第10章「映すもの編」
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……はあ」
「彩乃ちゃん、どうかしたの?」
「……え?」
ため息をつく彩乃を心配そうに見つめてくるリクオの声に、彩乃は自分がぼうっとしていたことに漸く気付いた。
ここのところずっと田沼のことが気になってしまっていたせいか、ぼんやりとしていたようだ。
「…あ…ごめん、何でもない。」
「本当に?」
作り笑いを浮かべて誤魔化す彩乃を、リクオが怪訝そうに見つめてくる。
それを見ていた巻がにやにやといやらしい笑みを浮かべながら言った。
「おや~?奴良はいつの間に夏目先輩を名前で呼ぶようになったのかな~?しかも"ちゃん"付けでタメで……仲良いねぇ~」
「なっ、巻さんからかわないでよ!」
「そうやってムキになるとますます怪しい~!」
「……っ、だ、だから……!」
「……はあ……」
リクオが真っ赤になって否定すると、巻はより一層可笑しそうにからかってくる。
しかし、もう一人のからかいの対象である彩乃は、二人の会話を聞いていなかったのか、またぼんやりと窓の外を眺めてため息をついていた。
――今更だが、ここは清十字団の部室である。
今日は特に用事もなかったので、彩乃は珍しく部活に顔を出していた。
しかし、ここ最近田沼に避けられている彩乃は彼が気になって上の空だった。
「……彩乃先輩、何か悩んどるんですか?」
「……え?そ、そんなことないよ。ゆらちゃん!」
「……思いっきり悩んでますって顔に出てますよ。先輩。」
ゆらに指摘され、彩乃は慌てて否定するも、誰が見てもバレバレだった。
「彩乃さん、何か悩みがあるなら力になりますよ?」
「え、いや……本当に……」
「諸君!そんなことよりも妖怪の目撃情報をだな……「清継君うるさい!」……うぐっ!」
「……清継さん、今は女子を敵にしない方がいいッスよ。」
女子は皆彩乃の味方のようで、部活を始めようとする清継の声は無視されたのであった。
「……で、何かあったんですか?」
「え……本当に話すの?」
「「もちろんです!」」
「え、えーと……」
なんで皆そんなに真剣に話を聞いてくれるんだろう。
彩乃は女の子達の迫力にちょっとビビりつつも、心配してくれる優しさが嬉しかった。
「……あのね、私の友達が最近私を避けるようになって……」
「先輩嫌われたんですね。」
「えっ!」
「「清継!あんたは黙ってろ!!」」
「ひっ!」
清継の空気の読めないはっきりとした発言に彩乃はショックを受ける。
それに女の子達は目を釣り上げて清継を睨み付けた。
そのあまりの迫力に悲鳴を上げる清継。
「……はあ。あの馬鹿は放っておいて、続けてください。」
「あ、うん……それだけなんだよね。」
「避けるようになっただけですか?」
「う~ん、避けるというか、話し掛ければ喋ってくれるんだけど、何だか妙によそよそしくて……」
「……先輩、何か心当たりは?」
「それは……」
心当たりならある。
あの日、田沼が自分を庇ってくれた日からだ。
だが、妖のせいなんて一般人の皆に言える訳がない。
「う~ん、思い付かないかな。……男の子がよそよそしくなる理由って何かある?」
「えっ!?相手は男子なんですか!!」
「なっ!」
「あ、うん。そうだよ。」
「きゃー!それって……」
「まあ、男子が急によそよそしくなる理由って言ったら一つよね……」
「???」
「男子」という単語にリクオは青ざめ、島はショックを受け、氷麗は焦り、他の女の子達はある考えが過って皆頬を赤らめた。
ただ一人、当人の彩乃だけが意味がわからずに不思議そうに首を傾げていた。
「彩乃ちゃん、どうかしたの?」
「……え?」
ため息をつく彩乃を心配そうに見つめてくるリクオの声に、彩乃は自分がぼうっとしていたことに漸く気付いた。
ここのところずっと田沼のことが気になってしまっていたせいか、ぼんやりとしていたようだ。
「…あ…ごめん、何でもない。」
「本当に?」
作り笑いを浮かべて誤魔化す彩乃を、リクオが怪訝そうに見つめてくる。
それを見ていた巻がにやにやといやらしい笑みを浮かべながら言った。
「おや~?奴良はいつの間に夏目先輩を名前で呼ぶようになったのかな~?しかも"ちゃん"付けでタメで……仲良いねぇ~」
「なっ、巻さんからかわないでよ!」
「そうやってムキになるとますます怪しい~!」
「……っ、だ、だから……!」
「……はあ……」
リクオが真っ赤になって否定すると、巻はより一層可笑しそうにからかってくる。
しかし、もう一人のからかいの対象である彩乃は、二人の会話を聞いていなかったのか、またぼんやりと窓の外を眺めてため息をついていた。
――今更だが、ここは清十字団の部室である。
今日は特に用事もなかったので、彩乃は珍しく部活に顔を出していた。
しかし、ここ最近田沼に避けられている彩乃は彼が気になって上の空だった。
「……彩乃先輩、何か悩んどるんですか?」
「……え?そ、そんなことないよ。ゆらちゃん!」
「……思いっきり悩んでますって顔に出てますよ。先輩。」
ゆらに指摘され、彩乃は慌てて否定するも、誰が見てもバレバレだった。
「彩乃さん、何か悩みがあるなら力になりますよ?」
「え、いや……本当に……」
「諸君!そんなことよりも妖怪の目撃情報をだな……「清継君うるさい!」……うぐっ!」
「……清継さん、今は女子を敵にしない方がいいッスよ。」
女子は皆彩乃の味方のようで、部活を始めようとする清継の声は無視されたのであった。
「……で、何かあったんですか?」
「え……本当に話すの?」
「「もちろんです!」」
「え、えーと……」
なんで皆そんなに真剣に話を聞いてくれるんだろう。
彩乃は女の子達の迫力にちょっとビビりつつも、心配してくれる優しさが嬉しかった。
「……あのね、私の友達が最近私を避けるようになって……」
「先輩嫌われたんですね。」
「えっ!」
「「清継!あんたは黙ってろ!!」」
「ひっ!」
清継の空気の読めないはっきりとした発言に彩乃はショックを受ける。
それに女の子達は目を釣り上げて清継を睨み付けた。
そのあまりの迫力に悲鳴を上げる清継。
「……はあ。あの馬鹿は放っておいて、続けてください。」
「あ、うん……それだけなんだよね。」
「避けるようになっただけですか?」
「う~ん、避けるというか、話し掛ければ喋ってくれるんだけど、何だか妙によそよそしくて……」
「……先輩、何か心当たりは?」
「それは……」
心当たりならある。
あの日、田沼が自分を庇ってくれた日からだ。
だが、妖のせいなんて一般人の皆に言える訳がない。
「う~ん、思い付かないかな。……男の子がよそよそしくなる理由って何かある?」
「えっ!?相手は男子なんですか!!」
「なっ!」
「あ、うん。そうだよ。」
「きゃー!それって……」
「まあ、男子が急によそよそしくなる理由って言ったら一つよね……」
「???」
「男子」という単語にリクオは青ざめ、島はショックを受け、氷麗は焦り、他の女の子達はある考えが過って皆頬を赤らめた。
ただ一人、当人の彩乃だけが意味がわからずに不思議そうに首を傾げていた。