新執事
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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ユーハンさんが処刑されるという情報をベリアンが得たのは、グロバナー家の諜報員の人からだった。
サルディス家の諜報員もこちらに潜伏しているらしい。
現代では馴染みのない役割だが、俺が知らないだけで今でも行われているのだろうか。
ムーはユーハンさんを取り巻く状況については理解したが、悪魔執事の候補に上がっていることについては腑に落ちていないらしい。
ユーハンさんも知能天使を捕獲する遠征で仲間を失っているし、長年仕えてきた君主に無慈悲に処刑されるとなれば、絶望しても可笑しくないと思うのだが…。
「諜報員からの伝達によると…。
ユーハンさんが捕まったあと…。
彼の故郷の村は、跡形もなく燃やし尽くされたそうです。
さらに…。
その村に住んでいたユーハンさんのご家族を含め…。
村人全員が処刑されてしまったそうです。」
そんな…。
想像を絶する仕打ちに、言葉も出ない。
自分だけならまだしも。
大切な家族や故郷の人々…。
帰る場所までも、一気に奪われてしまうなんて。
自分の所為で皆が死んでしまったと、思わずにはいられないだろう。
ベリアンとバスティンは、ユーハンさんを助けたいと言う。
平和な世界を作りたいという立派な志を持ち、戦士としての実力も持ち合わせている。
仲間になってくれれば大きな戦力になるだろう。
しかし、問題は山積みだ。
サルディス家の問題にグロバナー家に属する悪魔執事が首を突っ込めば、戦争に発展しかねない。
しかしベリアンは、戦争に発展しない形でユーハンさんを奪還する方法が一つだけあると言う。
「ユーハンさんが処刑された後に救い出すんです。」
処刑と聞いて一番に思い浮かべるのは、やはりギロチンだろうか。
切腹とか火炙りもあるかもしれない…。
いずれにせよ、処刑が行われた後で救い出すことなど不可能のように思えるが、サルディス家の処刑方法は少し特殊なのだとバスティンが言った。
サルディス家に反逆した者の処刑は、昔から「虎の刑罰」と決まっており、人間を食べるよう調教された虎がいる竹林に放たれるのだそうだ。
食べられれば骨すら残らないらしく、最後に虎によって引き裂かれた服を見せしめに使われるという。
見る側からすれば晒し首よりはマイルドに感じるが、生きたまま骨の髄まで食べられることを想像すれば、最も残酷かもしれない。
「ユーハンさんを救うのは『竹林に放たれた後』です。
私たちもその竹林に潜伏し…。
ユーハンさんを助けて、脱出します。」
バスティンとベリアンが二人で助けに行くと言うが…。
そんなに恐ろしい虎がいる場所に潜伏するなんて、あまりにも危険だ。
しかしユーハンさんを助けたい気持ちは、俺にも勿論ある。
主様はどう思うかとルカスに訊かれ、俺は自分も一緒に行くと答えた。
戦いが多くて、人喰い虎の恐ろしさに鈍感になっているという部分は否めない。
けれどそれ以上に、俺が行かないで二人が怪我をしたときの方が後悔すると思った。
悪魔の力が使えれば怪我を負うリスクは減る。
ルカスが俺の護衛に同行してくれると言い、この四人でユーハンさんを助けに行くことになった。