感謝祭
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ここからの景色を眺めていると…。
この世界が天使により危機に瀕していることなんて、忘れてしまいます。」
ベリアンはどこか遠くを見つめながら昔のことを思い出しているようだった。
主様の前なのに喋り過ぎてしまったと言うベリアンに、俺はどんどん話してくれと伝えた。
「もう随分昔のことで、ほとんど忘れてしまいましたけどね…。」
ハウレスの目的地はここではないらしく、まだまだ歩き続ける。
どこで待ち合わせをしているのだろう?
そう思っていたのに、辿り着いたのは中央の大地の墓地だった。
ハウレスは一つのお墓の前で立ち止まり、お墓に語り掛けた。
今日はお墓の女性の誕生日で、店で購入したのは貝殻の髪飾りだった。
いつか海を見たいと言っていた相手のために…ハウレスが選んだのだ。
「俺は…まだ後悔しているよ。
どうしてあのとき、あんなことしてしまったんだろうって…。」
声が涙混じりになる。
ハウレスには妹がいたと聞いたことがあると、ベリアンが言った。
美しい花束も髪飾りも、全ては亡くなった妹のためだったのだ。
俺はその事実を初めて知ったけれど、やはり本人から話を聞いたのではなく、盗み見ていることに罪悪感を覚える。
足音が聞こえて来て近くで止まった。
ハウレスに話しかけたその人物はフェネスだった。
フェネスはハウレスのことを気にかけて、ここまで来たのだろう。
ハンカチを差し出し、涙を拭くよう促した。
ハウレスはハンカチを持ち歩くような几帳面な性格ではないからとフェネスに言われ、自分でもまだ涙が出るとは思わなかったのだと答えていた。
まだまだ弱く、鍛錬が足りないと。
「ハウレス…。
別に泣いてもいいんじゃないの?
ハウレスは少し自分に厳しすぎるよ。」
本当にハウレスは自分に厳しいな…。
妹のために涙を流す人のことを、きっとハウレスは弱いだなんて思わない。
ハウレスは弱い部分が少しでもあるのが嫌なのだと言うが、俺は人間らしさであり心が優しい証拠だと思う。