新執事
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
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俺たちは急いで退却地点に向かっていた。
前方はバスティンが…。
後方はルカスが警戒してくれている。
何度か虎に襲われそうになったが…。
二人のおかげでなんとかしのぐことができた。
「退却地点はもうすぐそこだ。
このまま竹林を抜けて脱出する。」
「脱出って…。
いったいどうやって?」
竹林を抜けた先に川があり、舟を用意しているのだとベリアンが説明する。
ユーハンさんはどうして自分を助けてくれたのかと不思議に思っているようだ。
ベリアンは、ユーハンさんの勇気と覚悟に心を動かされたのだと伝えた。
「あなたはここで終わっていい人間ではない。
あなたのその勇気と覚悟を…。
世界を救うために使ってほしいのです。」
「ベリアンさん…。
ですが…。
私はただの人間…。
世界を救う力なんて待ち合わせていません。
私が生きたところで何も…。」
今は心も身体も弱っているので、後ろ向きな思考になってしまうのも無理もない。
「…力なら持てるよ。」
「え…?」
ただ、悪魔の力は濫用できないし…。
力を得る為に払う代償は、生易しいものではない。
悪魔執事としてやっていけるかどうかは、本人の体力やメンタルも大きく影響している。
「ユーハンさん、悪魔執事になってください。」
「あなたは悪魔執事になれる可能性を秘めています。
私たちは、あなたに…。
新しい悪魔執事として、仲間に加わって欲しいのです。」
無事に竹林を抜けて、退却地点の川まで来られた。
バスティンとルカスが舟を出す準備をしてくれる。
暫しボーッとして考え込むユーハンさんに、ベリアンが再び声を掛けた。
「ユーハンさん。
どうしますか?
私たちと一緒に来ますか?」
「え…。」
「悪魔執事になるということは…。
多大なリスクと代償を背負うことになります。
命を落とすリスクだけでなく…。
もう二度と普通の人生を歩むことはできないでしょう。
それでもなお…。
あなたが平和な世界を作りたいと願うなら…。
私たちとともに戦いましょう。」
「ベリアンさん…。
私は……。」
気力を失い、さっきまで提案に戸惑うだけだったユーハンさんの瞳に、光が宿った。
「…やります。
私に戦う力をください。」
丁度舟を出す準備もできた。
ベリアンに促され先に舟に乗り込む。
ユーハンさんには、虎に食べられて死んだと見せかける偽装工作をしてもらう必要があった。
このまま姿が跡形もなく消えてしまったら、フブキ様に逃げたと気づかれる可能性がある。
ユーハンさんはバスティンを護衛に指名して竹林の中に消えて行った。
数分後、ユーハンさんは腕に怪我をした状態で戻って来た。
引き裂いた服に血痕を残す為、自ら傷付けたのだと言う。
竹林からの脱出を急ぐ為、傷の治療は舟の上で行うことにして舟を出発させた。
そして…。
「ユーハンさん!?」
ユーハンさんは舟が竹林から離れた後直ぐに、気を失ったのだった。