訓練開始
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
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ボスキの案内でやってきた別邸執事室…。
俺も何度か遊びに来たことがあるが、内装が途中になっている場所なんてなかったように思う。
実際に部屋に入ってみても変わった部分が分からず頭を捻る俺に、見所は隣の「和室」だと言ってボスキが不敵に笑った。
「お〜、いいねぇ。
新しい畳の匂い。」
ハナマルが無遠慮に奥の扉を開ける。
わざわざ屋敷の庭に建てただけあって他の執事部屋よりも大きいその建物には、メインの部屋の奥にもう一室用意されていた。
扉の奥には、それは見事な畳の部屋が広がっていた。
あちらの世界でもあまり嗅ぐことのない懐かしいイ草の香り。
和室だが東の大地らしさもあり、上品でどこか気品漂う美しい内装…。
ユーハンではないが、ここでお茶など点てたらどんなに素晴らしいだろうと思う。
テディも落ち着く香りだと言い反応は上々だ。
「どうだ?主様。」
「めちゃくちゃ良い!」
本当ならば今すぐに畳の上でゴロゴロしたい!
でも大人だし…、主だからね。我慢しなきゃ。
テディは畳の他にも気になるものがあると言って障子を指し示した。
「格子に白い紙を貼って、外の光だけを取り入れる扉だ。
テディちゃん。
指で穴を開けるなよ?」
「俺ももう、いい大人ですから。
思い浮かべたことを、そのまま行動に移したりはしません!」
せやねん、俺達もういい大人やねん。
隣ではムーがうずうずと身体を揺らし、それに気付いたアモンが声を掛ける。
「あの『障子』っていうのを見てると…。
なぜか身体が駆け出したい気分に…。」
猫が障子で遊んでしまうのは遺伝子レベルで組み込まれたことらしい。
「……アモン。
ムーを確保しろ。」
「了解っす。」
ボスキの指令によりアモンがムーを抱き上げる。
ボスキは別邸組の三人から内装の仕事を感謝されセンスを褒められ、大したことじゃないと言いつつとても嬉しそうだ。
「あっ、そういえばベリアンさん。
俺たちの担当は、まだ決まってないんですよね?」
「新しい執事の皆さんには、特定の仕事をお任せするのではなく…。
他の執事の皆さんの、『サポート役』に回っていただこうかと考えております。
そうやって、様々な仕事をサポートしていただく中で…。
ご自分の適正に合った仕事が見つかれば…。
そのままその仕事の担当となるのも、有りかもしれませんね。」
「そうだな。
自分に向いた仕事を、気長に探してみるか。
主様の布団を温めておく担当…とか。」
冷ややかな視線がハナマルに飛ぶ。
ハナマルとしては合法的に昼寝ができるし、冗談で言ったのだとは思うが…。
昔は草履を懐で温めて評価されたなんてこともあるし、王様とかなら本当にある話かもしれない。
温めるという目的以外にも「私は貴方の為ならこのようなことができます」というアピールになりそうだ。
………ん?
「こんにちは。
衣装を届けに…。
って、あれ?
主様に、ベリアンさんたちまで…どうして別邸の執事室に?」
タイミングがいいのか悪いのか、フルーレが衣装を届けにやってきた。
皆でハナマルを黙って見つめている異様な光景に、ハナマルが何かやらかしたのだと察している。
これが一つのきっかけとなり、お開きとなったのだった。