第16章「四国編」
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訳もわからぬまま鴆と牛鬼に屋敷から送り出され、彩乃たちは茫然と屋敷の前で立ち尽くしていた。
「え、えーと……何が何やら……」
「お前……何であんなこと言ったんぜよ。」
「え?」
「俺の為にそこまですることねぇだろ。」
「犬神……違うよ。あれは私がそうしたかったから……私が犬神を玉章の元に連れていってあげたかったからだよ。」
彩乃がそう言うと、犬神は戸惑いながらも「ふーん」とだけ呟くと、気まずそうに先を歩き出した。
その後を彩乃は慌てて追い掛ける。
「――あっ!そうだニャンコ先生。リクオくんたちの所まで乗せてよ。その方が早く着くし!」
「はあ!?嫌に決まってるだろうが!!」
「お願い!七辻屋の饅頭3つ買ってあげるから!」
「ふん!そう何度も何度も食い物で釣られる私ではない。……饅頭10個とお前のおやつ5回分で手を打ってやる。」
「じゅっ!?……ううーん……しょうがないなぁ~……わかったよ。」
「取り引き成立だな。」
「ああ……今月のお小遣いが……」
「ぬほほほ」
お財布の中身を確認しながらポロリと涙を流す彩乃とは対照的に、ニャンコ先生は愉快そうに頬を緩めて笑った。
そんな二人を呆れた眼差しで見つめていた犬神は、こいつ等緊張感まるでねぇなとか思ったのは別の話である。
………………
…………
彩乃たちがリクオの元に向かっていた丁度その頃、既にリクオと玉章の決着はついていた。
リクオが昼と夜の血が混ざった姿で玉章を見事倒し、新たな力の片鱗を垣間見せた。
玉章の敗北。夜雀の裏切り。
リクオに敗北した玉章は崩れ落ちるように地に倒れ伏し、普段の自信に満ち溢れた彼からは想像もつかないほど惨めに、哀れなほど弱々しい姿に成り果てていた。
「ぅぅ……んで…だ…バカな……どこで…間違えたって…言うんだ……玉章の方が力は遥か上!何が……何が違ったと言うんだ……!!」
「組を名乗るんならよ……自分を慕う妖怪くらい……しゃんと背負ってやれよな……お前に尽くすために、僕に死に物狂いでぶつかってきたアイツ……お前の畏れについてきた奴はいたんだ。お前が……裏切ったんだ。」
「…………夜雀ェ……針女……犬ぅ……」
ダラダラと流れる大量の血と共に、玉章の割れた面から覗く目から涙が流れ落ちる。
「若。こいつは……もうダメだぜ。」
「猩影……」
「約束は守らせてもらう!!親父の……仇だ!!」
ヒュンっ!!
「まっっ……てぇぇぇーー!!!!」
ビュオオオオ!!ドガッッ!!
「ぐはっ!!」
猩影が玉章に斬りかかろうとしたまさにその瞬間。
空から少女の大声と共に白い何かが物凄い勢いで降ってきた。
その白く大きな何かは、猩影を勢いよく突き飛ばすと、軽やかに地面に着地したのだった。
「なっ……何だぁ!!??」
「彩乃ちゃん!!?」
「彩乃さん!?」
「良かった!間に合った!!」
空から降ってきたのはなんと斑に乗った彩乃と犬神だった。
予想外の人物たちの登場に、リクオは勿論、その場にいた全ての者たちが呆気に取られる中、彩乃は地に倒れ伏して這いつくばる変わり果てた玉章の姿を見つけ、息を飲んだのだった。
「え、えーと……何が何やら……」
「お前……何であんなこと言ったんぜよ。」
「え?」
「俺の為にそこまですることねぇだろ。」
「犬神……違うよ。あれは私がそうしたかったから……私が犬神を玉章の元に連れていってあげたかったからだよ。」
彩乃がそう言うと、犬神は戸惑いながらも「ふーん」とだけ呟くと、気まずそうに先を歩き出した。
その後を彩乃は慌てて追い掛ける。
「――あっ!そうだニャンコ先生。リクオくんたちの所まで乗せてよ。その方が早く着くし!」
「はあ!?嫌に決まってるだろうが!!」
「お願い!七辻屋の饅頭3つ買ってあげるから!」
「ふん!そう何度も何度も食い物で釣られる私ではない。……饅頭10個とお前のおやつ5回分で手を打ってやる。」
「じゅっ!?……ううーん……しょうがないなぁ~……わかったよ。」
「取り引き成立だな。」
「ああ……今月のお小遣いが……」
「ぬほほほ」
お財布の中身を確認しながらポロリと涙を流す彩乃とは対照的に、ニャンコ先生は愉快そうに頬を緩めて笑った。
そんな二人を呆れた眼差しで見つめていた犬神は、こいつ等緊張感まるでねぇなとか思ったのは別の話である。
………………
…………
彩乃たちがリクオの元に向かっていた丁度その頃、既にリクオと玉章の決着はついていた。
リクオが昼と夜の血が混ざった姿で玉章を見事倒し、新たな力の片鱗を垣間見せた。
玉章の敗北。夜雀の裏切り。
リクオに敗北した玉章は崩れ落ちるように地に倒れ伏し、普段の自信に満ち溢れた彼からは想像もつかないほど惨めに、哀れなほど弱々しい姿に成り果てていた。
「ぅぅ……んで…だ…バカな……どこで…間違えたって…言うんだ……玉章の方が力は遥か上!何が……何が違ったと言うんだ……!!」
「組を名乗るんならよ……自分を慕う妖怪くらい……しゃんと背負ってやれよな……お前に尽くすために、僕に死に物狂いでぶつかってきたアイツ……お前の畏れについてきた奴はいたんだ。お前が……裏切ったんだ。」
「…………夜雀ェ……針女……犬ぅ……」
ダラダラと流れる大量の血と共に、玉章の割れた面から覗く目から涙が流れ落ちる。
「若。こいつは……もうダメだぜ。」
「猩影……」
「約束は守らせてもらう!!親父の……仇だ!!」
ヒュンっ!!
「まっっ……てぇぇぇーー!!!!」
ビュオオオオ!!ドガッッ!!
「ぐはっ!!」
猩影が玉章に斬りかかろうとしたまさにその瞬間。
空から少女の大声と共に白い何かが物凄い勢いで降ってきた。
その白く大きな何かは、猩影を勢いよく突き飛ばすと、軽やかに地面に着地したのだった。
「なっ……何だぁ!!??」
「彩乃ちゃん!!?」
「彩乃さん!?」
「良かった!間に合った!!」
空から降ってきたのはなんと斑に乗った彩乃と犬神だった。
予想外の人物たちの登場に、リクオは勿論、その場にいた全ての者たちが呆気に取られる中、彩乃は地に倒れ伏して這いつくばる変わり果てた玉章の姿を見つけ、息を飲んだのだった。