第12章「月分祭編」
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「――さて、豊月神が封印された辺りは何処だい?」
「はい、こちらです。」
名取達は白笠の案内で豊月神が封印された場所へと向かっていた。
「――彩乃は無事だろうか。無茶をしていなければいいけど……」
「……名取さん、一つ訊いてもいいですか?」
「何だい?」
「あの女……確か夏目と言いましたっけ。彼女は貴方の何なんですか?初めは助手か何かだと思ってましたが、どうやら違うようだし、弟子という訳でもないのでしょう?」
「――彼女は……私の友人だよ。困ったことに妖に甘いね。」
「……友人?」
名取の返答に竜二は納得しきれていないのか、怪訝そうに眉をひそめた。
会合で初めて会った時、あまりの霊力の強さにてっきり名取の助手か弟子か何かだと思ったが、どうやら違うようだし、かと言ってただの友人のようにも思えなかった。
「……」
(……何か隠してるのか?それに、『夏目』って……まさかな……)
彼女には何かある。
竜二は何故かそんな気がしてならなかった。
*****
名取達が案内されたのは崖の上に建てられた屋敷だった。
「あの崖の廃屋の辺りで封じられ、その余波で裏の森から河原の辺りまでの何処かに落ちたらしく、未だ見つけられず。」
「――結構な範囲だな……ではまず廃屋へ」
名取達は慎重に廃屋の扉を開ける。
中は真っ暗で、長い間人が出入りしていなかったのか、埃っぽい臭いがした。
「――暗くて中がよく見えねぇな……」
ガタタ
「!、何かいる……!」
「む?何だお前等か……」
「出たな化け物!」
ゴンッ!
「ぎゃっ!」
「ニャンコ先生どうした……あっ!」
「彩乃!」
「名取さん!」
名取達が廃屋の中に入ると、微かに物音がして、暗闇からひょっこりと顔を出したのはニャンコ先生だった。
化け物と勘違いした白笠に木の棒で顔面を殴られ、思わず声を上げる先生。
その騒ぎに気付いた彩乃がニャンコ先生の元へ駆け付ければ、偶然にも名取達と合流したのであった。
「――勝負は獣を先に会場へ捕まえてきた者を勝ちとするらしく、私も何とか追ってはみたんですが、獣というより竜のような妖で……人には難しいだろうから封印探しの方をと白笠達が……」
「……追ってみた?竜のような妖を?……彩乃……また……」
「あ、すみません……でも……いえ、すみません……」
笑っているのに目が笑っていない。
名取の迫力ある威圧感たっぷりの黒い笑みを向けられて、彩乃は青ざめながらも謝った。
「白笠達だけでどこまでやれるか……しかし、これでまた勝率が下がったということだな。」
「――そういうことだね……はあ。」
「……」
(――気のせいかな。名取さんが不月神を祓うことに本当は迷いがあるように見えた……)
「――でも、白笠達だけじゃない。先生や柊、花開院さんだっています。皆が協力すれば何とかなるかもしれない。何としても豊月神を見つけましょう!」
例え私の気のせいでもいい。
名取さんに神殺しなんてマネさせたくない。
「――彩乃……」
「!おい下がれ!!」
「えっ」
突然竜二の焦ったような声に、彩乃は驚いて振り返る。
すると彩乃の背後に獅子のような獣がすぐ側まで迫っていたのだ。
「グルルル、ガアアア!!」
「うわっ!!」
「「彩乃!!」」
「夏目!!」
「おいっ!!」
獣は彩乃に飛び掛かると、その勢いで体がぐらりと傾き、彩乃はベランダから落ちてしまう。
名取達が名を呼んだ気がしたが、彩乃はそのまま川へと落ちてしまう。
川に落ちる瞬間、竜二がベランダから飛び降りて自分の腕を掴んだのが見えた気がした。
「はい、こちらです。」
名取達は白笠の案内で豊月神が封印された場所へと向かっていた。
「――彩乃は無事だろうか。無茶をしていなければいいけど……」
「……名取さん、一つ訊いてもいいですか?」
「何だい?」
「あの女……確か夏目と言いましたっけ。彼女は貴方の何なんですか?初めは助手か何かだと思ってましたが、どうやら違うようだし、弟子という訳でもないのでしょう?」
「――彼女は……私の友人だよ。困ったことに妖に甘いね。」
「……友人?」
名取の返答に竜二は納得しきれていないのか、怪訝そうに眉をひそめた。
会合で初めて会った時、あまりの霊力の強さにてっきり名取の助手か弟子か何かだと思ったが、どうやら違うようだし、かと言ってただの友人のようにも思えなかった。
「……」
(……何か隠してるのか?それに、『夏目』って……まさかな……)
彼女には何かある。
竜二は何故かそんな気がしてならなかった。
*****
名取達が案内されたのは崖の上に建てられた屋敷だった。
「あの崖の廃屋の辺りで封じられ、その余波で裏の森から河原の辺りまでの何処かに落ちたらしく、未だ見つけられず。」
「――結構な範囲だな……ではまず廃屋へ」
名取達は慎重に廃屋の扉を開ける。
中は真っ暗で、長い間人が出入りしていなかったのか、埃っぽい臭いがした。
「――暗くて中がよく見えねぇな……」
ガタタ
「!、何かいる……!」
「む?何だお前等か……」
「出たな化け物!」
ゴンッ!
「ぎゃっ!」
「ニャンコ先生どうした……あっ!」
「彩乃!」
「名取さん!」
名取達が廃屋の中に入ると、微かに物音がして、暗闇からひょっこりと顔を出したのはニャンコ先生だった。
化け物と勘違いした白笠に木の棒で顔面を殴られ、思わず声を上げる先生。
その騒ぎに気付いた彩乃がニャンコ先生の元へ駆け付ければ、偶然にも名取達と合流したのであった。
「――勝負は獣を先に会場へ捕まえてきた者を勝ちとするらしく、私も何とか追ってはみたんですが、獣というより竜のような妖で……人には難しいだろうから封印探しの方をと白笠達が……」
「……追ってみた?竜のような妖を?……彩乃……また……」
「あ、すみません……でも……いえ、すみません……」
笑っているのに目が笑っていない。
名取の迫力ある威圧感たっぷりの黒い笑みを向けられて、彩乃は青ざめながらも謝った。
「白笠達だけでどこまでやれるか……しかし、これでまた勝率が下がったということだな。」
「――そういうことだね……はあ。」
「……」
(――気のせいかな。名取さんが不月神を祓うことに本当は迷いがあるように見えた……)
「――でも、白笠達だけじゃない。先生や柊、花開院さんだっています。皆が協力すれば何とかなるかもしれない。何としても豊月神を見つけましょう!」
例え私の気のせいでもいい。
名取さんに神殺しなんてマネさせたくない。
「――彩乃……」
「!おい下がれ!!」
「えっ」
突然竜二の焦ったような声に、彩乃は驚いて振り返る。
すると彩乃の背後に獅子のような獣がすぐ側まで迫っていたのだ。
「グルルル、ガアアア!!」
「うわっ!!」
「「彩乃!!」」
「夏目!!」
「おいっ!!」
獣は彩乃に飛び掛かると、その勢いで体がぐらりと傾き、彩乃はベランダから落ちてしまう。
名取達が名を呼んだ気がしたが、彩乃はそのまま川へと落ちてしまう。
川に落ちる瞬間、竜二がベランダから飛び降りて自分の腕を掴んだのが見えた気がした。