第10章「映すもの編」
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「――ごめん。避けるつもりはなかったんだが……どうもあれ以来体が重くて、取り憑かれている実証もないし、夏目を煩わせることもないかと思ってしまって……本当に風邪かもしれなくて……でも、さっき気付いたら裏庭にいて、手に土がついていた。――こんなこと初めてだ。」
「……そっか。」
(煩わせる……か。)
自分も昔は、人を煩わせるのが申し訳なくて、自分のことは成るべく自分の力で解決しようとしていた。
「――で、夏目は?」
「え?」
「確かに聞いてもらうと楽になるし、独りで悩まれると気分が良くないものだな。」
「――そうだね。」
田沼の言葉に彩乃は思った。
もしかしたら、自分と田沼は似ているのかもしれないと。
人を気遣うあまり、自分を二の次にしてしまう処や、隠し事をしてしまう処が……
彩乃は田沼に自分の話を聞いてもらおうと、ぽつりぽつりと話し始めた。
「――あの日、目に何か入ったみたいで……さっきは急に痛み出したの。でも今は痛みは引いてる。後は……さっきの裏庭の所で金槌を持った妖に襲われた。」
「えっ!?大丈夫なのか!?」
「うん。……どれに関連性があるのかわからないけど……」
「――そうだな。」
「……ニャンコ先生に一度相談してみようかな……」
「ニャンニャン先生にか?」
相変わらずニャンコ先生の名前を中々覚えない田沼に苦笑しつつ、彩乃は頷く。
「うん、今は学校の屋上で寝ている筈だから……」
「よし、行ってみよう。」
「うん!」
パリン
「……?」
ニャンコ先生のいる屋上に向かっている途中、彩乃は何か硝子のようなものが割れた音を聞いて足を止めた。
「夏目どうし……何かいるな。」
「金槌の妖かもしれない。」
ある空き教室の前で足を止めた彩乃と田沼。
その部屋から何か嫌な感じがして、二人に緊張が走る。
「……開けるよ。田沼君は下がってて。」
「駄目だ夏目。ここは俺が開ける。」
「でも……あっ!」
彩乃が渋っている間に、田沼は勝手に扉を開けてしまった。
中にいるかもしれない妖怪に気付かれないように少しだけ開けて、二人は静かにそっと中を覗き込んだのだった。
「……そっか。」
(煩わせる……か。)
自分も昔は、人を煩わせるのが申し訳なくて、自分のことは成るべく自分の力で解決しようとしていた。
「――で、夏目は?」
「え?」
「確かに聞いてもらうと楽になるし、独りで悩まれると気分が良くないものだな。」
「――そうだね。」
田沼の言葉に彩乃は思った。
もしかしたら、自分と田沼は似ているのかもしれないと。
人を気遣うあまり、自分を二の次にしてしまう処や、隠し事をしてしまう処が……
彩乃は田沼に自分の話を聞いてもらおうと、ぽつりぽつりと話し始めた。
「――あの日、目に何か入ったみたいで……さっきは急に痛み出したの。でも今は痛みは引いてる。後は……さっきの裏庭の所で金槌を持った妖に襲われた。」
「えっ!?大丈夫なのか!?」
「うん。……どれに関連性があるのかわからないけど……」
「――そうだな。」
「……ニャンコ先生に一度相談してみようかな……」
「ニャンニャン先生にか?」
相変わらずニャンコ先生の名前を中々覚えない田沼に苦笑しつつ、彩乃は頷く。
「うん、今は学校の屋上で寝ている筈だから……」
「よし、行ってみよう。」
「うん!」
パリン
「……?」
ニャンコ先生のいる屋上に向かっている途中、彩乃は何か硝子のようなものが割れた音を聞いて足を止めた。
「夏目どうし……何かいるな。」
「金槌の妖かもしれない。」
ある空き教室の前で足を止めた彩乃と田沼。
その部屋から何か嫌な感じがして、二人に緊張が走る。
「……開けるよ。田沼君は下がってて。」
「駄目だ夏目。ここは俺が開ける。」
「でも……あっ!」
彩乃が渋っている間に、田沼は勝手に扉を開けてしまった。
中にいるかもしれない妖怪に気付かれないように少しだけ開けて、二人は静かにそっと中を覗き込んだのだった。