第10章「映すもの編」
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「こんな所で何やってるんだ?」
「田沼君こそ何でこんな所に?」
「この森横切ると近道なんだ。」
「そうなんだ。」
「それに……昨日からこの辺りから声が聞こえる気がしてさ。」
「……声?」
田沼君は、お父さんがお寺の住職をされていて、お父さんは妖怪を見ることはできないが、妖怪を祓う法力の持ち主で、そのせいか息子の田沼君も霊感がある。
田沼君もまたはっきりと妖怪を見ることはできないが、ぼんやりとした妖怪の影を見たり、声を聞いたり、気配を感じることはできるらしい。
「さっき、小物の妖達が何かを騒いでたみたいだけど……」
「へえ……夏目は本当にすごいな。でもそういう感じじゃないんだ。――切羽詰まると言うか、何かを探してるような声だった。」
ガサッ
「ん?」
ガサガサ、ガサガサ
「……何か来る。」
「――ニャンコ先生?」
ガサガサ
メキメキ、バキバキ
「!?」
(違う!)
ガサァ!!
「夏目っ!!」
「――っ!田沼君っ!」
木の枝をへし折りながら一直線にこちらに向かってくる「何か」に、彩乃が本能的にまずいと気付いた時にはもう遅く、「それ」はもう目の前まで迫っていた。
茂みがより一層大きく揺れた時、彩乃を庇うように田沼が両手を広げて彩乃の前に出た。
ゴオッ!
「「!!」」
一陣の突風が彩乃と田沼を襲うと、何もなかったかのように森に静寂が戻った。
「田沼君大丈夫!?」
「あ、ああ……何だ?今の……ただの突風か?」
「ありがとう田沼君。でも庇うなんてやめて!何かあったら大変!!」
「ああ、でも……夏目に何かあっても大変なんだからな。」
「……そうだね。」
「「……」」
((あれ?何かすごくこっ恥ずかしいな……))
隠し事のあまりない友人はお互い初めてで、かえって距離感が掴みにくいことが多い。
彩乃と田沼が照れ臭そうに顔を見合わせていると、茂みから顔を真っ赤にしたニャンコ先生が出てきた。
「うい~、美味だ~、美味であった~」
「ぎゃっ!タヌキの妖怪!!……と思ったら夏目ん家のポン……何とか先生か。」
「まったくどこ行ってたのよニャンコ先生!」
「うい~、ひっく!」
相変わらず妖怪に驚かされる日々だけど、事情を知っていてくれる友人がいるだけで少し嬉しい。
(田沼君にとっても、そうならいいな―……)
――田沼視点――
ズキン
「!?」
ズキンズキン
(……頭痛、何だ?)
彩乃と別れた田沼は家に帰ろうと歩いていた途中、急に頭痛に襲われた。
止むことのない頭痛に、田沼はある考えが過る。
田沼は妖怪の気配を感じると、時々頭痛に見舞われることがあるのだ。
まさかと思って周りを見回すが、自分には何も見えない。
「……気のせいか?」
(何か……嫌な気配がする……)
そう感じつつ、田沼には何もすることはできないのだった。
「田沼君こそ何でこんな所に?」
「この森横切ると近道なんだ。」
「そうなんだ。」
「それに……昨日からこの辺りから声が聞こえる気がしてさ。」
「……声?」
田沼君は、お父さんがお寺の住職をされていて、お父さんは妖怪を見ることはできないが、妖怪を祓う法力の持ち主で、そのせいか息子の田沼君も霊感がある。
田沼君もまたはっきりと妖怪を見ることはできないが、ぼんやりとした妖怪の影を見たり、声を聞いたり、気配を感じることはできるらしい。
「さっき、小物の妖達が何かを騒いでたみたいだけど……」
「へえ……夏目は本当にすごいな。でもそういう感じじゃないんだ。――切羽詰まると言うか、何かを探してるような声だった。」
ガサッ
「ん?」
ガサガサ、ガサガサ
「……何か来る。」
「――ニャンコ先生?」
ガサガサ
メキメキ、バキバキ
「!?」
(違う!)
ガサァ!!
「夏目っ!!」
「――っ!田沼君っ!」
木の枝をへし折りながら一直線にこちらに向かってくる「何か」に、彩乃が本能的にまずいと気付いた時にはもう遅く、「それ」はもう目の前まで迫っていた。
茂みがより一層大きく揺れた時、彩乃を庇うように田沼が両手を広げて彩乃の前に出た。
ゴオッ!
「「!!」」
一陣の突風が彩乃と田沼を襲うと、何もなかったかのように森に静寂が戻った。
「田沼君大丈夫!?」
「あ、ああ……何だ?今の……ただの突風か?」
「ありがとう田沼君。でも庇うなんてやめて!何かあったら大変!!」
「ああ、でも……夏目に何かあっても大変なんだからな。」
「……そうだね。」
「「……」」
((あれ?何かすごくこっ恥ずかしいな……))
隠し事のあまりない友人はお互い初めてで、かえって距離感が掴みにくいことが多い。
彩乃と田沼が照れ臭そうに顔を見合わせていると、茂みから顔を真っ赤にしたニャンコ先生が出てきた。
「うい~、美味だ~、美味であった~」
「ぎゃっ!タヌキの妖怪!!……と思ったら夏目ん家のポン……何とか先生か。」
「まったくどこ行ってたのよニャンコ先生!」
「うい~、ひっく!」
相変わらず妖怪に驚かされる日々だけど、事情を知っていてくれる友人がいるだけで少し嬉しい。
(田沼君にとっても、そうならいいな―……)
――田沼視点――
ズキン
「!?」
ズキンズキン
(……頭痛、何だ?)
彩乃と別れた田沼は家に帰ろうと歩いていた途中、急に頭痛に襲われた。
止むことのない頭痛に、田沼はある考えが過る。
田沼は妖怪の気配を感じると、時々頭痛に見舞われることがあるのだ。
まさかと思って周りを見回すが、自分には何も見えない。
「……気のせいか?」
(何か……嫌な気配がする……)
そう感じつつ、田沼には何もすることはできないのだった。