第11章「ツユカミ編」
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「下がってな彩乃。こいつは俺が倒す。」
「待ってリクオ君!」
祢々切丸を構えて戦おうとするリクオを彩乃は手で制す。
それにリクオはどうしてと言いたげな表情を浮かべた。
「成るべく殺さないで欲しい。――さっき、キュウ太郎に捕まった時に、キュウ太郎の記憶が見えた。名を返せば大人しく帰ってくれるかもしれない。」
「……もしもまた襲ってきたら今度こそ倒すかんな。」
「……わかった。」
リクオの言葉に彩乃は頷くと、友人帳を鞄から取り出してキュウ太郎に向かい合うようにして立った。
(――大丈夫、やれる。)
ぱんっ!
「『ススギ』『ツユカミ』名を返そう。受け取って!」
ふ、しゅるしゅる
「――!」
「おい!彩乃!」
「彩乃さん!」
名を返した瞬間、一気に体力を奪われた彩乃は、ぐったりと倒れ込んだ。
それをリクオが慌てて受け止め、氷麗と先生とツユカミは心配そうに意識を失った彩乃を見下ろす。
ススギは名を返して貰って大人しくなったのか、いつの間にか消えており、その日はリクオに家まで運ばれる事になった。
「あのススギってのは確か、木陰を伝って村へ下り、村人に食べ物を貰う代わりにその家の皿を洗って帰るって言われる妖だ。このご時世、妖を見る人間も減ったし、木陰ももう街へは届かないだろうな。」
「……そう。」
「同情は必要ないぞ。山には仲間がいるし、食べ物もある。人なんかと縁が切れて奴の方もきっと晴々してるさ。」
「……そうかなぁ?」
「そうさ。」
「――だったら、いいなぁ。」
もう人と関わらなくていいと、それを悲しまずに安心してくれているなら、ススギは大丈夫なんだろう。
――そう思いたい。
人と妖怪の関わり方はきっとこれからも変化していく。
だから、少しでも彼等(ようかい)が安心して暮らしていければと、彩乃は願うのだった。
「待ってリクオ君!」
祢々切丸を構えて戦おうとするリクオを彩乃は手で制す。
それにリクオはどうしてと言いたげな表情を浮かべた。
「成るべく殺さないで欲しい。――さっき、キュウ太郎に捕まった時に、キュウ太郎の記憶が見えた。名を返せば大人しく帰ってくれるかもしれない。」
「……もしもまた襲ってきたら今度こそ倒すかんな。」
「……わかった。」
リクオの言葉に彩乃は頷くと、友人帳を鞄から取り出してキュウ太郎に向かい合うようにして立った。
(――大丈夫、やれる。)
ぱんっ!
「『ススギ』『ツユカミ』名を返そう。受け取って!」
ふ、しゅるしゅる
「――!」
「おい!彩乃!」
「彩乃さん!」
名を返した瞬間、一気に体力を奪われた彩乃は、ぐったりと倒れ込んだ。
それをリクオが慌てて受け止め、氷麗と先生とツユカミは心配そうに意識を失った彩乃を見下ろす。
ススギは名を返して貰って大人しくなったのか、いつの間にか消えており、その日はリクオに家まで運ばれる事になった。
「あのススギってのは確か、木陰を伝って村へ下り、村人に食べ物を貰う代わりにその家の皿を洗って帰るって言われる妖だ。このご時世、妖を見る人間も減ったし、木陰ももう街へは届かないだろうな。」
「……そう。」
「同情は必要ないぞ。山には仲間がいるし、食べ物もある。人なんかと縁が切れて奴の方もきっと晴々してるさ。」
「……そうかなぁ?」
「そうさ。」
「――だったら、いいなぁ。」
もう人と関わらなくていいと、それを悲しまずに安心してくれているなら、ススギは大丈夫なんだろう。
――そう思いたい。
人と妖怪の関わり方はきっとこれからも変化していく。
だから、少しでも彼等(ようかい)が安心して暮らしていければと、彩乃は願うのだった。