訓練開始
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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翌日…。
俺たちは、南西の訓練キャンプへと向かっていた。
馬車に同乗する執事たちは、昨日フルーレが別邸に持って来てくれた衣装に身を包んでいる。
俺もムーも、皆の衣装に似たデザインの服を作ってもらった。
これから向かう土地は春にしては暖かい気候のため、涼しさを感じられる素材を使っているのだそうだ。
オシャレなだけじゃなくて、気候や目的に合わせた衣装を作れるところがフルーレの凄いところだと思う。
「細かいところまで、いろいろな気配りが施されているんだね。」
「この服なら、どこでだって居眠りできるな。」
「居眠りはダメですよ、ハナマルさん。」
御者を務めるユーハンの声が聞こえて来た。
ユーハンの耳がいいのかと思いきや、同じく御者を務めているベリアンにも会話が聞こえていたらしい。
ハナマルの席は御者台の真後ろにある為よく聞こえるようだ。
ということは、御者台にいるベリアンとユーハンの会話も聞こえてくる訳で…。
ユーハンは馬の扱いに慣れているが、軍隊にいたときに一通り身につけたのだそうだ。
地図の読み方、戦略論、戦術論…そして剣の戦闘鍛錬。
「だからこそ不可解なのは…。
ハナマルさんは一体、どこであの強さを身につけたのかということ…。」
そしてユーハンは、悪魔執事になって間もないころ、ハナマルに模擬戦を申し込んだときのことを話し始めた。
いつの間にか、馬車の中の皆が御者台の会話に耳を傾けていた。
ユーハンは役立ちそうなものなら何でも覚えたいと考えていたそうだ。
色々なことを学んだ結果、一番自信があったのは剣の腕だったのだが、模擬戦の結果ハナマルに負けてしまったらしい。
軍隊で鍛えていたユーハンとテディでさえ、模擬戦でハナマルに一度も勝てていないとは驚いた。
ハナマルはそれ程の実力を持っていても、ひけらかすことは絶対にしないし、寧ろ隠したがる。
それだけ強いのならば同じ東の大地出身で軍隊にいたユーハンの耳に入っていても可笑しくないのだが、全く知らないというのも不思議だった。
勝ち筋が見えないハナマルとの模擬戦だが、だからこそ挑みがいがあるとユーハンは言う。
いつか必ず本気のハナマルから一本取ってみせると、とても前向きに考えているようだ。
こんな気持ちになれたのも、俺をはじめデビルズパレスの皆のお陰だと…。
御者台からは遠くに建物が見えて来たらしい。
訓練キャンプまでもう少しだ。
「ところで…。
さっきから、馬車の中が静かなようですが。
まさか私たちの会話を…。
盗み聞きなんてしてないですよね?」
…………!
途端に寝た振りをするハナマルとテディ。
それはずるいとフルーレが抗議をする。
素直に謝るムーに便乗して、俺もユーハンに謝罪をした。
「フフッ♪
今のは冗談ですよ。
聞こえているのがわかった上で、お話ししたのですから。」
「さぁ、皆さん。
そろそろ訓練キャンプに着きますよ。
先に到着していた皆さんも…。
主様のお出迎えに来てくださったようです。」