won't run away
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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「だけど悪魔化したとき主様とロノが心に語りかけてくれて…、俺は救われた。
ようやく今を取り戻した気がする。
そう思えるようになったのも、主様のおかげだ。
本当に感謝する。」
バスティンは胸に手を当てて深くお辞儀をした。
著しい変化はないけれど、以前に比べると表情が柔らかくなったように感じる。
「俺は命を懸けて、主様を守ると誓った。
あのときの言葉に嘘はない。
これからも主様に仕えさせて欲しい。」
「…バスティン、ありがとう。
俺だけじゃなく自分のことも必ず守って。
それから…。
他の執事達を助ける、協力をして欲しいんだ。
執事達は皆、それぞれに事情を抱えてる。バスティンのように。
俺は、皆救いたい。
誰にも死んで欲しくない。」
「ああ、勿論だ。主様。
俺も皆を救いたい…。協力する。
ちとせ様…。」
名前で呼んだことをバスティンが慌てて訂正する。
俺は別に構わないと言ったのだが、執事として主を名前で呼ぶのは相応しくないと言って頑なだ。
確かにマナー担当のベリアンには注意されそうだし、主を一人だけ名前で呼んでいたら浮きまくるだろう。
しかし普段は『主様』呼びなのに、よく名前を覚えていたものだと変なところで感心する。
バスティンが部屋を出て行った後、俺は貰った木彫り人形を手に取って暫く眺めていた。
こんなにたくさん話せる日が来るとは思わなかったので、思わず頬が緩んでしまう。
よく見ると人形の底の部分には文字が刻まれていた。
フェネスと山に食材を採りに行っているため不在だが、ムーがこの人形を見たら喜んでくれるだろう。
そしてムーのことだから、バスティンに素直な喜びを伝えに行くのだろう。
俺はバスティンが嬉しそうにムーの頭を撫でるところまで想像し、木彫り人形をよく見える棚に飾った。
『I won't run away, thanks to you.』