第2章「会合編」
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名取は壺を片手で受け止めながら不機嫌そうに七瀬の去って行った方を睨んでいた。
「……的場一門はどうもいけすかないな。大丈夫かい?」
「あ、はい……色々驚いただけです。」
戸惑いながらも答える彩乃に、名取は微笑む。
「――お祖母さんも、妖を見る人だったのかい?」
「……はい」
(……そういえば、名取さんにはまだレイコさんの事や友人帳のことを話してなかったな…)
名取の質問に答えながら、彩乃はふと考えた。
話すべきだろうか?『友人帳』のこと。
自分と同じ痛みを知り、同じ景色を見ることが出来るこの人には……
――いや、
妖相手でもあの騒ぎなのだ。
もし、人間の手に渡ったら……
先程の七瀬の様な妖を道具としか見ない人間に、友人帳の存在を知られたら……
人からも狙われることになるのだろうか……?
「……っ」
彩乃は思わず無意識に持っていた鞄を手で押さえていた。
駄目だ、一度嫌な方向に考えると、どんどん悪い方へ考えてしまう。
彩乃は自分の考えを振り払う様にかぶりを振った。
どんっ!
「……わっ!」
「……っ!」
彩乃が考え事をしていると、不意に誰かとぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい!」
「いえ、私こそすんません。」
(……女の子?)
お互いにぶつかった事を謝罪すると、彩乃はその相手が自分と同じ年頃の…つまり中学生くらいの女の子であったことに驚いた。
てっきりこの会合には名取の様な妖祓いのプロが集まる所だと思っていた。
だから無意識に大人だけの集まりだと思い込んでいたのだ。
だからこの女の子を見て、とても驚いた。
それは相手も同じだったようで、少女、ゆらもじっと彩乃を見て驚いていた。
「……初めて見る顔やね?あんたも会合に参加しとるん?迷い込んだんとちゃうよね?」
「え?ええ、私は付き添いで……」
突然話しかけられ、彩乃は戸惑いながらも答える。
するとゆらは嬉しそうに顔を輝かせた。
「私は花開院ゆら。あんたは?」
「私は……「ゆら」「彩乃」」
彩乃が名を名乗ろうとしたその時、名取と誰か別の男性に名を呼ばれ、彩乃とゆらは振り返った。
「名取さん!」
「お兄ちゃん!」
ゆらに声をかけてきたのは彼女の実の兄の花開院竜二だった。
竜二はちらりと彩乃と名取を睨みつけると、眉間のしわを深くした。
「……おい、ゆら。何遊んでやがる行くぞ!」
「あっ!待ってやお兄ちゃん!えっと……ごめんな?」
「あ、ううん!」
さっさと先へ行ってしまう竜二の後を追うべく、ゆらは彩乃に軽く謝ると、彼の後を追って行ってしまった。
せっかく同じ年頃の女の子と友達なれそうだった彩乃は、少し残念そうにゆらを見送ったのだった。
「……彩乃、彼女たちと知りあいなのか?」
「いえ、さっきぶつかってしまっただけですよ。」
「そうか、彼らにはあまり近づかない方がいいよ。彼らは花開院家の者……陰陽師だ。」
「陰陽師!?」
名取の言葉に彩乃は目を見開いて驚く。
それに名取は簡単に説明してくれた。
「花開院家は平安時代から続く陰陽師の家柄だ。妖を使役し、陣を使って封印を得意とする祓い屋と違って、彼らは霊獣を式として使い、妖を退治することに関しては右に出るものはいない。あの子達は花開院家の跡取りだろうね。」
「……すごいですね。」
「ああ、彩乃は、あの子と友達になりたかったかい?」
「え?」
突然名取にそう問われ、彩乃はきょとりと目を丸くする。
そして少し考えてから、ふわりと微笑んだ。
「……そうですね。縁があれば、もっとお話ししてみたいです。」
「そっか……」
彩乃の笑顔に名取も優しげな眼差しで笑ってくれた。
*****
「おいゆら、あいつに余計なこと喋ってないだろうな?」
「あいつって、さっきの女の子のこと?」
「あいつは祓い屋だ。側に妙な猫の妖怪がいたし、あいつはおそらくあの女の式だろう。それにあの名取のオヤジもいたからな。」
「あの子、祓い屋やったんか!?」
「……だからお前は馬鹿なんだ。」
我が妹ながら呆れる。
竜二は深くため息をついた。
「……そっか、あの子も妖祓いなんやな……」
陰陽師にとって、祓い屋はある意味同業者であり、商売敵だ。
だかゆらは、ちょっとだけあの女の子と友達になってみたいと思うのだった。
「……的場一門はどうもいけすかないな。大丈夫かい?」
「あ、はい……色々驚いただけです。」
戸惑いながらも答える彩乃に、名取は微笑む。
「――お祖母さんも、妖を見る人だったのかい?」
「……はい」
(……そういえば、名取さんにはまだレイコさんの事や友人帳のことを話してなかったな…)
名取の質問に答えながら、彩乃はふと考えた。
話すべきだろうか?『友人帳』のこと。
自分と同じ痛みを知り、同じ景色を見ることが出来るこの人には……
――いや、
妖相手でもあの騒ぎなのだ。
もし、人間の手に渡ったら……
先程の七瀬の様な妖を道具としか見ない人間に、友人帳の存在を知られたら……
人からも狙われることになるのだろうか……?
「……っ」
彩乃は思わず無意識に持っていた鞄を手で押さえていた。
駄目だ、一度嫌な方向に考えると、どんどん悪い方へ考えてしまう。
彩乃は自分の考えを振り払う様にかぶりを振った。
どんっ!
「……わっ!」
「……っ!」
彩乃が考え事をしていると、不意に誰かとぶつかってしまった。
「あ、ごめんなさい!」
「いえ、私こそすんません。」
(……女の子?)
お互いにぶつかった事を謝罪すると、彩乃はその相手が自分と同じ年頃の…つまり中学生くらいの女の子であったことに驚いた。
てっきりこの会合には名取の様な妖祓いのプロが集まる所だと思っていた。
だから無意識に大人だけの集まりだと思い込んでいたのだ。
だからこの女の子を見て、とても驚いた。
それは相手も同じだったようで、少女、ゆらもじっと彩乃を見て驚いていた。
「……初めて見る顔やね?あんたも会合に参加しとるん?迷い込んだんとちゃうよね?」
「え?ええ、私は付き添いで……」
突然話しかけられ、彩乃は戸惑いながらも答える。
するとゆらは嬉しそうに顔を輝かせた。
「私は花開院ゆら。あんたは?」
「私は……「ゆら」「彩乃」」
彩乃が名を名乗ろうとしたその時、名取と誰か別の男性に名を呼ばれ、彩乃とゆらは振り返った。
「名取さん!」
「お兄ちゃん!」
ゆらに声をかけてきたのは彼女の実の兄の花開院竜二だった。
竜二はちらりと彩乃と名取を睨みつけると、眉間のしわを深くした。
「……おい、ゆら。何遊んでやがる行くぞ!」
「あっ!待ってやお兄ちゃん!えっと……ごめんな?」
「あ、ううん!」
さっさと先へ行ってしまう竜二の後を追うべく、ゆらは彩乃に軽く謝ると、彼の後を追って行ってしまった。
せっかく同じ年頃の女の子と友達なれそうだった彩乃は、少し残念そうにゆらを見送ったのだった。
「……彩乃、彼女たちと知りあいなのか?」
「いえ、さっきぶつかってしまっただけですよ。」
「そうか、彼らにはあまり近づかない方がいいよ。彼らは花開院家の者……陰陽師だ。」
「陰陽師!?」
名取の言葉に彩乃は目を見開いて驚く。
それに名取は簡単に説明してくれた。
「花開院家は平安時代から続く陰陽師の家柄だ。妖を使役し、陣を使って封印を得意とする祓い屋と違って、彼らは霊獣を式として使い、妖を退治することに関しては右に出るものはいない。あの子達は花開院家の跡取りだろうね。」
「……すごいですね。」
「ああ、彩乃は、あの子と友達になりたかったかい?」
「え?」
突然名取にそう問われ、彩乃はきょとりと目を丸くする。
そして少し考えてから、ふわりと微笑んだ。
「……そうですね。縁があれば、もっとお話ししてみたいです。」
「そっか……」
彩乃の笑顔に名取も優しげな眼差しで笑ってくれた。
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「おいゆら、あいつに余計なこと喋ってないだろうな?」
「あいつって、さっきの女の子のこと?」
「あいつは祓い屋だ。側に妙な猫の妖怪がいたし、あいつはおそらくあの女の式だろう。それにあの名取のオヤジもいたからな。」
「あの子、祓い屋やったんか!?」
「……だからお前は馬鹿なんだ。」
我が妹ながら呆れる。
竜二は深くため息をついた。
「……そっか、あの子も妖祓いなんやな……」
陰陽師にとって、祓い屋はある意味同業者であり、商売敵だ。
だかゆらは、ちょっとだけあの女の子と友達になってみたいと思うのだった。