第17章「的場編」
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(上級の妖の血。力の強い人間の血が欲しいようなことを言っていた……知らせないと。先生やリクオくん、名取さんたちも危ないかもしれない……)
――みんな何処!?何処にいるの!?
早くここを出ないと……もしも的場さんに見つかったら……
どんっ!
「いっ!」
「――おや。」
「……っ……的場……さん……」
「よく、会いますね。」
名取たちを探して宿の中を走っていると、曲がり角の所で誰かとぶつかった。
痛みで顔を歪めたのは一瞬で、顔を上げてぶつかった相手を見た彩乃は絶句した。
それもその筈、目の前にいるのは今一番会いたくないと思っていた的場だったからだ。
「今は妖は一緒じゃないんですね。」
「……!」
「捕まえろ。」
「わあっ!」
的場の命令に従って彼の側に控えていた男たちが彩乃に手を伸ばす。
彩乃は咄嗟に身を翻して逃げようとするが、背後には的場の式がいた。
的場の式は彩乃を拳で殴ると、その衝撃で彩乃は床に体を叩き付けられてしまう。
そして彩乃はそのまま気を失ってしまったのだった。
「――行くぞ。」
的場は気を失った彩乃を一瞥すると、式に命じて彩乃を運ばせるのだった。
*
――その頃名取たちはというと……
「……まったく、何故私について来るんだ猫ちゃん。あと、肩に乗らないでくれ。」
「むむ、いつもより見晴らしが良いな。彩乃では背が低くて乗りごたえがないのだ。」
「聞いているのかい?」
「彩乃がお前を心配して騒ぐから来てやったのだ。文句なら彩乃に言え。」
「……はあ……」
「ロクでもない奴のようだな。的場ってのは。」
「怖い人さ。危険な妖でも恐れず使うし、目的のためなら従えていた妖を餌にしたりもする。」
「そういえばお前も餌にされたんだったなカゲロウ。」
「……ええ。的場は妖には容赦がありません。恐ろしい男です。」
柊を家に置いてきてしまった名取の身を案じて彼の側についていたカゲロウは、先生の言葉に表情を曇らせる。
「ワタクシの主だった人間は的場の者ではありませんでしたが、あの頭の妖を捕らえるためにワタクシを餌として利用した男ですから……」
「名取の小僧。いつも妖を連れ歩くくせに、今日は置いてきたな。」
「――別に。意味はない。今は連れて来なかったことを後悔して……あ。」
そう言って部屋の戸を見た名取は声を漏らす。
戸には護符のような札が貼られていて、それは破けていた。
「しまった!護符を貼っておいたのに君が出る時破いたな!?」
「むむ。それで戸が固かったのか。」
「何してくれてるんだ猫ちゃん。何か来たらどうする。」
「ニャンコに破られるチンケな護符を貼るお前が悪い。」
「くそう、一々うまくいかないな……」
「名取さん!」
「ああ、君たちも戻ってきたのか……」
名取とニャンコ先生が喧嘩していると、丁度名取たちとは別々に宿を調べていたリクオと氷麗が戻ってきた。
「そっちは何かわかったかい?」
「……いえ、特にこれといった情報は……名取さんは?」
「こっちも収穫無しさ。まあいい。彩乃、ただいまー……」
名取が寝室に入ると、そこは窓が開いていて、床が水浸しだった。
明らかに何かが侵入した痕跡に、名取たちは焦る。
「彩乃!?」
「彩乃ちゃんどこ!?」
パタン!
パタン!
バタバタ
「――!!いない……」
「まずいな……」
「これってまさか……」
「ああ、連れていかれたかな。」
「な、な……なんですってぇーー!!」
名取の言葉に、氷麗が顔を真っ青にして叫ぶ。
部屋のどこを探しても彩乃が見つからない。
何かが侵入した痕跡、いなくなった彩乃。
それらが意味することは、恐らく誰かに連れ去られたという推測だった。
――みんな何処!?何処にいるの!?
早くここを出ないと……もしも的場さんに見つかったら……
どんっ!
「いっ!」
「――おや。」
「……っ……的場……さん……」
「よく、会いますね。」
名取たちを探して宿の中を走っていると、曲がり角の所で誰かとぶつかった。
痛みで顔を歪めたのは一瞬で、顔を上げてぶつかった相手を見た彩乃は絶句した。
それもその筈、目の前にいるのは今一番会いたくないと思っていた的場だったからだ。
「今は妖は一緒じゃないんですね。」
「……!」
「捕まえろ。」
「わあっ!」
的場の命令に従って彼の側に控えていた男たちが彩乃に手を伸ばす。
彩乃は咄嗟に身を翻して逃げようとするが、背後には的場の式がいた。
的場の式は彩乃を拳で殴ると、その衝撃で彩乃は床に体を叩き付けられてしまう。
そして彩乃はそのまま気を失ってしまったのだった。
「――行くぞ。」
的場は気を失った彩乃を一瞥すると、式に命じて彩乃を運ばせるのだった。
*
――その頃名取たちはというと……
「……まったく、何故私について来るんだ猫ちゃん。あと、肩に乗らないでくれ。」
「むむ、いつもより見晴らしが良いな。彩乃では背が低くて乗りごたえがないのだ。」
「聞いているのかい?」
「彩乃がお前を心配して騒ぐから来てやったのだ。文句なら彩乃に言え。」
「……はあ……」
「ロクでもない奴のようだな。的場ってのは。」
「怖い人さ。危険な妖でも恐れず使うし、目的のためなら従えていた妖を餌にしたりもする。」
「そういえばお前も餌にされたんだったなカゲロウ。」
「……ええ。的場は妖には容赦がありません。恐ろしい男です。」
柊を家に置いてきてしまった名取の身を案じて彼の側についていたカゲロウは、先生の言葉に表情を曇らせる。
「ワタクシの主だった人間は的場の者ではありませんでしたが、あの頭の妖を捕らえるためにワタクシを餌として利用した男ですから……」
「名取の小僧。いつも妖を連れ歩くくせに、今日は置いてきたな。」
「――別に。意味はない。今は連れて来なかったことを後悔して……あ。」
そう言って部屋の戸を見た名取は声を漏らす。
戸には護符のような札が貼られていて、それは破けていた。
「しまった!護符を貼っておいたのに君が出る時破いたな!?」
「むむ。それで戸が固かったのか。」
「何してくれてるんだ猫ちゃん。何か来たらどうする。」
「ニャンコに破られるチンケな護符を貼るお前が悪い。」
「くそう、一々うまくいかないな……」
「名取さん!」
「ああ、君たちも戻ってきたのか……」
名取とニャンコ先生が喧嘩していると、丁度名取たちとは別々に宿を調べていたリクオと氷麗が戻ってきた。
「そっちは何かわかったかい?」
「……いえ、特にこれといった情報は……名取さんは?」
「こっちも収穫無しさ。まあいい。彩乃、ただいまー……」
名取が寝室に入ると、そこは窓が開いていて、床が水浸しだった。
明らかに何かが侵入した痕跡に、名取たちは焦る。
「彩乃!?」
「彩乃ちゃんどこ!?」
パタン!
パタン!
バタバタ
「――!!いない……」
「まずいな……」
「これってまさか……」
「ああ、連れていかれたかな。」
「な、な……なんですってぇーー!!」
名取の言葉に、氷麗が顔を真っ青にして叫ぶ。
部屋のどこを探しても彩乃が見つからない。
何かが侵入した痕跡、いなくなった彩乃。
それらが意味することは、恐らく誰かに連れ去られたという推測だった。