お星様なんて大嫌い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ハーア、スッゲェ心配。
喫茶店で、なくなりかけの炭酸飲料をズズッとストローで吸い込む。
目の前には嵐さんと美奈子ちゃんが仲良く並んで座ってる。
密かにヘコんでるオレの前で、嵐さんと美奈子ちゃんが修学旅行のしおりを机に置いて楽しそーに喋ってる。
美奈子ちゃんがオレを置いて修学旅行行っちまう。
なんでオレさ、同級生に産まれて来なかったんだよ、神様恨むぜーもう。
さっきまでオレの隣に座ってた嵐さんは、美奈子ちゃんが持ってたしおりを覗きこんでたんだけど。
見にくいっからって移動すっと、彼女の隣にドカッと居座った。
隣に並んで更に距離が縮まった二人は、クラス別での行動はどの場所がいいかとか話し始めた。
クラスまで一緒って、神様はどこまで不公平なワケ?
このヒト達、一年の時もクラスが一緒って言ってたんスけど。
ああ、面白くねー。
「あのー、全っ然話題に入ってけないんスけどー」
「あ、ゴメンね」
「来年も修学旅行先、北海道だってよ。事前に情報知っといたらいいぞ。聞いとけ」
「オレだけ来年でしょー?来年の話したら鬼が笑うってーから、聞きませーん」
「そっか。じゃ、耳塞いどけ」
「そーゆーことじゃ無くってぇ。ちょっとはこっちに気を遣うって気ぃならないもんですかねぇ?」
「はは、なんだ、拗ねてんのか。悪ぃ悪ぃ。新名、土産買ってきてやるからな。忘れねーよ。楽しみにしとけ」
嵐さんがガシガシオレの頭を撫でまわそうとする。
「ちょっとタンマ!髪乱れるっしょ」
コレ、どんだけ時間かけてセットしてると思ってんのさ。
そんでもって嵐さん、拗ねてるって人を子供みたいな言い方してー。
あー、クヤシい!
あとさー、土産って、この人センス全ッ然期待出来ないんっすけど!
ヘタしたら、木彫りのクマでも買ってくんじゃね?
マジでもボケでも。
「私も何かお土産買ってくるね」
美奈子ちゃんが慰めるようにニッコリ微笑んできた。
「あんがと」
ハァ…、美奈子ちゃんの天使のような微笑みに癒されんなぁ…。
この天使が獣の毒牙にかかんないようにしなきゃ。
「美奈子ちゃん、気をつけてよ」
「俺がいるから大丈夫。安心しろ」
そう言ってさり気なく美奈子ちゃんの肩を抱く。
アンタが一番アブナイのっ!!
「はいはい、ソコ通りますよー?」
腕を伸ばして二人の間へ手をヒラヒラさせ、美奈子ちゃんの肩に乗せた嵐さんの手を追い払う。
油断も隙も無いんだからぁ。
このヒト手ぇ早いって。
冷や汗モンだっつーの。
今でこの調子じゃあ、修学旅行だよ?
自由行動ん時に、旅の雰囲気で開放的になっちまってさ。
夜にはこっそり男子の部屋に行ったりなんかして、枕投げでもして、そんでもって…。
ああ、ヤダヤダ。
嵐さん本人自覚ねーみたいだけど、美奈子ちゃんの事好きっしょ?
環境変わって突然自覚しないって言いきれないじゃん。
一旦キメたら、ダーッと一気に突っ走りそうだし、ああ不安。
さっきの手の早さといったら。
かといって先制して、今美奈子ちゃんに告れるかっていったら無理だしさぁ。
「美奈子ちゃん、なんかあったら、いや、何もなくても携帯に電話とかメールしてよ?」
「うん。写メもするね」
ニッコリとあどけなく微笑むラブリーな顔にクラッとくる。
「嵐さん、くれぐれもよろしく」
「変な虫は寄せつけねぇって」
腕組みしながらふんぞり返ってっけど、アンタも含めて言ってんのっ!
「じゃ、行くか」
数日後オレの心配をよそに、二人は修学旅行へと旅立ってしまった。
ベッドへ横んなって、携帯のディスプレイを見つめた。
美奈子ちゃんはオレの言いつけを守って、時々写メ送ってくれんだけど…。
景色の写メが多いっす。
美奈子ちゃん入れてよっ!
今度は嵐さんからの写メ。
羊や牛の写メがズラーリ。
きっと美奈子ちゃんにやり方教えてもらったんだろーけど、どれも手ブレ写メのオンパレード。
おそらく思いっきり力入れてシャッター押してっから、手が動いてんだろーな。
失敗したからって、何枚も送ってきてんの。
一番気に入ったヤツ待ち受けにしてもいいぞってコメント。
どれもいらねーっての!
しかもこのコメント、絵文字駆使されてっから絶ッ対美奈子ちゃんが代わりに打ってるよ。
自分でそんくらいやんなさいっつーか、美奈子ちゃんと行動してんの?!
何ソレ何ソレ!!
でもまあね、ソレはヨシとするよ?
まるで嫌がらせのように届いたブレブレ写メはどーしても見たいってモンでもないし、美奈子ちゃんと一緒に行動してんのも昼間だからって瞑りたくもない目を瞑ってあげちゃうよ?
問題はコレ。
ジャージ姿で正座した美奈子ちゃんの隣には、ちゃっかりアグラをかいた嵐さんが陣取ってる。
「変な虫、寄せつけてねーからな」
確かに写メの背景には遠巻きに見つめてる虫さん達の姿。
…そして、座ってる二人の下に写りこんでんのは…。
何度も目を疑ったけどっ。
紛れもなく布団!
コレってどーゆーコト?!
大迫ちゃん、ヒムロッチ、何してんのさー!
ちゃんと巡回してチェックしろよ、職務怠慢だろっ!
ああー、ダメだって、コレ見て知らんふり出来ねって。
美奈子ちゃんの携帯に電話する。
間男に彼女をたぶらかされた男の気分。
ちょっとくらいいいじゃん。
オレ、ずーっと我慢してんだもん。
「新名くん?」
「おっ、新名?」
まだ嵐さんといんの。
「楽しそうで何よりでございますね」
「同じ学年だったら良かったのにな」
「そうだね、一緒のクラスだったら良かったのにね」
「既にオレがお星様に何万回もお願いしてることを今更言わない。ところでさ…、なんでその…、同じ布団に二人仲良く座ってんの」
「さっきまで枕投げしてた。なっ」
ハアッ?!
冗談でしょ。今時マジで枕投げ?
「うん。嵐くん凄かったよー」
布団の上でそんなコト言わないの。
違う思考にいっちまうから。
「早く部屋戻りなよ。ったく、大迫ちゃんら何してんだよー」
「見つかりそうになったけど、隠れたんだよ。なっ」
「…うん。ちょっとビックリしたけど」
急に美奈子ちゃんが恥ずかしそうに語尾を濁した。
「まさか、一緒の布団入っちまうとは思わなかったな」
「ナニィー?!」
偶然でもオイシすぎっしょ!!
いや、嵐さんのことだから天然に見せかけてという裏技もあるって。
「ナンもしてねーよ」
「当たり前だっつーの。あーもー、なんだよソレ。修学旅行先で生徒達が淫らな行為を繰り広げてますって、教育委員会にチクっちゃおうかな、もう」
「美奈子、そろそろ部屋戻る」
みよさんらしき声が遠くから聞こえてきた。
「あ…そうだね」
「ハイハイ、サッサと撤収して下さいよ」
「じゃ、新名くん、またね。おやすみ」
「うん、おやすみ」
「じゃな、新名」
「ハイ、嵐さんもおやすみ」
「美奈子、送ってく」
嵐さんの声が聞こえた。
送らんでよろしいっっ!!
「不二山、ついて来なくていい。廊下で見つかったら困る」
ナーイスッ、みよさんっ!
「なんかあったら、いつでも俺の携帯にかけてこい」
ああ、携帯にかけてもらっても駆けつけらんないはばたき市残留組のオレ!
歯痒すぎるって。マジ涙ちょちょぎれそ。
「嵐くん、ありがとう」
もう何なのこの会話。
まだ携帯繋がってるってこと知ってた?
オレ、二人が帰るまで心臓もつかな…。
ふと窓に目をやると、月と星が綺麗に輝いてる。
ヤキモキする日々はまだ続く。
もうもう、お星様のバカッ!
end
20100923
喫茶店で、なくなりかけの炭酸飲料をズズッとストローで吸い込む。
目の前には嵐さんと美奈子ちゃんが仲良く並んで座ってる。
密かにヘコんでるオレの前で、嵐さんと美奈子ちゃんが修学旅行のしおりを机に置いて楽しそーに喋ってる。
美奈子ちゃんがオレを置いて修学旅行行っちまう。
なんでオレさ、同級生に産まれて来なかったんだよ、神様恨むぜーもう。
さっきまでオレの隣に座ってた嵐さんは、美奈子ちゃんが持ってたしおりを覗きこんでたんだけど。
見にくいっからって移動すっと、彼女の隣にドカッと居座った。
隣に並んで更に距離が縮まった二人は、クラス別での行動はどの場所がいいかとか話し始めた。
クラスまで一緒って、神様はどこまで不公平なワケ?
このヒト達、一年の時もクラスが一緒って言ってたんスけど。
ああ、面白くねー。
「あのー、全っ然話題に入ってけないんスけどー」
「あ、ゴメンね」
「来年も修学旅行先、北海道だってよ。事前に情報知っといたらいいぞ。聞いとけ」
「オレだけ来年でしょー?来年の話したら鬼が笑うってーから、聞きませーん」
「そっか。じゃ、耳塞いどけ」
「そーゆーことじゃ無くってぇ。ちょっとはこっちに気を遣うって気ぃならないもんですかねぇ?」
「はは、なんだ、拗ねてんのか。悪ぃ悪ぃ。新名、土産買ってきてやるからな。忘れねーよ。楽しみにしとけ」
嵐さんがガシガシオレの頭を撫でまわそうとする。
「ちょっとタンマ!髪乱れるっしょ」
コレ、どんだけ時間かけてセットしてると思ってんのさ。
そんでもって嵐さん、拗ねてるって人を子供みたいな言い方してー。
あー、クヤシい!
あとさー、土産って、この人センス全ッ然期待出来ないんっすけど!
ヘタしたら、木彫りのクマでも買ってくんじゃね?
マジでもボケでも。
「私も何かお土産買ってくるね」
美奈子ちゃんが慰めるようにニッコリ微笑んできた。
「あんがと」
ハァ…、美奈子ちゃんの天使のような微笑みに癒されんなぁ…。
この天使が獣の毒牙にかかんないようにしなきゃ。
「美奈子ちゃん、気をつけてよ」
「俺がいるから大丈夫。安心しろ」
そう言ってさり気なく美奈子ちゃんの肩を抱く。
アンタが一番アブナイのっ!!
「はいはい、ソコ通りますよー?」
腕を伸ばして二人の間へ手をヒラヒラさせ、美奈子ちゃんの肩に乗せた嵐さんの手を追い払う。
油断も隙も無いんだからぁ。
このヒト手ぇ早いって。
冷や汗モンだっつーの。
今でこの調子じゃあ、修学旅行だよ?
自由行動ん時に、旅の雰囲気で開放的になっちまってさ。
夜にはこっそり男子の部屋に行ったりなんかして、枕投げでもして、そんでもって…。
ああ、ヤダヤダ。
嵐さん本人自覚ねーみたいだけど、美奈子ちゃんの事好きっしょ?
環境変わって突然自覚しないって言いきれないじゃん。
一旦キメたら、ダーッと一気に突っ走りそうだし、ああ不安。
さっきの手の早さといったら。
かといって先制して、今美奈子ちゃんに告れるかっていったら無理だしさぁ。
「美奈子ちゃん、なんかあったら、いや、何もなくても携帯に電話とかメールしてよ?」
「うん。写メもするね」
ニッコリとあどけなく微笑むラブリーな顔にクラッとくる。
「嵐さん、くれぐれもよろしく」
「変な虫は寄せつけねぇって」
腕組みしながらふんぞり返ってっけど、アンタも含めて言ってんのっ!
「じゃ、行くか」
数日後オレの心配をよそに、二人は修学旅行へと旅立ってしまった。
ベッドへ横んなって、携帯のディスプレイを見つめた。
美奈子ちゃんはオレの言いつけを守って、時々写メ送ってくれんだけど…。
景色の写メが多いっす。
美奈子ちゃん入れてよっ!
今度は嵐さんからの写メ。
羊や牛の写メがズラーリ。
きっと美奈子ちゃんにやり方教えてもらったんだろーけど、どれも手ブレ写メのオンパレード。
おそらく思いっきり力入れてシャッター押してっから、手が動いてんだろーな。
失敗したからって、何枚も送ってきてんの。
一番気に入ったヤツ待ち受けにしてもいいぞってコメント。
どれもいらねーっての!
しかもこのコメント、絵文字駆使されてっから絶ッ対美奈子ちゃんが代わりに打ってるよ。
自分でそんくらいやんなさいっつーか、美奈子ちゃんと行動してんの?!
何ソレ何ソレ!!
でもまあね、ソレはヨシとするよ?
まるで嫌がらせのように届いたブレブレ写メはどーしても見たいってモンでもないし、美奈子ちゃんと一緒に行動してんのも昼間だからって瞑りたくもない目を瞑ってあげちゃうよ?
問題はコレ。
ジャージ姿で正座した美奈子ちゃんの隣には、ちゃっかりアグラをかいた嵐さんが陣取ってる。
「変な虫、寄せつけてねーからな」
確かに写メの背景には遠巻きに見つめてる虫さん達の姿。
…そして、座ってる二人の下に写りこんでんのは…。
何度も目を疑ったけどっ。
紛れもなく布団!
コレってどーゆーコト?!
大迫ちゃん、ヒムロッチ、何してんのさー!
ちゃんと巡回してチェックしろよ、職務怠慢だろっ!
ああー、ダメだって、コレ見て知らんふり出来ねって。
美奈子ちゃんの携帯に電話する。
間男に彼女をたぶらかされた男の気分。
ちょっとくらいいいじゃん。
オレ、ずーっと我慢してんだもん。
「新名くん?」
「おっ、新名?」
まだ嵐さんといんの。
「楽しそうで何よりでございますね」
「同じ学年だったら良かったのにな」
「そうだね、一緒のクラスだったら良かったのにね」
「既にオレがお星様に何万回もお願いしてることを今更言わない。ところでさ…、なんでその…、同じ布団に二人仲良く座ってんの」
「さっきまで枕投げしてた。なっ」
ハアッ?!
冗談でしょ。今時マジで枕投げ?
「うん。嵐くん凄かったよー」
布団の上でそんなコト言わないの。
違う思考にいっちまうから。
「早く部屋戻りなよ。ったく、大迫ちゃんら何してんだよー」
「見つかりそうになったけど、隠れたんだよ。なっ」
「…うん。ちょっとビックリしたけど」
急に美奈子ちゃんが恥ずかしそうに語尾を濁した。
「まさか、一緒の布団入っちまうとは思わなかったな」
「ナニィー?!」
偶然でもオイシすぎっしょ!!
いや、嵐さんのことだから天然に見せかけてという裏技もあるって。
「ナンもしてねーよ」
「当たり前だっつーの。あーもー、なんだよソレ。修学旅行先で生徒達が淫らな行為を繰り広げてますって、教育委員会にチクっちゃおうかな、もう」
「美奈子、そろそろ部屋戻る」
みよさんらしき声が遠くから聞こえてきた。
「あ…そうだね」
「ハイハイ、サッサと撤収して下さいよ」
「じゃ、新名くん、またね。おやすみ」
「うん、おやすみ」
「じゃな、新名」
「ハイ、嵐さんもおやすみ」
「美奈子、送ってく」
嵐さんの声が聞こえた。
送らんでよろしいっっ!!
「不二山、ついて来なくていい。廊下で見つかったら困る」
ナーイスッ、みよさんっ!
「なんかあったら、いつでも俺の携帯にかけてこい」
ああ、携帯にかけてもらっても駆けつけらんないはばたき市残留組のオレ!
歯痒すぎるって。マジ涙ちょちょぎれそ。
「嵐くん、ありがとう」
もう何なのこの会話。
まだ携帯繋がってるってこと知ってた?
オレ、二人が帰るまで心臓もつかな…。
ふと窓に目をやると、月と星が綺麗に輝いてる。
ヤキモキする日々はまだ続く。
もうもう、お星様のバカッ!
end
20100923
1/1ページ