第17章「的場編」
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「彩乃さんはリクオ様のことをどう思ってるんですか!?」
「――え?」
ある日、彩乃がいつものように奴良組に名を返しに来ていたところ、休憩していたら氷麗に突然こんな質問をされた。
「どうって……どうしたの急に?」
「早く答えて下さい!リクオ様が帰ってきちゃいます。」
「え?リクオくんが居たらダメなの?」
「だって、リクオ様が居たら彩乃さん素直に答えてくれないじゃないですか!」
「ま、まあそうだけど……本人の前でどう思ってるかなんて言えないし……」
「ですから、リクオ様が巡回で外に出ている今がチャンスなんです。さあ、正直にこの氷麗に話して下さい!」
「つ、氷麗ちゃんなんか怖いよ?」
ずずいと彩乃に詰め寄る氷麗は、彩乃が質問に答えるまで逃がさないというようにギラギラとした獲物を捕らえたハンターのような目をしていた。
それに彩乃は少し頬を引きつらせて苦笑すると、氷麗から少し離れようと後ずさった。
「さあ、彩乃さん!」
「う、うえ~?氷麗ちゃん近い近い!とゆーより、何で急にリクオくんのことなんて?」
「だ、だって……」
氷麗は彩乃の言葉に黙り込んでしまう。
だって、言える訳がない。
リクオが彩乃を好きだから、どう思っているのか気になるなんて……
リクオの恋を応援すると決めた時から、二人の恋を見守ってきた氷麗だったが、あれから数ヶ月、リクオと彩乃に進展した様子はない。
リクオから熱い視線を日々受けているのに、彩乃はそれに一向に気付かないのだ。
痺れを切らした氷麗は、リクオが居ない今、彩乃に直接尋ねることにしたのだった。
「う、う~ん、リクオくんはいい子だよね。いつもみんなが嫌がる雑用を進んでやってくれるし。ちょっとやり過ぎかなって思うけど……偉いよね。」
「そうですよね。流石はリクオ様!他には!?」
「ほ、他には……う~ん……まだ若いのに三代目になろうと日々頑張ってて見習わないとな~とは思うな。」
「ですよね!他には!?」
「リ、リクオくんには友人帳のことでいつも助けてもらってるし、本当に感謝してるんだ。この前も私が妖に襲われた時とか助けてくれたし、本当に彼には頭が上がらないというか……」
「カッコよかったですか?」
「え?」
「その時のリクオ様カッコよかったですか?」
「え?う、うん。」
「ですよね!流石リクオ様!!」
何故かはしゃぐ氷麗を見て、彩乃は訳がわからなさそうに頭にハテナマークを浮かべていたが……
「リクオ様は強いだけじゃないんです。とても穏やかで優しくて聡明で、勉強だって出来るんですよ!それに、とても一途なんです!!」
「そ、そうなんだ?氷麗ちゃんは本当にリクオくんが大好きなんだね。」
「はい!」
彩乃の言葉に氷麗は満面の笑みで答える。
すると次の瞬間にはハッと我に返り、アワアワと焦り出した。
「?、どうしたの氷麗ちゃん?」
「か、勘違いしないで下さいね彩乃さん!私がリクオ様を慕っているのは側近としてですから!恋とかじゃないですから!!」
「え……氷麗ちゃんもしかして……」
「だから違うんですーー!!」
何かを察してしまった彩乃が頬を赤く染めて氷麗を見つめるものだから、氷麗は逆に真っ青になって彩乃に必死に説明することになった。
「――ですから、私がリクオ様に抱いている感情は尊敬であって恋ではないんです!」
「う、うん……充分わかったから……」
あれから一時間掛けて氷麗は彩乃に自分が如何にリクオを尊敬しているか、そしてそれが恋ではないという誤解を解くために長い、それは長い話を聞かせたのだった。
若干疲れてげんなりとしている彩乃をよそに、氷麗は漸く確信に触れた質問を投げてみた。
「――そういう彩乃さんはリクオ様のことをどう思ってるんですか?」
「――え?それならもう答えて……「リクオ様を異性として好きかと言うことです。」あ……」
氷麗にそう言われて漸く彼女が本当に訊きたかったことが何なのか理解した彩乃は、顔を真っ赤にして狼狽えた。
「り……リクオくんは……その……私は友達として大切に思ってる。だから恋愛対象として見てないから……安心して!」
「大問題です!!」
「ええっ!?」
(てっきり氷麗ちゃんは人間の私がリクオくんと親しくしてるから、万が一将来私がリクオくんを好きにならないか危惧して質問してきたんじゃないの?)
真っ青な顔でワナワナと震える氷麗に、彩乃は彼女が何をそんなに青ざめているのかわからなくて困惑してしまう。
「た……大変です……このままではリクオ様の想いが……」
「え?あの……氷麗ちゃん?」
「り……リクオ様ー!!」
何やらブツブツと呟きながら、氷麗は青い顔のまま彩乃を置いて何処かへと去ってしまった。
残された彩乃は訳がわからずに呆然と氷麗の後ろ姿を見送ったのだった。
「……行っちゃった。本当は氷麗ちゃんにリクオくんのことを異性として好きか訊かれたとき、素直にカッコいいって思ったことがあるって言った方が良かったかな……」
******
おまけ
「リクオ様!もっと彩乃さんにアタックしてください!!」
「え!?何急に?」
「じゃないと彩乃さんは一生奴良組の奥方にはなってくださいません!」
「――はあ!?」
「――え?」
ある日、彩乃がいつものように奴良組に名を返しに来ていたところ、休憩していたら氷麗に突然こんな質問をされた。
「どうって……どうしたの急に?」
「早く答えて下さい!リクオ様が帰ってきちゃいます。」
「え?リクオくんが居たらダメなの?」
「だって、リクオ様が居たら彩乃さん素直に答えてくれないじゃないですか!」
「ま、まあそうだけど……本人の前でどう思ってるかなんて言えないし……」
「ですから、リクオ様が巡回で外に出ている今がチャンスなんです。さあ、正直にこの氷麗に話して下さい!」
「つ、氷麗ちゃんなんか怖いよ?」
ずずいと彩乃に詰め寄る氷麗は、彩乃が質問に答えるまで逃がさないというようにギラギラとした獲物を捕らえたハンターのような目をしていた。
それに彩乃は少し頬を引きつらせて苦笑すると、氷麗から少し離れようと後ずさった。
「さあ、彩乃さん!」
「う、うえ~?氷麗ちゃん近い近い!とゆーより、何で急にリクオくんのことなんて?」
「だ、だって……」
氷麗は彩乃の言葉に黙り込んでしまう。
だって、言える訳がない。
リクオが彩乃を好きだから、どう思っているのか気になるなんて……
リクオの恋を応援すると決めた時から、二人の恋を見守ってきた氷麗だったが、あれから数ヶ月、リクオと彩乃に進展した様子はない。
リクオから熱い視線を日々受けているのに、彩乃はそれに一向に気付かないのだ。
痺れを切らした氷麗は、リクオが居ない今、彩乃に直接尋ねることにしたのだった。
「う、う~ん、リクオくんはいい子だよね。いつもみんなが嫌がる雑用を進んでやってくれるし。ちょっとやり過ぎかなって思うけど……偉いよね。」
「そうですよね。流石はリクオ様!他には!?」
「ほ、他には……う~ん……まだ若いのに三代目になろうと日々頑張ってて見習わないとな~とは思うな。」
「ですよね!他には!?」
「リ、リクオくんには友人帳のことでいつも助けてもらってるし、本当に感謝してるんだ。この前も私が妖に襲われた時とか助けてくれたし、本当に彼には頭が上がらないというか……」
「カッコよかったですか?」
「え?」
「その時のリクオ様カッコよかったですか?」
「え?う、うん。」
「ですよね!流石リクオ様!!」
何故かはしゃぐ氷麗を見て、彩乃は訳がわからなさそうに頭にハテナマークを浮かべていたが……
「リクオ様は強いだけじゃないんです。とても穏やかで優しくて聡明で、勉強だって出来るんですよ!それに、とても一途なんです!!」
「そ、そうなんだ?氷麗ちゃんは本当にリクオくんが大好きなんだね。」
「はい!」
彩乃の言葉に氷麗は満面の笑みで答える。
すると次の瞬間にはハッと我に返り、アワアワと焦り出した。
「?、どうしたの氷麗ちゃん?」
「か、勘違いしないで下さいね彩乃さん!私がリクオ様を慕っているのは側近としてですから!恋とかじゃないですから!!」
「え……氷麗ちゃんもしかして……」
「だから違うんですーー!!」
何かを察してしまった彩乃が頬を赤く染めて氷麗を見つめるものだから、氷麗は逆に真っ青になって彩乃に必死に説明することになった。
「――ですから、私がリクオ様に抱いている感情は尊敬であって恋ではないんです!」
「う、うん……充分わかったから……」
あれから一時間掛けて氷麗は彩乃に自分が如何にリクオを尊敬しているか、そしてそれが恋ではないという誤解を解くために長い、それは長い話を聞かせたのだった。
若干疲れてげんなりとしている彩乃をよそに、氷麗は漸く確信に触れた質問を投げてみた。
「――そういう彩乃さんはリクオ様のことをどう思ってるんですか?」
「――え?それならもう答えて……「リクオ様を異性として好きかと言うことです。」あ……」
氷麗にそう言われて漸く彼女が本当に訊きたかったことが何なのか理解した彩乃は、顔を真っ赤にして狼狽えた。
「り……リクオくんは……その……私は友達として大切に思ってる。だから恋愛対象として見てないから……安心して!」
「大問題です!!」
「ええっ!?」
(てっきり氷麗ちゃんは人間の私がリクオくんと親しくしてるから、万が一将来私がリクオくんを好きにならないか危惧して質問してきたんじゃないの?)
真っ青な顔でワナワナと震える氷麗に、彩乃は彼女が何をそんなに青ざめているのかわからなくて困惑してしまう。
「た……大変です……このままではリクオ様の想いが……」
「え?あの……氷麗ちゃん?」
「り……リクオ様ー!!」
何やらブツブツと呟きながら、氷麗は青い顔のまま彩乃を置いて何処かへと去ってしまった。
残された彩乃は訳がわからずに呆然と氷麗の後ろ姿を見送ったのだった。
「……行っちゃった。本当は氷麗ちゃんにリクオくんのことを異性として好きか訊かれたとき、素直にカッコいいって思ったことがあるって言った方が良かったかな……」
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おまけ
「リクオ様!もっと彩乃さんにアタックしてください!!」
「え!?何急に?」
「じゃないと彩乃さんは一生奴良組の奥方にはなってくださいません!」
「――はあ!?」