第16章「四国編」
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「貴様ら!私の得物に手を出すとは、覚悟はできているんだろうな!?」
彩乃の危機に颯爽と現れたニャンコ先生は、彩乃を背に庇いながら身を低くして唸る。
しかし本来の姿に戻ったニャンコ先生の威嚇にも、玉章と犬神はどこか余裕そうに笑っていた。
「なんぜよこのでかい妖怪は。犬か?」
「これはこれは……随分と大物の妖怪を従えているんだな。それも友人帳の力かい?」
「違う!先生はそんなんじゃ……」
「放っておけ彩乃。こんな奴等さっさと追っ払ってしまえばいい。ふん!」
カッ!!
「っ!」
「ぐあっ!!」
ニャンコ先生が目映い退魔の光を放つと、玉章は顔を歪め、犬神は苦しげに踞る。
そんな二人を見て、ニャンコ先生は腹立たしげに舌打ちした。
「チィ。下級の妖なら消し飛んだものを……こいつ等中々の大物だな。」
「先生!」
「それは誉め言葉として受け取っていいのかな?……犬神立て。いつまで座り込んでいるつもりだ。」
「ぐう……」
玉章は冷やかな目で犬神を見下ろしながらそう命じると、犬神はふらふらとよろめきながらも立ち上がった。
苦しそうに荒い呼吸をし、憎々しいものを見るような目でこちらを睨み付けてくる。
「……いてえ……いてえよ……くそ、よくも俺をこんな目に……許さねぇ……」
「……っ」
「ブツブツと呟いて気味の悪い奴だ。」
小さな声でブツブツと何かを呟いているが、彩乃は何を言っているのか聞き取れなかった。
しかし、苦しそうに荒い呼吸をしながらもどこか楽しげにニヤリと笑っている犬神に彩乃は恐怖を感じた。
そんな犬神と彩乃を見て、玉章は楽しそうにクスリと笑う。
「あ~あ、犬神を本気にさせてしまったかな……こいつの本気は汚いから見たくなかったのに……」
「何を……言っているの?」
「人間のくせにそんなつえー妖怪を従えてるとか……生意気だろ……許さねぇ……くく……」
「……っ!」
「彩乃!?」
犬神の目が彩乃を捕らえ、彩乃がその視線に怯んだ時、ニャンコ先生が切羽詰まったような声で彩乃の名を叫んだ。
彩乃がその声にハッと気付いた時にはもう遅く、犬神は動いていた。
ぶちぶちぶち
ギュオオオオ!!
「死ねぇぇえええ!!!」
「あっ……」
犬神の首がプチプチと肉の裂ける嫌な音を立てて切り離される。
犬神の体から離れた首はそのまま彩乃に向かって飛んでいく。
人の頭がまるで犬のような頭に変化し、憎々しいものを見る目で彩乃を見つめながら、彼女目掛けて迫ってくる。
あまりにも恐ろしく、そしておぞましいその目に捕らわれた彩乃は、そこから動くことができなかった。
彩乃はただ、自分の首に今にも齧り付き、食い千切ろうと迫ってくる犬神から目を閉じて次にくる痛みに耐えることしか出来なかったのだ。
ガウウウ!!
「――っ!!…………?」
痛みに備えて目をぎゅっと閉じても、中々その衝撃はこなかった。
彩乃は不思議に思ってうっすらと目を開ければ、犬神の首を大きな前足で踏みつけて止めているニャンコ先生がいた。
「――ニャンコ……先生……!」
「敵から目を逸らすな馬鹿者!!」
ニャンコ先生に助けられたのだと理解するのに、ぼんやりとしていた彩乃は時間が掛かった。
彩乃を攻撃されて不機嫌になったのか、ニャンコ先生は犬神の首を体重をかけて踏みつける。
「ぐうぁっ!!」
「このまま踏み潰してくれるわ!!」
「うわあああっ!!」
「――っ!待って先生!殺しちゃ駄目!!」
「――何を言っている!」
犬神の苦痛に満ちた叫び声に我に返った彩乃は慌てて先生に駆け寄る。
たった今自分を殺そうとした相手に甘いことを言う彩乃に、今回ばかりはニャンコ先生も青筋を浮かべて彩乃を怒鳴り付けた。
「お前はどこまで甘いんだ!たった今自分を殺そうとした奴を助ける馬鹿がいるか!!」
「そうだけど……でも殺すのは駄目だよ!」
「いい加減にしろ阿呆めが!!今ここで始末しなくてはまた命を狙われるんだぞ!!」
「で、でも……!」
「――捕まえた。」
「!?」
「なっ!?」
緊迫した状況で言い争いをしていたのが悪かった。
完全に油断していた彩乃達は、犬神にばかり気が向いていて、彩乃に静かに近付く玉章の気配に気付けなかったのだ。
「油断大敵だよ。僕もいることを忘れてもらっては困るな。」
「――貴様っ!」
「動いたらこの子の首……へし折るよ?」
「っ!」
「ぐぬぅっ!」
玉章は後ろから彩乃を抱き竦めるようにして彼女を捕らえると、右手を彩乃の首にそっと添えて静かにニャンコ先生を脅してきた。
彩乃を人質に取られ、ニャンコ先生は思うように動けない。
そして犬神は、そのチャンスを逃すようなことはしなかった。
ニャンコ先生の意識が玉章と彩乃に向いている隙に、空いている本体を大きな犬のような妖怪の姿に変化させると、その巨体でニャンコ先生に突進してきたのだ。
ドオオン!!
「うぉう!!」
「今だ!!」
ヒュンッ!カブゥゥ!!
「ガアアアア!!」
「先生っ!!」
犬神の巨体に突進された衝撃でふらりとよろめく先生。
その隙に犬神の首はするりと抜け出し、そのままニャンコ先生の喉元に食い付いた。
先生の苦痛に満ちた咆哮に、彩乃は自分の首に玉章の指が触れているのもお構いなしに、彼を振り払って先生の元へ駆け寄ろうと藻掻いた。
しかし、それを易々と許す玉章ではない。
「おっと。死にたくなかったら大人しくしててくれないか?」
「離して!!先生!!先生ーっ!!」
犬神に喉を噛み付かれ、首からは大量の血が流れ出ている。
今までだって何度かピンチになった時はあった。
たけど、こんな……
こんな風に先生の血を見るのは初めてで……
彩乃はただ泣きじゃくり、必死にニャンコ先生の名を叫びながら手を伸ばすのだった。
彩乃の危機に颯爽と現れたニャンコ先生は、彩乃を背に庇いながら身を低くして唸る。
しかし本来の姿に戻ったニャンコ先生の威嚇にも、玉章と犬神はどこか余裕そうに笑っていた。
「なんぜよこのでかい妖怪は。犬か?」
「これはこれは……随分と大物の妖怪を従えているんだな。それも友人帳の力かい?」
「違う!先生はそんなんじゃ……」
「放っておけ彩乃。こんな奴等さっさと追っ払ってしまえばいい。ふん!」
カッ!!
「っ!」
「ぐあっ!!」
ニャンコ先生が目映い退魔の光を放つと、玉章は顔を歪め、犬神は苦しげに踞る。
そんな二人を見て、ニャンコ先生は腹立たしげに舌打ちした。
「チィ。下級の妖なら消し飛んだものを……こいつ等中々の大物だな。」
「先生!」
「それは誉め言葉として受け取っていいのかな?……犬神立て。いつまで座り込んでいるつもりだ。」
「ぐう……」
玉章は冷やかな目で犬神を見下ろしながらそう命じると、犬神はふらふらとよろめきながらも立ち上がった。
苦しそうに荒い呼吸をし、憎々しいものを見るような目でこちらを睨み付けてくる。
「……いてえ……いてえよ……くそ、よくも俺をこんな目に……許さねぇ……」
「……っ」
「ブツブツと呟いて気味の悪い奴だ。」
小さな声でブツブツと何かを呟いているが、彩乃は何を言っているのか聞き取れなかった。
しかし、苦しそうに荒い呼吸をしながらもどこか楽しげにニヤリと笑っている犬神に彩乃は恐怖を感じた。
そんな犬神と彩乃を見て、玉章は楽しそうにクスリと笑う。
「あ~あ、犬神を本気にさせてしまったかな……こいつの本気は汚いから見たくなかったのに……」
「何を……言っているの?」
「人間のくせにそんなつえー妖怪を従えてるとか……生意気だろ……許さねぇ……くく……」
「……っ!」
「彩乃!?」
犬神の目が彩乃を捕らえ、彩乃がその視線に怯んだ時、ニャンコ先生が切羽詰まったような声で彩乃の名を叫んだ。
彩乃がその声にハッと気付いた時にはもう遅く、犬神は動いていた。
ぶちぶちぶち
ギュオオオオ!!
「死ねぇぇえええ!!!」
「あっ……」
犬神の首がプチプチと肉の裂ける嫌な音を立てて切り離される。
犬神の体から離れた首はそのまま彩乃に向かって飛んでいく。
人の頭がまるで犬のような頭に変化し、憎々しいものを見る目で彩乃を見つめながら、彼女目掛けて迫ってくる。
あまりにも恐ろしく、そしておぞましいその目に捕らわれた彩乃は、そこから動くことができなかった。
彩乃はただ、自分の首に今にも齧り付き、食い千切ろうと迫ってくる犬神から目を閉じて次にくる痛みに耐えることしか出来なかったのだ。
ガウウウ!!
「――っ!!…………?」
痛みに備えて目をぎゅっと閉じても、中々その衝撃はこなかった。
彩乃は不思議に思ってうっすらと目を開ければ、犬神の首を大きな前足で踏みつけて止めているニャンコ先生がいた。
「――ニャンコ……先生……!」
「敵から目を逸らすな馬鹿者!!」
ニャンコ先生に助けられたのだと理解するのに、ぼんやりとしていた彩乃は時間が掛かった。
彩乃を攻撃されて不機嫌になったのか、ニャンコ先生は犬神の首を体重をかけて踏みつける。
「ぐうぁっ!!」
「このまま踏み潰してくれるわ!!」
「うわあああっ!!」
「――っ!待って先生!殺しちゃ駄目!!」
「――何を言っている!」
犬神の苦痛に満ちた叫び声に我に返った彩乃は慌てて先生に駆け寄る。
たった今自分を殺そうとした相手に甘いことを言う彩乃に、今回ばかりはニャンコ先生も青筋を浮かべて彩乃を怒鳴り付けた。
「お前はどこまで甘いんだ!たった今自分を殺そうとした奴を助ける馬鹿がいるか!!」
「そうだけど……でも殺すのは駄目だよ!」
「いい加減にしろ阿呆めが!!今ここで始末しなくてはまた命を狙われるんだぞ!!」
「で、でも……!」
「――捕まえた。」
「!?」
「なっ!?」
緊迫した状況で言い争いをしていたのが悪かった。
完全に油断していた彩乃達は、犬神にばかり気が向いていて、彩乃に静かに近付く玉章の気配に気付けなかったのだ。
「油断大敵だよ。僕もいることを忘れてもらっては困るな。」
「――貴様っ!」
「動いたらこの子の首……へし折るよ?」
「っ!」
「ぐぬぅっ!」
玉章は後ろから彩乃を抱き竦めるようにして彼女を捕らえると、右手を彩乃の首にそっと添えて静かにニャンコ先生を脅してきた。
彩乃を人質に取られ、ニャンコ先生は思うように動けない。
そして犬神は、そのチャンスを逃すようなことはしなかった。
ニャンコ先生の意識が玉章と彩乃に向いている隙に、空いている本体を大きな犬のような妖怪の姿に変化させると、その巨体でニャンコ先生に突進してきたのだ。
ドオオン!!
「うぉう!!」
「今だ!!」
ヒュンッ!カブゥゥ!!
「ガアアアア!!」
「先生っ!!」
犬神の巨体に突進された衝撃でふらりとよろめく先生。
その隙に犬神の首はするりと抜け出し、そのままニャンコ先生の喉元に食い付いた。
先生の苦痛に満ちた咆哮に、彩乃は自分の首に玉章の指が触れているのもお構いなしに、彼を振り払って先生の元へ駆け寄ろうと藻掻いた。
しかし、それを易々と許す玉章ではない。
「おっと。死にたくなかったら大人しくしててくれないか?」
「離して!!先生!!先生ーっ!!」
犬神に喉を噛み付かれ、首からは大量の血が流れ出ている。
今までだって何度かピンチになった時はあった。
たけど、こんな……
こんな風に先生の血を見るのは初めてで……
彩乃はただ泣きじゃくり、必死にニャンコ先生の名を叫びながら手を伸ばすのだった。