惹かれる想い
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嵐side
美奈子と琥一は毎朝一緒に登校する。
美奈子はあいつにガッチリ守られてて、誰も近づけられねぇ雰囲気醸し出してやがる。
今日の朝練も、ご丁寧に部室の前までお見送りだ。
先生が、美奈子のおかげで琥一学校サボんなくなったって言ってたな。すげぇ影響力。
好きな女が出来ると、あいつも変わんだな。
…それは俺も。
部活に美奈子送り出す時、琥一は俺と目ぇ合ったら、更に目力こめてきやがる。
それをやんわり受け止めて見返した。
ガンつけなくても、美奈子はおまえのもんじゃねーか。
美奈子が俺を見て、琥一から離れた。
その瞬間がささやかな喜び。
美奈子がいくらおまえのもんでも、クラスは一緒じゃねぇ。部活もだ。
その時ばかりは、物理的に俺のテリトリーに入る。
限られた時間。ずっとつかまえていられたら。
休みの日も、それ以外の時間も。
もっと早く出会ってたら違ってたんかな。
ガキの頃から好きだったって言ってた美奈子。
そんな知り合ってもいねぇ時なんか太刀打ちできねーよ。
長い年月をかけてきた思いは違う。
俺だって、ほんの一、二年しか柔道やってなかったら、ここまでの思いは無かったと思うし。
スタート地点から大きく引き離されてる俺に勝ち目はあんのか。
俺は、空を仰ぎ、浮かぶ白い雲をじっと眺めた。
今日は無風だな。
けど、雲はゆっくりながらも、確実に動いてくのがわかる。
結婚してるわけでもねぇし。
放課後、部室に入ろうとしたら、外へ出ようとする美奈子と鉢合わせした。
「おっと」
「あ、ごめんなさい」
「早いな」
「えへへ、一番乗りなの。水汲みにいこうと思って」
銀色のバケツと雑巾を手にしていた。
「美奈子、明後日の日曜空いてねぇ」
「日曜?」
「ん」
「確かその日は、コウくん、バイト入ってたはずだから…、用事は無いけど。練習試合や自主練?」
「違う」
「じゃ、何?」
「俺とデートしよ」
「ええっ?!」
美奈子はキョトンとした顔して、俺を見た。
「今まで弁当ご馳走なったから、お礼だな。奢る」
「…」
美奈子は考え込んでる。
サラッと言ったつもりの口実。
やっぱまずかったか。
「無理ならいいぞ」
「ううん、行く」
「マジでいいのか」
「お礼なんだよね」
確かめるように俺を見る。
ただのお礼。それをただ受けるだけのおまえ。
でも、ちょっと嬉しい。
「ああ。お礼」
…俺にもチャンスはある。
例え僅かでも。
諦めたらそこで終わりだ。
美奈子と琥一は毎朝一緒に登校する。
美奈子はあいつにガッチリ守られてて、誰も近づけられねぇ雰囲気醸し出してやがる。
今日の朝練も、ご丁寧に部室の前までお見送りだ。
先生が、美奈子のおかげで琥一学校サボんなくなったって言ってたな。すげぇ影響力。
好きな女が出来ると、あいつも変わんだな。
…それは俺も。
部活に美奈子送り出す時、琥一は俺と目ぇ合ったら、更に目力こめてきやがる。
それをやんわり受け止めて見返した。
ガンつけなくても、美奈子はおまえのもんじゃねーか。
美奈子が俺を見て、琥一から離れた。
その瞬間がささやかな喜び。
美奈子がいくらおまえのもんでも、クラスは一緒じゃねぇ。部活もだ。
その時ばかりは、物理的に俺のテリトリーに入る。
限られた時間。ずっとつかまえていられたら。
休みの日も、それ以外の時間も。
もっと早く出会ってたら違ってたんかな。
ガキの頃から好きだったって言ってた美奈子。
そんな知り合ってもいねぇ時なんか太刀打ちできねーよ。
長い年月をかけてきた思いは違う。
俺だって、ほんの一、二年しか柔道やってなかったら、ここまでの思いは無かったと思うし。
スタート地点から大きく引き離されてる俺に勝ち目はあんのか。
俺は、空を仰ぎ、浮かぶ白い雲をじっと眺めた。
今日は無風だな。
けど、雲はゆっくりながらも、確実に動いてくのがわかる。
結婚してるわけでもねぇし。
放課後、部室に入ろうとしたら、外へ出ようとする美奈子と鉢合わせした。
「おっと」
「あ、ごめんなさい」
「早いな」
「えへへ、一番乗りなの。水汲みにいこうと思って」
銀色のバケツと雑巾を手にしていた。
「美奈子、明後日の日曜空いてねぇ」
「日曜?」
「ん」
「確かその日は、コウくん、バイト入ってたはずだから…、用事は無いけど。練習試合や自主練?」
「違う」
「じゃ、何?」
「俺とデートしよ」
「ええっ?!」
美奈子はキョトンとした顔して、俺を見た。
「今まで弁当ご馳走なったから、お礼だな。奢る」
「…」
美奈子は考え込んでる。
サラッと言ったつもりの口実。
やっぱまずかったか。
「無理ならいいぞ」
「ううん、行く」
「マジでいいのか」
「お礼なんだよね」
確かめるように俺を見る。
ただのお礼。それをただ受けるだけのおまえ。
でも、ちょっと嬉しい。
「ああ。お礼」
…俺にもチャンスはある。
例え僅かでも。
諦めたらそこで終わりだ。