第11章「ツユカミ編」
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どうして皆には見えないんだろう。少し羨ましい。
「ニャンコ先生は猫の時は人に見えるんだよね?」
「何を今更。この招き猫の依代は人が作ったものだ。それに私程強力な妖だと、自分の意志で姿を見せることも出来るし、天候や相手の気分で見えてしまう時もある。」
「ふーん……」
そう呟きながらツユカミの祠に視線を向ける。
祠の前で跪き、手を合わせる花さんと、それをじっと静かに見守るツユカミ。
――ツユカミはきっと、花さんに会いたいのではないだろうか?
そんな憶測での考えが過る。
どうして、他人には見えないんだろう。
人に会いたいと望む妖は沢山いるのに……
「あら、お若いのにあなたもお参りに?」
「ええ、まあ……」
じっと花さんの様子を見つめていると、彼女に気付かれた。
お参りのことを曖昧に答えると、花さんはとても嬉しそうに微笑んだ。
「良かったわ。最近は私だけみたいで、露神様もお寂しいんじゃないかと思ってたんですよ。」
「……いつ頃からお参りに?」
「小さい頃からね。」
そう言うと、花さんはとても楽しそうに話を続けた。
「笑わないで下さいね。私一度だけ、『露神様』をお見かけしたことがあるんです。」
「えっ!」
「女学校からの帰り道、その日はとても良いお天気で、いつものようにお参りして目を開けようとしたら、祠の後ろに足が見えたんです。驚いたけど気付かないフリをしたわ。その翁の面を被った人は、気持ち良さそうに『今日は暖かいなぁ』って呟いてたの。私思わず『そうですね』って言ってしまいそうになったけれど、きっと人に姿を見られてしまったと気付けば、露神様はびっくりして消えてしまう気がして……ふふ、でも今思うとあれは旅芸人か何かだったのかしらね。」
「……さあ、どうでしょう?」
「けれど時々思うの。思いきって声をかけてみれば良かったのかしらって。『そうですね』とたった一言だけでも。」
――本当に、どうしてみんなには……花さんにはツユカミが見えないんだろう。
もしも私がその時見えた「人」は、確かにツユカミだと話したとして、花さんは信じてくれるだろうか。
仮に信じてくれたとしても、それが何になるんだろうか。
――どうして、私にしか見えないんだろう。
「ニャンコ先生は猫の時は人に見えるんだよね?」
「何を今更。この招き猫の依代は人が作ったものだ。それに私程強力な妖だと、自分の意志で姿を見せることも出来るし、天候や相手の気分で見えてしまう時もある。」
「ふーん……」
そう呟きながらツユカミの祠に視線を向ける。
祠の前で跪き、手を合わせる花さんと、それをじっと静かに見守るツユカミ。
――ツユカミはきっと、花さんに会いたいのではないだろうか?
そんな憶測での考えが過る。
どうして、他人には見えないんだろう。
人に会いたいと望む妖は沢山いるのに……
「あら、お若いのにあなたもお参りに?」
「ええ、まあ……」
じっと花さんの様子を見つめていると、彼女に気付かれた。
お参りのことを曖昧に答えると、花さんはとても嬉しそうに微笑んだ。
「良かったわ。最近は私だけみたいで、露神様もお寂しいんじゃないかと思ってたんですよ。」
「……いつ頃からお参りに?」
「小さい頃からね。」
そう言うと、花さんはとても楽しそうに話を続けた。
「笑わないで下さいね。私一度だけ、『露神様』をお見かけしたことがあるんです。」
「えっ!」
「女学校からの帰り道、その日はとても良いお天気で、いつものようにお参りして目を開けようとしたら、祠の後ろに足が見えたんです。驚いたけど気付かないフリをしたわ。その翁の面を被った人は、気持ち良さそうに『今日は暖かいなぁ』って呟いてたの。私思わず『そうですね』って言ってしまいそうになったけれど、きっと人に姿を見られてしまったと気付けば、露神様はびっくりして消えてしまう気がして……ふふ、でも今思うとあれは旅芸人か何かだったのかしらね。」
「……さあ、どうでしょう?」
「けれど時々思うの。思いきって声をかけてみれば良かったのかしらって。『そうですね』とたった一言だけでも。」
――本当に、どうしてみんなには……花さんにはツユカミが見えないんだろう。
もしも私がその時見えた「人」は、確かにツユカミだと話したとして、花さんは信じてくれるだろうか。
仮に信じてくれたとしても、それが何になるんだろうか。
――どうして、私にしか見えないんだろう。