感謝祭
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
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「あ、あの…主様!
バスティンさんを追いかけてみませんか?
バスティンさん…。
何か悩んでいるのかもしれません…。」
ムーはバスティンに何度も助けられているから、バスティンの力になりたいのだと言った。
尾行と言えば聞こえが悪いが、気になる相手を追い掛けるのだと思えばそんなに悪いことではない。
それにベリアンからも御墨付きを貰っている。
俺が頷くとムーは飛び出すようにバスティンを追い掛けて行った。
「バスティンさん!」
「ムー、主様…。
どうかしたか…?」
ムーの声に立ち止まってくれたバスティンを待たせて、俺は呼吸を整える。
「最近みんなを避けてない?」
「別に…そんなことは…。」
具体的に何を話すか決めて来た訳ではないので、存外ストレートな言い方になってしまった。
言葉を詰まらせるバスティンにムーが続ける。
「バスティンさんは、ロノさんと協力するのを拒絶しました。
バスティンさんはとても強いのに…。
どうして誰かと協力することを避けるんですか?」
『仲間と絆を作りたくない』と言っていたことと何か関係があるのかと訊ねるムーに、これは自分の問題だから放っておいてくれと言ってバスティンは背中を向けて歩き出してしまった。
面倒くさい奴だと思われただろうか…。
俺は思い切って、ムーのお腹を両手で抱えバスティンに見えるように高く掲げた。
「バスティン!
ムーのこと、いつでもモフモフしていいからな〜!」
少しでもバスティンの気持ちが和らぐように。
気を許してもいい場所があるのだと伝わるように。
ムーは驚いてバタバタしていたが俺の意図を理解してくれたのか、うんうんと首を縦に振った。
振り返ったバスティンの口許は弧を描いていたと思う。
その後、バスティンは人混みに姿を消した。
俺達が感謝祭の会場に戻ると、出番を終えたベリアンがステージから戻って来ていた。
俺達を探していたらしく少し慌てた様子で駆け寄って来る。
どこに行っていたのかと聞かれた俺とムーは、ちょっとねと顔を見合わせて笑った。