第11章「ツユカミ編」
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――翌日、学校帰りに彩乃とニャンコ先生はツユカミがいるという場所を目指していた。
「ツユカミのじいさんはこの先の七つ森に住んでいる。」
「そういえば私、こっちにはあまり来たことないな……こんな森の中にツユカミが?」
「ああ、その筈だ。」
その時、彩乃の足先にコロコロと蜜柑が転がってきた。
思わず拾い上げると、優しそうなおばあさんが近くにいた。
「落ちましたよ。」
「あらあら、ご親切にどうも。傷んでなければ貰ってくださいな。一人では食べきれなくて。」
「……あ、ありがとうございます。」
「良いお天気ですね。」
「そうですね。」
それだけ言葉を交わすと、彩乃とおばあさんは別れた。
去って行く後ろ姿を見送りながら、彩乃は思う。
――こういう時、口下手な自分が嫌になる。
(もう少し気の利いた受け答えが出来ればなぁ……折角蜜柑貰ったのに……)
「あのばあさんそう長くないな。」
「え?」
「あまり美味そうな匂いじゃなかった。」
「……先生ってやっぱり人を食べる系の妖なの?」
「当然。」
「……(気を付けよう)」
そんなやり取りをしつつ暫く歩いていると、小さな祠が見えてきた。
「ここだ。」
「えっ!?この祠!?……祠に住んでるってことは……ツユカミって神様だったの!?」
(ど、どうしよう……祟られる……というかレイコさんなんて罰当たりな……)
彩乃はツユカミが神様だったとわかると、昨晩の窓から放り投げたり、タメ口で話してしまったり、おまけに中年呼ばわりしてしまった無礼三昧な自分の行動を思い出して青ざめた。
「いやいや、そう呼ばれているが元は祠に住み着いた宿無しの物の怪だよ。」
――なんでもツユカミの話によると、ある干魃の時、村人がこの祠に祈ったそうだ。
次の日たまたま雨が降り、それ以来村人達はこの祠を『露神』と崇め、供物をどっさりと置いていくようになった。
気が付くとツユカミは力に溢れ、姿も見る見るうちに立派になったらしい。
「私やレイコが出会った頃は人間くらいの大きさだったな。」
「あの頃はな。今では殆んど人足も途絶えた。信仰で膨らんだ体は信仰が薄れるにつれて縮んだという訳さ。」
「へえ……蜜柑、お供えしようか?」
彩乃は先程のおばあさんから貰った蜜柑を鞄から取り出すと、ツユカミに見せた。
するとツユカミは首を横に振る。
「ふふ、蜜柑ならもうあるよ。」
(……もしかして……)
「さっきそこで上品で優しそうなおばあさんに会ったよ。その花と蜜柑はその人から?」
「おお、ハナさんと言うんだ。ここに拝みに来てくれるんだ。」
「そっか。」
嬉しそうにハナさんについて語るツユカミに、彩乃は静かに耳を傾けていた。
きっと、ハナさんはツユカミにとってとても大切な人なのだろうなと、彩乃は感じたのだった。
「ツユカミのじいさんはこの先の七つ森に住んでいる。」
「そういえば私、こっちにはあまり来たことないな……こんな森の中にツユカミが?」
「ああ、その筈だ。」
その時、彩乃の足先にコロコロと蜜柑が転がってきた。
思わず拾い上げると、優しそうなおばあさんが近くにいた。
「落ちましたよ。」
「あらあら、ご親切にどうも。傷んでなければ貰ってくださいな。一人では食べきれなくて。」
「……あ、ありがとうございます。」
「良いお天気ですね。」
「そうですね。」
それだけ言葉を交わすと、彩乃とおばあさんは別れた。
去って行く後ろ姿を見送りながら、彩乃は思う。
――こういう時、口下手な自分が嫌になる。
(もう少し気の利いた受け答えが出来ればなぁ……折角蜜柑貰ったのに……)
「あのばあさんそう長くないな。」
「え?」
「あまり美味そうな匂いじゃなかった。」
「……先生ってやっぱり人を食べる系の妖なの?」
「当然。」
「……(気を付けよう)」
そんなやり取りをしつつ暫く歩いていると、小さな祠が見えてきた。
「ここだ。」
「えっ!?この祠!?……祠に住んでるってことは……ツユカミって神様だったの!?」
(ど、どうしよう……祟られる……というかレイコさんなんて罰当たりな……)
彩乃はツユカミが神様だったとわかると、昨晩の窓から放り投げたり、タメ口で話してしまったり、おまけに中年呼ばわりしてしまった無礼三昧な自分の行動を思い出して青ざめた。
「いやいや、そう呼ばれているが元は祠に住み着いた宿無しの物の怪だよ。」
――なんでもツユカミの話によると、ある干魃の時、村人がこの祠に祈ったそうだ。
次の日たまたま雨が降り、それ以来村人達はこの祠を『露神』と崇め、供物をどっさりと置いていくようになった。
気が付くとツユカミは力に溢れ、姿も見る見るうちに立派になったらしい。
「私やレイコが出会った頃は人間くらいの大きさだったな。」
「あの頃はな。今では殆んど人足も途絶えた。信仰で膨らんだ体は信仰が薄れるにつれて縮んだという訳さ。」
「へえ……蜜柑、お供えしようか?」
彩乃は先程のおばあさんから貰った蜜柑を鞄から取り出すと、ツユカミに見せた。
するとツユカミは首を横に振る。
「ふふ、蜜柑ならもうあるよ。」
(……もしかして……)
「さっきそこで上品で優しそうなおばあさんに会ったよ。その花と蜜柑はその人から?」
「おお、ハナさんと言うんだ。ここに拝みに来てくれるんだ。」
「そっか。」
嬉しそうにハナさんについて語るツユカミに、彩乃は静かに耳を傾けていた。
きっと、ハナさんはツユカミにとってとても大切な人なのだろうなと、彩乃は感じたのだった。