感謝祭
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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ハウレスはフェネスと話をしている内に普段の調子を取り戻したように見えた。
同室の執事だからというだけではない二人の絆が窺える。
ベリアンは何やら物思いに耽っていたようだが、このことは自分達だけの秘密にしておこうと言った。
人の心ほど複雑で曖昧なものはなく、普段外に見せている姿は心の一部にしか過ぎないというベリアンの言葉は、どこか達観しているようにさえ思えた。
そこまでの思考にはなかなか至らないと思うのだが、ベリアンの経験がそう思わせるだろうか。
正午を知らせる鐘が鳴った。
ベリアンは午後からのステージに立つため、感謝祭の会場に戻らなければならないらしい。
元来た道を急いで戻りながら、俺は頭の中でまるでシンデレラのようだと考えていた。
「あっ!
ベリアンさんがステージに出てきました!」
俺とムーはステージが真正面から見える位置に陣取ってベリアンの出番を待っていた。
ベリアンは観客に深くお辞儀をすると、ピアノの椅子に腰掛けた。
真剣な眼差しで、だけどどこか柔和なベリアンの横顔は綺麗で思わず見惚れてしまう。
ベリアンの細くしなやかな指から紡がれる美しい音色を聴きながら、俺は初めて会ったときのことを思い出した。
そう言えばロノとバスティンが二人でお店をやると言っていたけれど、ベリアンは手伝わなくてもいいのか少し気になっていたのだ。
ベリアンは今日は余興を担当することが決まっていたのだろう。
歌やダンスだけでなくピアノも演奏できるのか…。
地下の部屋の執事達も楽器を演奏するというし、悪魔執事は本当に多才な人が多い。
「あれは…バスティン?」
ベリアンの演奏が終わり次のプログラムへ移る間、ガヤガヤとした街の雑踏の中で俺はバスティンの姿を見つけた。
バスティンはロノのお店とは反対の方向へと歩いて行った。