短編置き場

「今日はきみに苦情を言いにきた、髭切」

 開口一番、目の前にいる鶴丸国永はそんなことを言ってきた。
 僕は出されたお茶を飲んで、ついでに煎餅をばりばりと咀嚼しながら言葉の続きを待ってみたのだけど、

「茶を飲むな、煎餅を食うな!」
「だって、僕のために出してくれたんじゃないの?」
「いや、そうだが、そうじゃない。きみは話を聞く態度というのをだな」

 仕方ないから煎餅は置いて、僕はお茶だけ飲むことにした。
 ここは僕の本丸ではないのだから、そこの流儀に習うのが礼儀というものだ。ついでに言うならこの鶴丸も別に同じ本丸の刀剣男士ではない。彼は、僕の主と親しい審神者の刀剣男士というだけなのだから。

「それで、何だっけ」
「苦情だ、く、じょ、う! きみがまた、よその本丸の審神者にガンを飛ばしたって、どういうわけか俺の主が泣きつかれたんだぞ」
「どの審神者のこと? いちいち覚えていられなくって」
「心当たりが多くなるほどやってるのか、きみは……」

 鶴丸はがくりと肩を落とす。これは主の行動に呆れたときに、歌仙がやる仕草によく似ている。

「ともかく、よその審神者にやたらめったら威嚇するもんじゃない。きみの主が困ることになるんだぞ」
「でもね、鶴丸」

 僕はそこで湯呑みを置いて、鶴丸の言葉を遮った。
 僕だって、一応は自分がしたことを覚えている。ただ、思い出すと不愉快になってしまうだけだから、さっさと忘れようとしているだけで。
 だけど、鶴丸に言われっぱなしも面白くないから、僕も自分の言い分を口にしようと決めた。自分の言いたいことを言わずに我慢するのは良くないと、主に教えてもらったからね。

「主のことを、鬼なのに何で斬らないんだとか言われたら、何もせずになんてできないよね」

 鶴丸は、案の定少し顔色を変えた。彼にも思うところがあったのかもしれない。
 ――僕の主は、鬼だ。
 正確に言うなら、鬼のような見た目をしている。
 額には小さい角があるし、口の中にある歯の一部はちょっとだけ尖っている。僕とお揃いだから僕としては嬉しいのだけど、それは置いとくとして。他にも、何かと人と違うところはあるらしい。
 主自身も、自分が鬼であることを否定はしない。僕らが丁度、自分たちが刀剣男士であることを否定しないように、主にとってそれは自分を構成する大事な要素なのだと、教えてもらっていた。
 だけど、鬼という言葉についてる意味は良いものでないことが多い。僕らが刀の付喪神であっても結局は凶器だ、と言われてしまうように。
 だから、主の見た目だけを見て――或いは内面を見たとしても、口さがない連中が余計な言葉をよく吐いてくる。加えて、僕に鬼を斬った逸話があるから彼女は僕の主に相応しくない、とまで言い出す者までいる。
 僕が顕現されづらい刀らしいから、やっかんでいるだけだ――と主は笑って言うけれど、そんな言葉自体、主に言わせたくなかった。

「自分が人間だっていうことが、そんなに偉いことなのかは分からないけれどね。主を斬れだなんて、何も知らない輩に冗談でも言われて許せるほど、僕は優しくなれないよ」

 ひと睨みで済ませたのを、むしろ褒めてほしいくらいだ。
 鶴丸も僕の話を聞いて、何て言おうか悩んでるみたいだった。結局、

「殺気を飛ばすなら、もう少し弱めてやればいいだろう。きみと違って、あっちは場慣れしてないんだ」

 それだけのお小言で、済ませてしまった。
 鶴丸だって自分の主のことを無碍に扱われたら、烈火のごとく怒る。そのことを、別の本丸にいる僕ですら知っている。そういうところは僕らは似ているから、こうしてたまに話をするのかもしれない。

「そういえばきみの主ときみは、最近どうなんだ?」
「どうって、何が」
「ほら、色々あるだろう。その、少しは距離は縮まったのかと聞いてるんだ」

 鶴丸なりに、僕に不愉快な思いをさせた詫びに、興味がありそうな話題を振ってくれたらしい。
 僕は再びお茶を飲んで、どう答えようかなと少し悩んだ。鶴丸に何もかもを話したいとは思わないのだけど、だからと言って関係は変わってないというのも癪だ。
 結局、僕はありのままに答えることにした。

「うん。最近は少し、意識してくれているみたいだよ」

 僕が主に、人間でいうお付き合いみたいな話を持ちかけてから、そろそろ半年以上が経つ。
 最初こそ、「女の人を他に見たことがないから勘違いしてる」とか、「自分よりいい人がいる」とか、「敬愛と恋愛は違うよ」とか、何かと逃げ道を随分探し回ってた主も、以前よりは素直に、僕の向ける気持ちを受け止めてくれるようになった。はっきりとした返事は、まだ貰えてないんだけれどね。
 でも、距離を詰めると顔が赤くなる程度には、意識されているらしい。

「この前も壁際まで追い詰めたら、小さくなって僕にしがみついてきてね」
「待て待て待て、きみは何してるんだ!?」
「上にあるものを取りたいから棚が設置されている壁際に近づいたら、丁度そこに主がいたってだけだよ。偶然ってあるものだね」

 勿論、確信犯だ。
 主は僕と壁に挟まれて、どうにもならずに僕にしがみついてきた。ちゃんと人がいないか確認して、と頭から湯気が出るのではないかと思うほど怒ってたけど、僕としてはそんな姿を見られただけで満足だ――ということを、彼女は当然知らない。

「主みたいな子は、照れ屋っていうんだよね。最近は特に二人きりでいようとすると、すぐに逃げちゃうか、弟や他の刀剣男士を間に挟もうとするんだ」
「それ、実は避けられてるとか嫌われてるんじゃないのか?」

 鶴丸はニヤニヤしながら、そんな意地の悪いことを言う。
 僕が嫌われてる? 誰に? 
 ――主に?
 そんなことないじゃないか、と言い返すと、彼はわかったような顔で「いやいや」なんて言い返してきた。

「きみのアプローチが強引すぎるんじゃないか? 強引な男は嫌われるっていうからなぁ」
「そこまで迫ってはいないよ。手を握ったり、ちょっと触ったりしてるだけだもの」
「きみの自己申告はあてにならん。そんなこと言いながら、実際は照れ屋な主が強く言い返せないのをいいことに、好き勝手やってるんじゃないか?」

 指摘されると、なんだかそんな気が――いや、でも僕が主に嫌われるなんて、万が一にもあるわけがない。
 そう言いたかったのに、鶴丸が被せるように、

「きみの主は、自分のことを素直に言い出せない性分だからなあ。きみが楽しそうにしてるから、何もいえずにいるのかもしれないぞ?」

 こんな風にさもありそうな内容を指摘されると、僕もちょっと考え込んでしまう。
 主は、他人を大事にする人だ。
 こう言うと、何だかよくできた人格者みたいに聞こえるけど、実はそんないいものじゃない。
 自分が嫌だと思っても、言い返して相手を傷つけたくないと思ってしまう人だから、と知ったのは一年ほど前のことだった。それが分かるまで僕も、どうして何も言わずににこにこしているのか、ずっと不思議に思っていたもの。
 ともあれ、そういう彼女だから、僕に迫られても言い返せないのではないか、と鶴丸は言いたいわけだ。

「……じゃあ、直接聞いてみるよ」

 思い立ったが、即行動。
 僕は湯呑みを置いて、立ち上がる。もう鶴丸の話は終わったのだから、わざわざここにいる意味もないものね。
 鶴丸は、玄関まで僕の見送りに来たついでに、

「急いては事を仕損じるって、言うからな。あの審神者を泣かせたら、俺が俺の主に叱られるんだぞ」

 そんな、激励なのかよくわからない言葉を投げてきたのだった。


 ***

 
 本丸に戻った僕は、それはもう早速主を探し回った。短刀や脇差の子たちに聞いたら、彼女は今自室で寛いでいるらしい。
 仕事が終わった頃合いなら、ちょうどいい。僕は主の部屋の襖の柱をコンコンと叩いて、彼女に入室の許可を求める。前は勝手に入ってたんだけど、ぷらいべーとっていう自分の場所に無断で入らないでほしいと頼まれてから、僕らはこうして確認を取る様にしている。
 程なくして、彼女の「いいよー」と言う声が聞こえた。

「主、入るね」
「ああ、髭切。おかえり。更紗ちゃんのところ、行ってたんだよね」

 更紗というのは、あの鶴丸の主の名前だ。まあ、そんなことはどうでもよくって。

「主、聞きたいことがあるんだけど」

 部屋にずんずんとあがりこんで、僕は主の目の前でしゃがんだ。
 ちょうど本を読んでいたらしい彼女も、読みかけのそれを置いて僕に向き合ってくれる。
 ただ、ちょっとだけその体が後ろに引いてる気がする。
 最近はずっとこうだ。二人きりになろうとすると、主はこうして僕から距離を置きたがるような態度を見せる。

「聞きたいこと?」
「主って僕のこと、実は避けてたりする?」

 彼女が引いた分、僕が身を乗り出す。同等の距離を保とうと彼女がどんどん後ずさるから、僕もどんどんその分だけ前かがみになって、ぐいぐい近づかなくちゃならない。
 彼女の後ろは寝台があるから、それ以上は下がれないってことに、もちろん僕は気がついている。ただ、頭の後ろに目があるわけでもない主は、まだ察していないようだ。

「避けてるつもりは……ないんだけど」
「でも、僕と話す時に弟を交えようとしたり、他の刀剣男士と一緒にいようとするよね」

 二人きりなのを避けていることは事実で、主も思い当たる節があるのか、眼を逸らしてしまった。うーん、これはやっぱり主も確信犯のようだね。

「僕を避けるのは、僕が嫌いだから?」

 急いては事を仕損じるぞ、と鶴丸の声が聞こえた気がするけど、今はもう無視してしまおう。だって僕は主の気持ちが早く知りたいから。中途半端なままで居続けるのは、いい結果にならないというのは嫌という程知っているもの。
 肝心の主はなんだか泣きそうな顔で、顔を真っ赤にしている。それだけ見ていると、これは本当に嫌がってるのかもしれないと、僕だって少しは思う。

「……嫌いなら、できるだけ近寄らないようにするから」
「ち、違う」

 彼女は後ずさりながら首を横に振って、予想通り寝台に頭をごちんとぶつけてしまった。痛いって悲鳴をあげながら蹲ってる主に、もう少し僕は近づいてみる。
 だって、さっき彼女は、違うと言った。なら、その続きを聞かなきゃ、引き下がるなんできない。

「違うって、どういうこと?」
「ええと……うまく言えないんだけど……。髭切と、どうやって過ごせばいいか、まだ分からないんだ。好いてくれてるのは嬉しいけど、その」

 彼女はしどろもどろになりながらも、僕にちゃんと説明しようとしてくれる。適当に誤魔化さずに向き合おうとしてくれている。

「そんな風に、誰かに好きになってもらうなんて初めてだから、どんな対応するのが正しいのか、とか、髭切が喜んでくれることを考えないと、とか……そういうのが、全然分からなくって。最近までは、髭切のことをもう少し遠く感じる部分もあるかなって思ってたんだけど」

 僕が黙って話を聞いてると、彼女は僕と目を合わせずに、下を向いたまま続きを話してくれた。
 気持ちを語ってくれるのは、嬉しいんだけど――こっち、見てほしいのにな。

「でも、髭切が僕のこと好きだなって分かる所が、どんどん増えていって。自惚れてもいいかなって思ったら、何だかどんどん心がいっぱいになっちゃって。意識すればするほど、二人きりになったら、何すればいいのか分からなくて、頭がいっぱいいっぱいになっちゃうんだ。皆がいたら意識しなくて済むから、なるべく一緒にいるようにしてたんだけど」
「主」

 俯いた彼女の頬を両手で挟んで、くい、と上に持ち上げた。少し不安げで、困ってるようで、追い詰めちゃったせいか頬がまた赤くなってる。こういうの見てると、独り占めしたいっていう気持ちがどんどん強くなってしまう。
 だから僕は気持ちの赴くままに、彼女を閉じ込めることにした。背中に片腕を回し、もう片方の腕で彼女の腕を引いて、後ずさっていた体をぐいとこちらに引き寄せる。
 そうしたら、ほら。もう、僕の腕の中に彼女の小さな体はすっぽり収まってしまうでしょう。

「何が正しいとか、どうしたらいいとか、僕は気にしていないよ。喜ばせようとしてくれるのは嬉しいけど、主の好きなようにしてくれればいいんだから。僕はそんなありのままの主を好きになったんだから」
「またそうやって、恥ずかしいことを言う……」

 僕の腕の中で、主はモゴモゴと何か言っている。
 ただでさえ小声なのに、服に顔を埋めちゃってたらよく聞こえないよ。そう囁いてみたら、今度は顔を上げてくれた。でも、至近距離で見る僕の顔にびっくりしたみたいで、面白いくらいに目が泳いでる。

「じ、じゃあ……例えばだけど、髭切は、何か僕にしてほしいこととかあるの」
「僕? 色々あるけど、まずは目を合わせてお話してほしいかな」

 最近、こうやって二人きりで話をしている時は、主は今のように視線を逸らしがちだ。僕としては、意識してくれて嬉しい反面、やっぱりちょっとだけ寂しいようにも思う。

「頑張ってみる……。頑張ってみるから、慣れるまでは、突然こんなに近くに来ないようにしてくれると、助かるんだけど」
「近くにいるのが慣れないなら、慣れるように近くにいる方がいいよね?」

 僕の屁理屈染みた返事に、主はぐうの音もでないみたい。でも、俯きかけても、今度はぐいと顔を上げてこちらを見てくれた。
 まるで睨むかのような視線でこちらを見つめ続けること、一秒、二秒、三秒。

「――やっぱり無理、恥ずかしい」
「三秒はできてたよ、いい子いい子。じゃあ、もう一回やってみようか」

 その時の主の顔と言ったら、木の上に取り残された子猫のような情けない顔をしていた。
 ううん……、困っているのは確かなのに、この顔を見ているともっと難題をぶつけたくなるのは何故だろう。
 それから僕は、じっと見つめてもらうまで解放しないと言って、しこたま主を困らせてみた。彼女ときたら、最後の方は僕の肩に顔を埋めて、恥ずかしいから勘弁してください、なんて言うもんだから、益々僕としては離したくなくて、ぎゅっと抱きしめる腕に力を込めてしまった。
 流石にあんまりなので、小一時間もしたら解放してあげたけど、それから彼女は僕から逃げ回ることはやめるようになった。
 弟は、逃げ回っても意味がないから観念したのではないか、なんて言っていたね。それならそれで、僕の態度を気にかけてくれていたってことだから、嬉しいことに変わりはないんだ。


「きみ、今日はなんだか機嫌が良さそうだな。それで、話って?」
「主に手を差し出したら、主が繋ごうとしてくれるようになったんだよ」
「ああ、わかったわかった。分かったから、きみ、いま何時か知ってるか?」
「日付が変わる頃だね」
「分かっているなら、こんな時間に連絡してくるんじゃない!」

 非常識な平安刀め、と愚痴をこぼして鶴丸は勝手に端末を切ってしまった。
 僕としては、この嬉しさを誰かに伝えたくて堪らなくて、とりあえず話を聞いてくれそうな知り合いに声をかけてみただけなんだけど、どうやら連絡をする時間を間違えてしまったらしい。

「仕方ない。それなら弟に聞いてもらおうかな」

 僕は早々に結論を出して、自分の部屋を出て弟の部屋に向かう。その途中で、僕は主の部屋の前を通った。この時間になると、彼女も自室から出てくることはまずない。
 夜の彼女はどんな姿をして、どんな顔を僕に見せてくれるのだろう。気にはなるけれど、急に押しかけたらそれこそ嫌われかねない。
 僕はそれでも、一度彼女の部屋の前で足を止めて、少しばかり目を眇める。襖の柱に伸びかけた手は、そこを撫でるにとどめておいた。

「不思議だよね。主の部屋へ夜に訪れたことはあったはずなのに」

 あの頃はまだ顕現して一年も経っていない時期で、僕としてはもっと素直に主の幸せを願っていた。笑顔になってほしいと思っていた。
 心から楽しそうに過ごす彼女を見ていたいと祈っていた。本当にそれだけで、僕の気持ちは十分に満たされていたのだ。だから、主が笑わなくなったときは必死になって、彼女に呼びかけた。彼女の頑なになった心を解きほぐし、怠惰で我が儘だった部分は叱り、希った想いは受け入れた。
 そして、惣領として以前より自然体に振る舞うようになった主は、僕の望んだ笑顔を見せてくれた。背中を預けられる仲間がいて、ずっと探していた弟も主が顕現してくれて、彼女も本丸にうんと馴染んでいた。
 ――だというのに、今は少し違う。
 主に笑っていて欲しい、幸せに過ごしていてほしいという気持ちに変わりはない。
 なのに、同時に僕は、彼女の見せる照れた顔も、はにかんだ花がほころぶような笑顔も、僕に詰め寄られて困っている顔も、何もかもを掌に収めておきたいとも願っている。
 そんなことは、勿論無理だと分かっている。
 なら、せめて彼女が僕のことをいつも忘れないようにしておきたい。彼女の体に、思い出に、心に、どこかに僕という名の爪痕を残しておきたい。

(これ以上はだめだ)

ぞくりと、冷たい感情が内側からわき上がってくる気がして、僕はそれをぎゅっと押し込み直した。
 主が笑顔のままでいてほしい。
 なのに、その笑顔を独り占めしたい。
 彼女に、消えない証を刻み込みたい。
 一生忘れられないほどに、魂の奥深くまで。
 できるなら、この体を使って。
 
(――矛盾、しているよね)
 
 僕の口に、ふっと自嘲染みた笑みが浮かんでしまった。
 痛い思いをさせたいわけじゃないのに、怖い思いをさせたいわけじゃないのに、こんな気持ちが僕の中のどこかにあるみたいだ。
 今は、彼女が僕のことを意識してくれているだけで満足しているけれど、この気持ちが溢れたら、一体どうなってしまうのだろう。
 僕はこれの先を知らない。
 主なら――知っているのだろうか。
 僕は彼女の部屋の前からそっと離れて、薄墨が混じったような気持ちに念入りに鍵をかけた。
 僕が誘うように差し出した手を、ぎゅっと握り返した彼女。その横顔を思い浮かべるだけで、黒ずんだ気持ちが静まってくれた。

 
 予定通り、弟の部屋に辿り着いた僕は、開口一番こう告げる。

「ちょっと聞いて欲しいんだけど」

 少し呆れたような顔をしながらも、笑って出迎えてくれる弟に、今日主と過ごした日々のことを話していく。
 今はまだ、この恋は柔らかい形のままでいてほしい。
 できるなら、ずっと――。
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