四人の中で僕が彩乃ちゃんと一番遅く知り合った。
あの人たちは僕が知らない彩乃ちゃんを知っている。
そう考えてしまう……
彩乃ちゃんが田沼先輩と話しているとモヤモヤする。
名取さんを信頼しているあの瞳が許せなくなる。
――僕はこんなに嫉妬深かっただろうか?
彩乃ちゃんを好きになって、温かな感情を知った。
けれど同時に知りたくなかった自分の一面を知ることになってしまった。
それでも、それでも僕は……
「先生と氷麗ちゃん何処行っちゃったんだろうね…………っ!?」
びくりと、彩乃の肩が跳ねる。
いなくなった先生と氷麗を探して周囲をキョロキョロと見回していた彩乃の手を、リクオが不意に握ってきたからだ。
びっくりしてリクオの方を見れば、リクオはほんのりと頬を赤く染めて少し困ったように微笑んだ。
「……リクオくん?あの……」
「――人混みが多くて、僕等まではぐれたら大変だから……」
「あっ、そっか。そうだね。」
「鳥居の所までこのままでいい?氷麗たちもきっと戻ってるだろうし。」
「あっ、うん。もちろん。……ちょっと恥ずかしいね……」
照れくさそうに笑う彩乃の手を、リクオはぎゅっと強く、握る手に力を込めた。
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「うええ~~ん!!」
「……あれ?」
「どうかした?」
暫く手を繋いだまま歩いていると、リクオの耳に微かに子供の泣き声が聞こえてきた。
突然足を止めてキョロキョロと辺りを見回すリクオに、彩乃は不思議そうに首を傾げた。
「……なんか……近くで子供の泣き声が聞こえた気がして……」
「子供の?私には何も聞こえないけど……この人混みで周りもざわついてるし……」
「いや……確かに聞こえる。こっちかな?」
リクオは彩乃の手を引いて声の聞こえる方へと足を進める。
人の波を掻き分けて進んでいけば、彩乃の耳にも確かに子供の泣き声が聞こえてきた。
「わああ~~ん!あ~ん!!」
「ほんとだ。聞こえる。でも……一体何処に……」
「う~ん、近くにいると思うんだけど……」
二人は耳を澄ましてなんとか子供の居場所を探ろうとするが、この人の多さでは中々困難だった。
それでもリクオは神経を研ぎ澄まして子供の声を聞き、目を凝らした。
すると屋台の隅にぽつんと突っ立ったまま大声で泣いている子供がいた。
しかし、その子供は……
「彩乃ちゃんいたよ!」
「本当に!?何処!?」
「あの屋台の隅っこ!けど……」
「何?……あっ。」
リクオの指差す方向を見て、彼が言葉を濁した訳がわかった。
子供は子供なのだが、屋台の隅で泣きじゃくるその子供は人の姿をしてはいなかった。
兎のような姿をしたその妖の子供を見て、彩乃とリクオはお互いに顔を見合わせたのだった。