死神事件
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「さあ、もう出て来ても大丈夫ですよ。
主様、ムーちゃん。」
やはりフルーレの後をついて来たのを見られていたようだ。
ムーと一緒に隠れていた茂みから出てルカスに謝罪する。
「おや?主様、そんなに暗い顔をされてどうしたのですか?」
「……ルカス、フルーレ達は天使に殺されなくても魔導服に飲み込まれて死んでしまうと言っていた。
あれは本当なのか?」
「…はい、本当です。」
「でも、魔導服を着ないと天使に対抗できないんだろ?
魔導服は悪魔と契約した者が着ることで力を発揮するって…。」
「それもその通りですね。」
「でも、それじゃあまるで…!」
まるで悪魔執事が、使い捨てみたいじゃないか。
「主様、涙を拭いてください。
私は笑顔の主様が、一番素敵だと思いますよ。」
ルカスはポケットを探るが、ハンカチの代わりになりそうなものは包帯くらいだった。
始終穏やかな表情で俺の話を聞いていたが、きっと俺がこれ以上、不安に思わないようにだろう。
「確かに私達、悪魔執事は…魔導服に飲み込まれて死んでしまいます。
でも、それを黙って見ている訳ではないんです。」
「魔導服に飲み込まれないように、できることがあると思っています。
その為に天使や魔導服について研究しているんです。
大切な仲間を失いたくないのは皆同じだからね。」
俺達はルカスが持っていた傘を差しながらゆっくりと森の入り口まで戻った。
俺とムーは眠れなくて外に出ていたところをルカスに発見されたということにした。
ダークファンタジーだと言っていたのは自分なのに、皆と一緒にいるのが楽しくてすっかり忘れていた。
『主様…我々執事が魔導服に飲み込まれるときは、絶望に飲み込まれたときです。
私達が絶望に飲み込まれないように、少しだけ気にかけてくださいますか。
主様が想ってくれるだけで、私達は救われますから。』
宿の方角から皆が歩いて来るのが見える。
涙の跡は降りしきる雨と傘に隠れて分からなくなっているだろう。
主様と駆け寄って来る皆のことを、俺は誰も死なせやしないと心に誓った。