舞踏会
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「主様が余興をする必要はありません。
私たち執事が何とかこの場を収めます。」
ベリアンなら絶対にそう言うと思っていた。
「でもベリアン、それでこの場が収まるなら悪くないんじゃない?」
「いいえ、主様。
執事の失態のせいで主様に謝罪までさせてしまったんです。
これ以上、主様にご迷惑をおかけすることはできません。」
「何をごちゃごちゃ言っている…早くせんか!」
ハウレスが代わりに自分たち執事が余興をすると提案しても、貴族の男性は頑として動かない。
選曲はあまり悩まなくていい。
全てこっちの世界では知らない曲なのだから。
人見知りだが人前で歌うのは飲み会で慣れている。
ベリアンに申し訳ないと思いつつ、俺は舞台へと足を運んだ。
一曲歌い終わり舞台から降りる。
アカペラで歌うのは少しキツかったが、なんとかやり切った。
これで貴族の気が済むのなら問題ない。
ただ空気的には何だか居た堪れない感じになっている…。
ダッ…ダッ…ダッ…
「主様!めちゃくちゃ格好良かったです!
こんなに素敵な主様にお仕えできるなんて…ボク、幸せです!」
ラムリが勢いよく飛び付いてきた。
明るさに救われる。
ラムリのおかげで会場の空気も変わり、そこではじめて拍手が沸き起こった。
…当の貴族はあまり面白くなさそうだが。
他の執事達も拍手で迎え入れてくれたが、ベリアンには少し顔を合わせ辛い…。
主人として相応しくない行動をとったかもしれないから。
「ジャズっぽいからこっちの世界の人にも馴染みがあるかと思ったんだけど、…不味かったかな?」
「いいえ、主様。
…とても素敵でした。
私もラムリくんと同じ気持ちです。」
ベリアンの優しい笑顔と言葉に胸を撫で下ろした。