新執事
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
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ユーハンさんを救出して、数日が経った頃…。
俺は3階の執事室に来ていた。
今はルカスがユーハンさんの診察をしている。
「怪我の治りも順調だ。
体調もずいぶん回復したようだね。」
「ありがとうございます、ルカスさん。
ご迷惑をおかけしました。」
ユーハンさんは舟で気を失ってから二日間眠り続けていた。
どうやら極度の栄養失調と、睡眠不足が原因だったらしい。
俺たちに救出されたことで…。
張り詰めていた緊張の糸がプツッと切れたようだ。
「あの…主様。」
「は、はい。」
「ルカスさんから聞きました。
私が眠っている間…。
ずっと私の看病をしてくださっていたんですよね。
ありがとうございました。」
「いやいや、そんな大したことはしてないよ。」
心配で様子を見に来てはいたが、せいぜい氷嚢の中身を変えるくらいで何かした訳じゃない。
「以前から思っていましたが…。
あなたは本当に心優しい御方ですね。
あなたが執事の皆さんに慕われている理由が、少し分かる気がします。」
以前から思っていたけれど…。
執事達、皆褒め過ぎだよね。
こっちの世界には主人公補正ならぬ主様補正があるのではないだろうか。
何だか色々と勘違いしそうになってしまうので、自制しなければと思う。
その後もすごく褒められたけど、簡素にありがとうと言うに留めた。
「どう?
私たちの主様、とても素敵な方でしょ?」
「はい。」
「これからは君の主様でもあるから…。
しっかり主様を守ってね。」
「承知いたしました。
この命に代えても、主様をお守りします。」
「ありがとう、ユーハンさん。」
「私に敬称は必要ありませんよ。
他の執事の皆さんと同じように、ユーハンと名前でお呼び下さい。」
「じゃあ、ユーハン。」
「はい、主様。」
コンコン…。
扉をノックする音がして、ベリアンが姿を現した。
新しく悪魔執事になる他の二人を、ユーハンに紹介しに来たのだという。
ユーハンはグロバナー家の憲兵だったテディを見て驚いている。
これから三人は同じ部屋の執事として生活を共にするようだ。
自己紹介が済んだ頃、ベリアンが本題に入ると言った。
「本題…?」
「はい。
悪魔執事になる上で、避けては通れない…。
悪魔との契約の儀式についてです。
悪魔との契約は、かなり危険なものです。
命を落とす危険もあります。
それでもなお…。
悪魔執事になる覚悟はありますか?」
皆、覚悟はできていると頷いてくれる。
「ありがとうございます。
では、すぐに出発いたしましょう。
皆さん、こちらをつけていただけますか?」
そう言うと、ベリアンは黒い布を三人に手渡した。
どうやら目隠しをしなければならないらしい。
悪魔との契約は極秘事項だが、それは契約する本人でも同じようだ。
それが決まりなのだとベリアンが言う。
(しかも今から行くのか…。)
「少しの間、屋敷を留守にいたします。
私は数日で戻ってきますが…。
ハナマルさん、ユーハンさん、テディさんの三人は…。
これから約3ヶ月ほど戻ってきません。」
「3ヶ月!!?」
な、長い…!
一体どんな儀式をするのだろう。
どんな場所でどんな人が悪魔の力を三人に宿すのだろう。
食べ物は食べられるのかな?
目隠しはその間ずっとしているのだろうか…。
「儀式が終わったら…。
またお声がけしますので…。
それまで彼らの儀式の成功を祈っていてください。」
「分かったよ。
…必ず無事に帰って来てね。」
『必ず』はあり得ないと分かっていても、言わずにはいられなかった。
こうして新執事になる三人とベリアンは、悪魔との契約の為に屋敷を後にした。