第13章「林間学校編」
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「――兎に角、今すぐここから出ていけ。俺が出口を切り開いてやるから!」
「えっ、ちょっと待って……!」
「何をしているイタク。」
「……ちっ!」
何故か慌てた様子で彩乃を追い出そうとするイタク。
ぐいぐいと背中を押され、彩乃が戸惑ったように彼を見ると、突然彼の名を呼ぶ別の妖が現れた。
見たところ「なまはげ」のようだが、その妖の登場にイタクは何故か舌打ちをした。
「……そいつは侵入者か?何故始末しない。」
「こいつは只の人間だ。外に出してやればいいだけだろう。」
「……?どうしたイタク。いつものお前なら問答無用で始末するか、赤河童様に報告するだろう?」
「……」
「何か事情がありそうだな。兎に角、赤河童様の所へは連れていくぞ。」
「――ああ。」
イタクはなまはげの言葉に渋々といった様子で頷くと、険しい表情で彩乃を見つめた。
「――悪いが、一緒に来てもらうぞ。大丈夫だ。悪いようにはさせないから……」
「……わかった。」
「おい何を言っている!さっさと逃げるぞ彩乃!」
「……待ってニャンコ先生。兎に角イタクを信じよう。」
「……ふん。勝手にしろ!」
イタクは最後の言葉だけ彩乃に聞こえるように耳打ちすると、彩乃はその言葉を信じることにした。
明らかに危険なのに、それでも着いていこうとする彩乃に、ニャンコ先生は付き合いきれないとそっぽを向くのであった。
******
「――お前さんが里の侵入者か……見たところ、本当に只の人の子じゃな。」
「……」
彩乃が連れてこられた屋敷には、多くの妖怪達が待ち構えていた。
中央に座らされた彩乃は、目の前に座る大きな赤い河童の妖怪にじっと見つめられ、蛇に睨まれた蛙の如く体を強張らせた。
(こ……怖い。そして何かデジャブを感じる……)
前に奴良組に初めて連れてこられた時も、こんな風に妖怪達に取り囲まれるようにして座らされた事があった。
だけど、あの時と違って……いや、あの時よりもずっと張り詰めた重い空気に、彩乃は首筋に嫌な汗を感じた。
「人間がどうやってこの遠野の里に足を踏み入れた?この里には畏れが張り巡らされていて、妖怪でも簡単には入れねぇんだぞ?」
「……畏れ?」
「娘。見たところ相当な霊力を持っているようだな。しかし、それだけではこの遠野の里には入れない筈だ。どうやってここに入った?」
「えっ、えっと……」
「おい小娘。さっさと赤河童様の質問に答えろ。さもないと喰ってしまうぞ!」
「……っ!」
彩乃がどう答えようか迷っていると、モタモタしていることに苛立ったのか、側近らしき河童の妖怪が彩乃を脅してきた。
あまりにもすごい気迫に彩乃が怯むと、今まで傍観していたニャンコ先生が言葉を発した。
「……やれやれ……相変わらず遠野の連中は気が短いなぁ。」
「……ん?何だその白い豚は。見たところ妖怪か?」
「その声……おお、もしやお前さん斑か?」
「何!?斑ですと!?この白豚が!?」
「お前等好き放題言ってくれるな……ふん!」
どろん!
ニャンコ先生の体が煙に包まれたかと思えば、次の瞬間には本来の姿である斑の姿になっていた。
大きく立派な姿になったニャンコ先生に、周囲の妖怪達は「おお!」と感心の声を上げる。
「おお、その姿……やはり斑だったか。あまりにも珍妙な姿になっていたのでわからんかったぞ。」
「相変わらずのんきな奴だ。それよりも、こいつは私の獲物だ。横取りするつもりなら私がお前等を先に喰ってしまうぞ。」
「何だと貴様!赤河童様の知り合いだからって、いい気になるなよ!」
「ふん!小物風情がこの私に偉そうに!」
「なんだとぉ!」
「やめなさーーい!!」
ごいんっ!!
「ふぎゃっ!!」
どろんっ!
まさに一触即発といった雰囲気になっていた時、彩乃の怒声が響いた。
そして彩乃の鉄拳が見事に斑の顔面にめり込むと、その衝撃で斑は招き猫の姿に戻ってしまった。
「ぬぉぉ~!おのれ彩乃!私に何てことするんだ!!」
「只でさえ厄介な事態になってるのに、これ以上揉め事を起こさないでよ!!」
「「……」」
「……はっ!」
(……し、しまったぁ~……やってしまった……!)
ついいつもの感じでニャンコ先生の暴走を止めてしまった彩乃。
しんと静まり返った空気の中、自分が妖怪達の注目の的になっていることに気付き、彩乃はやらかしてしまったと青ざめるのであった。
「えっ、ちょっと待って……!」
「何をしているイタク。」
「……ちっ!」
何故か慌てた様子で彩乃を追い出そうとするイタク。
ぐいぐいと背中を押され、彩乃が戸惑ったように彼を見ると、突然彼の名を呼ぶ別の妖が現れた。
見たところ「なまはげ」のようだが、その妖の登場にイタクは何故か舌打ちをした。
「……そいつは侵入者か?何故始末しない。」
「こいつは只の人間だ。外に出してやればいいだけだろう。」
「……?どうしたイタク。いつものお前なら問答無用で始末するか、赤河童様に報告するだろう?」
「……」
「何か事情がありそうだな。兎に角、赤河童様の所へは連れていくぞ。」
「――ああ。」
イタクはなまはげの言葉に渋々といった様子で頷くと、険しい表情で彩乃を見つめた。
「――悪いが、一緒に来てもらうぞ。大丈夫だ。悪いようにはさせないから……」
「……わかった。」
「おい何を言っている!さっさと逃げるぞ彩乃!」
「……待ってニャンコ先生。兎に角イタクを信じよう。」
「……ふん。勝手にしろ!」
イタクは最後の言葉だけ彩乃に聞こえるように耳打ちすると、彩乃はその言葉を信じることにした。
明らかに危険なのに、それでも着いていこうとする彩乃に、ニャンコ先生は付き合いきれないとそっぽを向くのであった。
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「――お前さんが里の侵入者か……見たところ、本当に只の人の子じゃな。」
「……」
彩乃が連れてこられた屋敷には、多くの妖怪達が待ち構えていた。
中央に座らされた彩乃は、目の前に座る大きな赤い河童の妖怪にじっと見つめられ、蛇に睨まれた蛙の如く体を強張らせた。
(こ……怖い。そして何かデジャブを感じる……)
前に奴良組に初めて連れてこられた時も、こんな風に妖怪達に取り囲まれるようにして座らされた事があった。
だけど、あの時と違って……いや、あの時よりもずっと張り詰めた重い空気に、彩乃は首筋に嫌な汗を感じた。
「人間がどうやってこの遠野の里に足を踏み入れた?この里には畏れが張り巡らされていて、妖怪でも簡単には入れねぇんだぞ?」
「……畏れ?」
「娘。見たところ相当な霊力を持っているようだな。しかし、それだけではこの遠野の里には入れない筈だ。どうやってここに入った?」
「えっ、えっと……」
「おい小娘。さっさと赤河童様の質問に答えろ。さもないと喰ってしまうぞ!」
「……っ!」
彩乃がどう答えようか迷っていると、モタモタしていることに苛立ったのか、側近らしき河童の妖怪が彩乃を脅してきた。
あまりにもすごい気迫に彩乃が怯むと、今まで傍観していたニャンコ先生が言葉を発した。
「……やれやれ……相変わらず遠野の連中は気が短いなぁ。」
「……ん?何だその白い豚は。見たところ妖怪か?」
「その声……おお、もしやお前さん斑か?」
「何!?斑ですと!?この白豚が!?」
「お前等好き放題言ってくれるな……ふん!」
どろん!
ニャンコ先生の体が煙に包まれたかと思えば、次の瞬間には本来の姿である斑の姿になっていた。
大きく立派な姿になったニャンコ先生に、周囲の妖怪達は「おお!」と感心の声を上げる。
「おお、その姿……やはり斑だったか。あまりにも珍妙な姿になっていたのでわからんかったぞ。」
「相変わらずのんきな奴だ。それよりも、こいつは私の獲物だ。横取りするつもりなら私がお前等を先に喰ってしまうぞ。」
「何だと貴様!赤河童様の知り合いだからって、いい気になるなよ!」
「ふん!小物風情がこの私に偉そうに!」
「なんだとぉ!」
「やめなさーーい!!」
ごいんっ!!
「ふぎゃっ!!」
どろんっ!
まさに一触即発といった雰囲気になっていた時、彩乃の怒声が響いた。
そして彩乃の鉄拳が見事に斑の顔面にめり込むと、その衝撃で斑は招き猫の姿に戻ってしまった。
「ぬぉぉ~!おのれ彩乃!私に何てことするんだ!!」
「只でさえ厄介な事態になってるのに、これ以上揉め事を起こさないでよ!!」
「「……」」
「……はっ!」
(……し、しまったぁ~……やってしまった……!)
ついいつもの感じでニャンコ先生の暴走を止めてしまった彩乃。
しんと静まり返った空気の中、自分が妖怪達の注目の的になっていることに気付き、彩乃はやらかしてしまったと青ざめるのであった。