新執事
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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そして翌日…。
俺はいつもどおり自室で過ごしていた。
コンコン…
「主様、今お時間よろしいですか?」
声の主はテディだった。
どうぞと声を掛けるが、テディはなかなか部屋に入って来ようとしない。
何やらハナマルのシャツが出ているのを注意しているようだ。
ハナマルは「ワイルドで色気がある」と自認しているようだが、否定できないところが悔しい。
「不潔は駄目ですよ、ハナマルさん。」
扉越しに、ハナマルに厳しいユーハンの声も聞こえてくる。
別邸の三人で来てくれたようだ。
暫くして、失礼しますという声と共に三人が部屋の中に入って来た。
「皆さん、その格好は…!」
ムーが驚きの声を上げる。
三人は昨日まで自前の服を着ていたが(ユーハンは屋敷で貸した練習着)、今日は全く違う衣装を着ていた。
昨日の顔合わせでフルーレが作った燕尾服を三人に渡していたのは知っていたが、一番に見せに来てくれたようだ。
皆よく似合っているが…。
感想を求めて微笑むユーハンに、俺は声を詰まらせる。
ユーハンの特徴的な長い三つ編みが、今は斜めに切り揃えられていた。
「サルディス家では、私はすでに死んだ人間です。
私が生きていることが、彼らにバレてしまってはいけませんから。
少しでも印象を変える必要があったんですよ。」
「たしかに…バレたらまずいよね。」
少し勿体ないような気もするが、髪型に特に拘りがあった訳ではないらしい。
寧ろ新しい自分に生まれ変わった気がして嬉しいと、ユーハンは言う。
そういうことならば周りが気にするのは野暮というものだろう。
「ユーハンさん、とてもよく似合ってますよ!」
「ありがとうございます、ムーちゃん。」
コンコン…
どうぞと合図を送ると、ロノが俺に話があると言って入ってきた。
ユーハン達の衣装を見てフルーレのセンスを褒めるロノ。
確かに一言で燕尾服といっても全く異なるデザインで、尚且つそれぞれの執事達に本当に似合っているのだから凄い。
「本当はユーハンたちには内緒にしたかったんですけど…。
せっかくこうして仲間が増えたことですし…。
今夜は屋敷でパーティを開きませんか?
やっぱりオレ…。
こういう機会を大切にしたいんですよね。
オレたちは仲間であり、家族みたいな関係なんだって…。
これから一緒に戦っていく皆と…。
結束を強めていきたいっていうか…。」
「いいね、パーティ。
やろうよ!皆で。」
親睦を深める為にも歓迎会を開くことは良いことだし、緊張が続く場面が多かったから久しぶりに皆で楽しいことがしたい。
何より、ロノがそこまで考えていたことが嬉しかった。
「オレ、他の執事にも伝えてきます。」
「よろしくね、ロノ。」
「相変わらずロノは元気なやつだなぁ。
あいつがいると、周りが明るくなる。」
「ロノさんのそういうところ…。
素敵だと思います。」
ハナマルとムーが沁みじみと口にする。
対して、ユーハンは何か引っ掛かることがあるらしい。
本当に自分達の為にパーティを開いていいのか、主従関係に於いては失礼にあたるのではないかと訊いてきた。
自分は気にしないし別に失礼だとも思わないと伝えると、ユーハンは少し困惑してしまったようだ。
「俺は皆に幸せでいてほしいんだ。」
「なるほど。
こりゃ、執事たちもこぞって慕うわけだわ。」
「こんなに優しくて…。
温かい人…。
俺、初めて出会ったかもしれない。」
「こんなに素敵な主様…。
世界中探しても、どこにもいません。」
「や、だから皆…大袈裟だって。」
「つーわけで。
俺たち三人…。
デビルズパレス別邸組をこれからよろしく頼むな、主様。」