真夏の光線
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真夏の炎天下チャリで飛ばしてると、見覚えのある後ろ姿を発見した。
「美奈子!」
美奈子が立ち止まって振り向いた。
俺はあいつの前へチャリに乗ったまま、ザザッと回り込んでブレーキをかけた。
「嵐くん。お出かけ?」
「ああ。もう帰るとこ」
「そうなんだぁ。私も帰るところ。ショッピングモールで買い物してきたの」
「そっか。ニケツするか。送ってく」
「わあ、いいの?ありがとう!」
美奈子は荷台へ横向きに乗り、俺の腰に腕を回してきた。
あいつの柔らかい腕を絡められると、体温が一気に上昇してきて、更に汗が噴き出してきた。
美奈子の甘い匂いが俺を誘う。
「なあ、暇だったら、どっか寄り道しねぇ?」
「いいよ。ねぇ、海に行きたいな」
「いいな。よし、決定」
「やった!もっと飛ばしてもいいよ」
「おーっし、ガンガン飛ばすぞー!…と思ったけど、やめた」
「なんで?」
「おまえが後ろに乗ってるから。危ないだろ。のんびり行こ」
「うん」
美奈子を乗せてチャリを漕いでくと、真正面からギラギラした太陽が俺らを容赦なく突き刺してきた。
「あ、結構急な上り坂。私降りようか」
「行ける。悪ぃがスピードあげて勢いつけっから、しっかり掴まっとけ」
ペダルをグッと踏み込んで一気に駆け上がると、視界が開けて青い海が見えた。
「わあ、頂上制覇!海、綺麗だねー」
「うん。綺麗だ」
今度は緩やかな下り坂をゆっくり進んでいくと、海岸に到着した。
チャリを停め、防波堤に並んで腰掛けた。
「海水浴に来てる人も多いね」
「暑いもんな。海に入りてー」
俺はシャツの腹らへんを摘まんで、体ん中に風を送るようにパタパタさせた。
「本当だね」
「おまえが男だったら、一緒に飛び込めんのにな」
「別にいいよ。私、泳げるから飛び込めるよ」
美奈子が満面の笑みで立ち上がる。
「…服、透けんだろ」
「そうかあ…。女でゴメン」
冷静にたしなめると、トンと腰を下ろした。
「女でいいんだけど。いや、おまえが女で良かった」
「本当に?」
「うん。柔らかいし、いい匂いするし…」
すげー眩しそうな顔して俺を見てる。
あ、こいつの顔の方に日が当たってんのか。
俺は体をズラして影をつくった。
男相手だったら、こんなことやろうなんて絶対思いつかない。
「ありがとう」
俺の体で直射日光を遮られたことに気がついたらしく、美奈子がフワッと微笑んだ。
なんていい顔すんだろな。
喜ぶ顔を見るためなら、何だってしてやりたくなる。
「それ。何か買ったんか?」
美奈子の持ってる水色の紙袋が、目に入った。
「何だと思う?」
「わかんねー」
「えへへ、水着だよ」
「マジか。どんなの」
「まだ秘密」
美奈子が紙袋をギュッと掴む。
「うーん。あ、近くに海水浴場の更衣室あんだろ。今から着替えて来いよ。見てぇ」
「せっかちだなぁ。値札付いてるから無理よ」
「おまえ、ハサミ持ち歩いてねーのか」
「持ってません」
「まあ、そうだよな。じゃあ、今度の日曜ここに来ようぜ」
俺が誘うとあっさり頷いた。
「うん、いいよ」
「よし、絶対体調崩すなよ」
「嵐くんもね」
「意地でも来る」
真剣な顔して言うと、美奈子が大爆笑した。
喋ってると、あいつの顔にまた日が当たってきた。
「場所、代わろ。おまえはそこに居て」
俺は美奈子の反対側に座った。
「嵐くん、眩しくなるよ」
「どうってことねーよ」
そう言ってんのに、美奈子が俺の頭の上へ自分の手をかざしてきた。
「大丈夫だって」
「だって…」
男が守られてどうする。場所移動すっかな。
「そうだ。海行こ。足だけ浸けよーぜ」
「あ、それいい。冷たくて気持ちいいかもね」
俺らは靴を脱いでズボンを膝までまくり、波打ち際へ足を踏み入れると、思わず顔を見合わせた。
「うわっ、ぬる…」
「うん…」
「期待し過ぎたか。まぁ、こんなに日ぃ射してっから、海水の温度も上がるか」
「そうだね。でも、やっぱり気持ちいいよ」
そう言いながら足踏みしだした。
穏やかな波が、ふくらはぎの辺りを優しくなでていく。
「美奈子、手ぇ貸して」
「うん」
差し出された白い手をそっと握る。
ふんわりして柔らけー。
美奈子の柔らかい手を繋いでると、ずっと握って離したくなくなってくる。
「やっぱりおまえが女で良かった。男になるなよ」
「どっからその発想が?ならないよー!」
日の光が水面にキラキラ反射して眩しい。
大爆笑する美奈子が、それ以上に眩しくてキラキラ輝いていた。
「ずっと居たいけど、まだ昼飯食ってねぇ。腹減ったし、帰るか」
「あはは、うん」
防波堤に戻ると、太陽の光線がチャリのボディに白く反射した。
また美奈子と、ここに来る。
俺は、強くペダルを踏み込んだ。
end
20100705
「美奈子!」
美奈子が立ち止まって振り向いた。
俺はあいつの前へチャリに乗ったまま、ザザッと回り込んでブレーキをかけた。
「嵐くん。お出かけ?」
「ああ。もう帰るとこ」
「そうなんだぁ。私も帰るところ。ショッピングモールで買い物してきたの」
「そっか。ニケツするか。送ってく」
「わあ、いいの?ありがとう!」
美奈子は荷台へ横向きに乗り、俺の腰に腕を回してきた。
あいつの柔らかい腕を絡められると、体温が一気に上昇してきて、更に汗が噴き出してきた。
美奈子の甘い匂いが俺を誘う。
「なあ、暇だったら、どっか寄り道しねぇ?」
「いいよ。ねぇ、海に行きたいな」
「いいな。よし、決定」
「やった!もっと飛ばしてもいいよ」
「おーっし、ガンガン飛ばすぞー!…と思ったけど、やめた」
「なんで?」
「おまえが後ろに乗ってるから。危ないだろ。のんびり行こ」
「うん」
美奈子を乗せてチャリを漕いでくと、真正面からギラギラした太陽が俺らを容赦なく突き刺してきた。
「あ、結構急な上り坂。私降りようか」
「行ける。悪ぃがスピードあげて勢いつけっから、しっかり掴まっとけ」
ペダルをグッと踏み込んで一気に駆け上がると、視界が開けて青い海が見えた。
「わあ、頂上制覇!海、綺麗だねー」
「うん。綺麗だ」
今度は緩やかな下り坂をゆっくり進んでいくと、海岸に到着した。
チャリを停め、防波堤に並んで腰掛けた。
「海水浴に来てる人も多いね」
「暑いもんな。海に入りてー」
俺はシャツの腹らへんを摘まんで、体ん中に風を送るようにパタパタさせた。
「本当だね」
「おまえが男だったら、一緒に飛び込めんのにな」
「別にいいよ。私、泳げるから飛び込めるよ」
美奈子が満面の笑みで立ち上がる。
「…服、透けんだろ」
「そうかあ…。女でゴメン」
冷静にたしなめると、トンと腰を下ろした。
「女でいいんだけど。いや、おまえが女で良かった」
「本当に?」
「うん。柔らかいし、いい匂いするし…」
すげー眩しそうな顔して俺を見てる。
あ、こいつの顔の方に日が当たってんのか。
俺は体をズラして影をつくった。
男相手だったら、こんなことやろうなんて絶対思いつかない。
「ありがとう」
俺の体で直射日光を遮られたことに気がついたらしく、美奈子がフワッと微笑んだ。
なんていい顔すんだろな。
喜ぶ顔を見るためなら、何だってしてやりたくなる。
「それ。何か買ったんか?」
美奈子の持ってる水色の紙袋が、目に入った。
「何だと思う?」
「わかんねー」
「えへへ、水着だよ」
「マジか。どんなの」
「まだ秘密」
美奈子が紙袋をギュッと掴む。
「うーん。あ、近くに海水浴場の更衣室あんだろ。今から着替えて来いよ。見てぇ」
「せっかちだなぁ。値札付いてるから無理よ」
「おまえ、ハサミ持ち歩いてねーのか」
「持ってません」
「まあ、そうだよな。じゃあ、今度の日曜ここに来ようぜ」
俺が誘うとあっさり頷いた。
「うん、いいよ」
「よし、絶対体調崩すなよ」
「嵐くんもね」
「意地でも来る」
真剣な顔して言うと、美奈子が大爆笑した。
喋ってると、あいつの顔にまた日が当たってきた。
「場所、代わろ。おまえはそこに居て」
俺は美奈子の反対側に座った。
「嵐くん、眩しくなるよ」
「どうってことねーよ」
そう言ってんのに、美奈子が俺の頭の上へ自分の手をかざしてきた。
「大丈夫だって」
「だって…」
男が守られてどうする。場所移動すっかな。
「そうだ。海行こ。足だけ浸けよーぜ」
「あ、それいい。冷たくて気持ちいいかもね」
俺らは靴を脱いでズボンを膝までまくり、波打ち際へ足を踏み入れると、思わず顔を見合わせた。
「うわっ、ぬる…」
「うん…」
「期待し過ぎたか。まぁ、こんなに日ぃ射してっから、海水の温度も上がるか」
「そうだね。でも、やっぱり気持ちいいよ」
そう言いながら足踏みしだした。
穏やかな波が、ふくらはぎの辺りを優しくなでていく。
「美奈子、手ぇ貸して」
「うん」
差し出された白い手をそっと握る。
ふんわりして柔らけー。
美奈子の柔らかい手を繋いでると、ずっと握って離したくなくなってくる。
「やっぱりおまえが女で良かった。男になるなよ」
「どっからその発想が?ならないよー!」
日の光が水面にキラキラ反射して眩しい。
大爆笑する美奈子が、それ以上に眩しくてキラキラ輝いていた。
「ずっと居たいけど、まだ昼飯食ってねぇ。腹減ったし、帰るか」
「あはは、うん」
防波堤に戻ると、太陽の光線がチャリのボディに白く反射した。
また美奈子と、ここに来る。
俺は、強くペダルを踏み込んだ。
end
20100705
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