第16章「四国編」
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「――っ!」
「っ、おい!?」
「犬神っ!?」
犬神を奴良組まで連行している途中、突然犬神が意識を失って倒れた。
側にいた首無はその異変に気付くと、慌てて犬神が地面に倒れ込む前に彼の体を受け止め、彩乃たちも慌てて駆け寄った。
どうやらリクオとの戦いで怪我を負ったダメージが思ったよりも大きかったようで、体に限界がきたようだった。
――でも、彩乃にはわかっていた。
体の怪我も原因の一つだろうが、一番の理由はきっと……心に受けた傷。
犬神にとって、たった一人の絶対的な存在を失ったことへの……絶望。
体の痛みよりも、心の苦しさに耐えきれずに気を失ってしまったように彩乃は感じていた。
******
――気を失った犬神を青田坊に背負わせ、奴良組に帰ってきた後は大変な騒ぎになった。
敵の幹部を連れ帰ってきたリクオたちを見て、奴良組の妖怪たちが動揺を隠せなかったのは当然で、すぐにその事は屋敷中に知れ渡った。
鴆と彩乃が怪我を負ったリクオと犬神の治療をしている間、奴良組の幹部たちが部屋に乱入し、捕らえた犬神に「今すぐ殺せ」だの、怪我をして気を失っている犬神を叩き起こして尋問しろとうるさかった。
それに鴆がブチ切れて怒鳴る前に先にキレた彩乃によって、騒いだ幹部や妖怪たちは彩乃の強力なパンチを顔面にくらい、閉め出されたのは少し前のこと。
*
夜、夕食を済ませた彩乃は犬神の眠る部屋で静かに勉強をしていた。
犬神は時折悪夢でも見ているのか、顔を歪めて苦しそうにうなされていた。
犬神が気になって客室で大人しくできなかった彩乃は、気を紛らわせる為に教材を持ち出したはいいが、実のところ全く集中などできていない。
犬神が心配で、彼の看病を自ら買って出た彩乃をニャンコ先生は呆れた顔でため息をつきつつも、今も寝たフリをして側にいてくれているし、彩乃を心配して氷麗やリクオたちも時々様子を見に来てくれていた。
そんな感じで時間だけが過ぎていったそんな時、ふと外が騒がしいことに気付いた。
外からは何やらザワザワと沢山の妖怪たちの声がし、廊下をバタバタと世話しなく走り回る音もする。
「――何か……あったのかな?」
「おい彩乃。言っておくが関わるなよ?これ以上の面倒事は御免だ。」
「……ちょっと見てくるね。犬神のことよろしく。」
「人の話を聞けーー!!」
騒ぎが気になった彩乃は、外へ行ってみることにした。
まったく人の忠告を聞かない彩乃に、ニャンコ先生はプンスカと憤るのであった。
「牛頭丸!馬頭丸!」
彩乃が騒ぎの場所に行くと、そこには傷だらけで横たわる牛頭丸と馬頭丸がいた。
「ほ~お、こりゃまた随分とやられたなぁ~。」
「どうしたの二人共!どうしてこんな……」
「ゴメン……僕のせいだ!」
「リクオくん!?」
「二人は……僕の命令で動いたのに……こんな……こんなことになるなんて……」
「リクオ様の命令……だったんですか!?」
青ざめた顔で牛頭丸と馬頭丸に謝罪するリクオに、氷麗たち奴良組の妖怪に動揺が走る。
てっきり牛鬼の独断による行動かと思われた事は、大将であるリクオの命令によるものだったのだ。
「うるせえ……テメェの傷を……人のせいにするとか思ってんのか。俺がっ!!……俺の力不足だ……」
「牛頭丸……」
「リクオ様の……作戦だったのか……」
「牛頭丸、馬頭丸が……これって……リクオ様ではダメなんではないか?」
「そりゃまあ……やはり総大将でなければ……」
「この組は――妖怪集団。人が率いれるわけがない。結局は人間のガキなんだ……器を誤ったのではないか……?」
「……っ」
(……なんか、やだな……)
四国妖怪の襲撃で皆がピリピリしているのはわかる。だけど、何もかもリクオのせいにして責める妖怪たちに……彩乃は嫌悪感を感じた。
そんな時、一人の青年が前に出で声を張り上げた。
「ざけんじゃねぇ四国の奴等!!奴良組のシマで好き勝手しやがって!!それなら!!こっちから乗り込んでやろーじゃねぇか!!みんなぁ!!」
シーン……
「なんだよ……おめーら!!なんで……誰も反応しねーんだ!!リクオ様!!今こそ百鬼夜行出入りの時だ!!奴良組の力!!見せつけてやりましょう!!リ……」
「うっ……」
「リクオくん!!」
強いプレッシャーの重圧に負けたのか、リクオは突然崩れ落ちるように膝をついて嘔吐したのだった。
リクオの近くにいた彩乃は慌ててリクオの元へ駆け寄り背中を擦るが、リクオの具合は悪化するばかり。
そして……リクオは気を失ったのだった。
「っ、おい!?」
「犬神っ!?」
犬神を奴良組まで連行している途中、突然犬神が意識を失って倒れた。
側にいた首無はその異変に気付くと、慌てて犬神が地面に倒れ込む前に彼の体を受け止め、彩乃たちも慌てて駆け寄った。
どうやらリクオとの戦いで怪我を負ったダメージが思ったよりも大きかったようで、体に限界がきたようだった。
――でも、彩乃にはわかっていた。
体の怪我も原因の一つだろうが、一番の理由はきっと……心に受けた傷。
犬神にとって、たった一人の絶対的な存在を失ったことへの……絶望。
体の痛みよりも、心の苦しさに耐えきれずに気を失ってしまったように彩乃は感じていた。
******
――気を失った犬神を青田坊に背負わせ、奴良組に帰ってきた後は大変な騒ぎになった。
敵の幹部を連れ帰ってきたリクオたちを見て、奴良組の妖怪たちが動揺を隠せなかったのは当然で、すぐにその事は屋敷中に知れ渡った。
鴆と彩乃が怪我を負ったリクオと犬神の治療をしている間、奴良組の幹部たちが部屋に乱入し、捕らえた犬神に「今すぐ殺せ」だの、怪我をして気を失っている犬神を叩き起こして尋問しろとうるさかった。
それに鴆がブチ切れて怒鳴る前に先にキレた彩乃によって、騒いだ幹部や妖怪たちは彩乃の強力なパンチを顔面にくらい、閉め出されたのは少し前のこと。
*
夜、夕食を済ませた彩乃は犬神の眠る部屋で静かに勉強をしていた。
犬神は時折悪夢でも見ているのか、顔を歪めて苦しそうにうなされていた。
犬神が気になって客室で大人しくできなかった彩乃は、気を紛らわせる為に教材を持ち出したはいいが、実のところ全く集中などできていない。
犬神が心配で、彼の看病を自ら買って出た彩乃をニャンコ先生は呆れた顔でため息をつきつつも、今も寝たフリをして側にいてくれているし、彩乃を心配して氷麗やリクオたちも時々様子を見に来てくれていた。
そんな感じで時間だけが過ぎていったそんな時、ふと外が騒がしいことに気付いた。
外からは何やらザワザワと沢山の妖怪たちの声がし、廊下をバタバタと世話しなく走り回る音もする。
「――何か……あったのかな?」
「おい彩乃。言っておくが関わるなよ?これ以上の面倒事は御免だ。」
「……ちょっと見てくるね。犬神のことよろしく。」
「人の話を聞けーー!!」
騒ぎが気になった彩乃は、外へ行ってみることにした。
まったく人の忠告を聞かない彩乃に、ニャンコ先生はプンスカと憤るのであった。
「牛頭丸!馬頭丸!」
彩乃が騒ぎの場所に行くと、そこには傷だらけで横たわる牛頭丸と馬頭丸がいた。
「ほ~お、こりゃまた随分とやられたなぁ~。」
「どうしたの二人共!どうしてこんな……」
「ゴメン……僕のせいだ!」
「リクオくん!?」
「二人は……僕の命令で動いたのに……こんな……こんなことになるなんて……」
「リクオ様の命令……だったんですか!?」
青ざめた顔で牛頭丸と馬頭丸に謝罪するリクオに、氷麗たち奴良組の妖怪に動揺が走る。
てっきり牛鬼の独断による行動かと思われた事は、大将であるリクオの命令によるものだったのだ。
「うるせえ……テメェの傷を……人のせいにするとか思ってんのか。俺がっ!!……俺の力不足だ……」
「牛頭丸……」
「リクオ様の……作戦だったのか……」
「牛頭丸、馬頭丸が……これって……リクオ様ではダメなんではないか?」
「そりゃまあ……やはり総大将でなければ……」
「この組は――妖怪集団。人が率いれるわけがない。結局は人間のガキなんだ……器を誤ったのではないか……?」
「……っ」
(……なんか、やだな……)
四国妖怪の襲撃で皆がピリピリしているのはわかる。だけど、何もかもリクオのせいにして責める妖怪たちに……彩乃は嫌悪感を感じた。
そんな時、一人の青年が前に出で声を張り上げた。
「ざけんじゃねぇ四国の奴等!!奴良組のシマで好き勝手しやがって!!それなら!!こっちから乗り込んでやろーじゃねぇか!!みんなぁ!!」
シーン……
「なんだよ……おめーら!!なんで……誰も反応しねーんだ!!リクオ様!!今こそ百鬼夜行出入りの時だ!!奴良組の力!!見せつけてやりましょう!!リ……」
「うっ……」
「リクオくん!!」
強いプレッシャーの重圧に負けたのか、リクオは突然崩れ落ちるように膝をついて嘔吐したのだった。
リクオの近くにいた彩乃は慌ててリクオの元へ駆け寄り背中を擦るが、リクオの具合は悪化するばかり。
そして……リクオは気を失ったのだった。