新執事
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
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翌日、東の大地へと向かった俺達は、人喰い虎が放たれている竹林の近くの街で様子を窺った。
グロバナー家の諜報員にも特別に協力してもらい、ユーハンさんの処刑が執行される日時を慎重に探った。
諜報員からの情報によると、竹林の周りは厳重な囲いがしてあり出入り口は一つ。
しかし竹林の裏側には大きな川が広がっており囲いはない。
逃げるとしたらそこからだろう。
「兵士達がユーハンくんを連れて来るとして、竹林の中央までは行かないと考えていいだろう。
何故なら自分達の身が危ないからね。
それを踏まえて、私達は舟で川のこの辺りに待機するのはどうかな?」
地図を指差しながらルカスが言う。
あまり早く待機しても危険なので、ユーハンさんが投獄されている場所から移動するのを確認した後、俺達も舟で竹林を目指すことにした。
幸い待機している街の小さな川は、竹林裏の大きな川へと続いている。
そして数日後…。
諜報員がユーハンさんの移動を伝書鳩で知らせてくれた。
それを受けて素早く舟を竹林裏の川に待機させる。
バスティンが先陣を切って潜伏し、ユーハンさんや兵士達の様子を静かに窺った。
ドス…ドス…ドス…
グルルル…
「私の人生はこれで終わりなのですか…。
大切な人たちや故郷を奪われ…。
そのかたきを討つことすらできない。
バスティンさん…すみません。
あなたとともに戦うと誓ったのに…。」
「顔をあげろ、ユーハン!
敵から目を離すな!」
名前を呼んだ人物が現れるなんて、どんなに驚いたことだろう。
ダッダッダッ…
「大丈夫か、ユーハン。」
「バ、バスティンさん…!?
ど、どうしてここにあなたが…。」
「ユーハンさん…!」
「あなたは悪魔執事の主様…。」
「バスティンくんは正面右を警戒!
ルカスさんは左を警戒してください!」
ベリアンやルカスまでこの場にいることに、ユーハンさんは困惑している。
「皆でユーハンさんを助けにきたんだ。」
「私を…?」
「あなたには生きてもらわなくちゃ困る。」
「…!!」
俺とベリアンでユーハンさんを退却地点まで連れて行き、バスティンとルカスが虎を喰い止める陣形を取った。
悪魔の力解放の為に呪文を唱えると、ルカスの背後に白い毛並みの老齢なライオンが現れた。
ルカスが契約した悪魔は「フォラス」というらしい。
「虎とライオンはどちらが強いのか…。
試してみましょうか。」
「おい、ルカスさん。
虎を傷つけるのはダメだと言ってなかったか?」
なるべく証拠を残さず脱出する必要がある為、虎を傷付けるのは御法度だ。
作戦は変わっていないが、主様の前だから格好つけたくなったのだとルカスが言う。
虎に囲まれているのに余裕があるのは何故なのだろう。
隣にバスティンがいるから心強いのだとルカスは言うが、バスティンは「ルカスさんが本気を出せば自分の助けはいらない」と言う。
執事達の中でもアダルト組(ベリアンを含む)の強さは未知の部分が多い。