第10章「映すもの編」
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パリン
「「!?」」
「……あれ?夏目……」
「!、田沼君?……大丈夫?」
「ああ……それより今の音。奥の廊下からだ。」
「行ってみよう!……って、そういえば先生がいないし!」
近くでガラスが割れたような音がしたので、彩乃と田沼は行ってみることにした。
先生も起こして連れて行こうとするが、いつの間にいなくなったのか、ニャンコ先生は側にいなかった。
仕方がないので二人だけで様子を見に行く。
「あっ!」
「ん?泥棒……?な訳無いか。この狭さじゃ人は通れないしな。犬か猫でもぶつかったか……夏目?」
「足跡が……」
「え?夏目、足跡って……?」
「行ってみよう!」
「おい!」
音のした方に行ってみると、小さな穴が開いていた。
割れた箇所の小ささから泥棒ではないなと判断した田沼だったが、突然彩乃が走り出して田沼は戸惑った。
パタパタ
「……こっちに続いてる」
彩乃はガラスの割れた廊下から続いている足跡を追って走っていた。
(……やっぱり、何か起こった。)
田沼から鏡の欠片を狙っている妖がいるという話を聞いて、あの金槌の妖もその一人だろうと考えていた。
田沼の身を心配してこうして泊まり掛けで様子を見に来たというのに、自分に出来ることはとても少なかった。
(……こんな事なら、頼ればよかったかな……)
以前、力になってくれると言ってくれたリクオと氷麗の言葉が頭を過る。
しかし、すぐに彩乃はそれは駄目だと頭を振った。
(今回の件は私を庇って田沼君が巻き込まれたんだし、田沼君を早く妖から解放してあげるにはきっと、リクオ君達にも協力して貰った方がいいとは思う。けど……今日のことはリクオ君達には無関係なんだ。それなのにわざわざ巻き込む訳にはいかないよ。)
優しい彼等のことだから、きっと頼めば協力してくれるだろう。
けれど、頼ってばかりでは駄目だと彩乃は思うのだった。
――田沼side――
「……夏目?」
何もない廊下をじっと見つめていたかと思えば、突然「足跡が」と呟いて走って行ってしまった彩乃の後を追って田沼は思う。
(……確かに、事情を知らないと夏目の行動は少し恐いな……)
『……見てみるか?』
「……え?」
その時、突然頭の中で声が響いた。
(――取り憑いてる妖の声か……?)
『……体を借りている礼に私の目を貸してやってもいい。見てみるか?』
「……ああ、頼む。」
田沼がそう答えると、一瞬視界がぐにゃりと歪んだ気がした。
そして次の瞬間には、先程までどうあっても見ることのできなかったものが見えるようになっていたのだ。
ガラスの割られた廊下から奥の部屋に続くように足跡が続いている。
ついさっきまで何もなかったのに、急に見えるようになった世界に田沼は戸惑った。
「うわっ、何だこれ……」
足跡を辿って行くと、その先に彩乃はいた。
そして、中を窺うようにある部屋の中を覗いている彩乃の視線を追うと、そこには金槌のような道具を持った背の高い黒い肌の妖怪がいたのだ。
「!!」
「……学校を彷徨いていた金槌の妖がいる……」
「え……」
(ああ、これが……こんなものが彷徨いているのが夏目の見ている世界なのか……)
青ざめた顔で中を窺っている彩乃を見て、田沼は今まで自分が味わってきた奇妙な感覚など、彩乃の見てきた世界に比べたらほんの片鱗でしかなかったのだと思い知らされたのだった。
「「!?」」
「……あれ?夏目……」
「!、田沼君?……大丈夫?」
「ああ……それより今の音。奥の廊下からだ。」
「行ってみよう!……って、そういえば先生がいないし!」
近くでガラスが割れたような音がしたので、彩乃と田沼は行ってみることにした。
先生も起こして連れて行こうとするが、いつの間にいなくなったのか、ニャンコ先生は側にいなかった。
仕方がないので二人だけで様子を見に行く。
「あっ!」
「ん?泥棒……?な訳無いか。この狭さじゃ人は通れないしな。犬か猫でもぶつかったか……夏目?」
「足跡が……」
「え?夏目、足跡って……?」
「行ってみよう!」
「おい!」
音のした方に行ってみると、小さな穴が開いていた。
割れた箇所の小ささから泥棒ではないなと判断した田沼だったが、突然彩乃が走り出して田沼は戸惑った。
パタパタ
「……こっちに続いてる」
彩乃はガラスの割れた廊下から続いている足跡を追って走っていた。
(……やっぱり、何か起こった。)
田沼から鏡の欠片を狙っている妖がいるという話を聞いて、あの金槌の妖もその一人だろうと考えていた。
田沼の身を心配してこうして泊まり掛けで様子を見に来たというのに、自分に出来ることはとても少なかった。
(……こんな事なら、頼ればよかったかな……)
以前、力になってくれると言ってくれたリクオと氷麗の言葉が頭を過る。
しかし、すぐに彩乃はそれは駄目だと頭を振った。
(今回の件は私を庇って田沼君が巻き込まれたんだし、田沼君を早く妖から解放してあげるにはきっと、リクオ君達にも協力して貰った方がいいとは思う。けど……今日のことはリクオ君達には無関係なんだ。それなのにわざわざ巻き込む訳にはいかないよ。)
優しい彼等のことだから、きっと頼めば協力してくれるだろう。
けれど、頼ってばかりでは駄目だと彩乃は思うのだった。
――田沼side――
「……夏目?」
何もない廊下をじっと見つめていたかと思えば、突然「足跡が」と呟いて走って行ってしまった彩乃の後を追って田沼は思う。
(……確かに、事情を知らないと夏目の行動は少し恐いな……)
『……見てみるか?』
「……え?」
その時、突然頭の中で声が響いた。
(――取り憑いてる妖の声か……?)
『……体を借りている礼に私の目を貸してやってもいい。見てみるか?』
「……ああ、頼む。」
田沼がそう答えると、一瞬視界がぐにゃりと歪んだ気がした。
そして次の瞬間には、先程までどうあっても見ることのできなかったものが見えるようになっていたのだ。
ガラスの割られた廊下から奥の部屋に続くように足跡が続いている。
ついさっきまで何もなかったのに、急に見えるようになった世界に田沼は戸惑った。
「うわっ、何だこれ……」
足跡を辿って行くと、その先に彩乃はいた。
そして、中を窺うようにある部屋の中を覗いている彩乃の視線を追うと、そこには金槌のような道具を持った背の高い黒い肌の妖怪がいたのだ。
「!!」
「……学校を彷徨いていた金槌の妖がいる……」
「え……」
(ああ、これが……こんなものが彷徨いているのが夏目の見ている世界なのか……)
青ざめた顔で中を窺っている彩乃を見て、田沼は今まで自分が味わってきた奇妙な感覚など、彩乃の見てきた世界に比べたらほんの片鱗でしかなかったのだと思い知らされたのだった。