親と子
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
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次の日、馬車で向かった先は中央の大地の森の奥…。
森の中にひっそりと佇む古びた小さな教会だった。
年月が経って古くなったというより、ところどころ修繕された箇所や壊れた形跡が目立っていた。
ここにハナマルさんを含め五人で住んでいるのだとベリアンが言う。
「ここは小さな教会に併設された孤児院で…。
ハナマルさんは、その子たちの親代わりをしている方なんです。」
ハナマルさんが来てすぐにシスターさんが病気で亡くなってしまい、それからはハナマルさんが一人で子供達を育てているのだそうだ。
今年でもう10年になるという。
ガチャ…
教会の扉が開いて、少年少女達が出てきた。
年齢は15歳くらいだろうか…。
皆ベリアンと面識があるようで、とても楽しそうに話をしている。
すると、一人の少年がこちらに目を向けた。
「どうも、こんにちは。」
「こ、こんにちは。」
「あの、ベリアンさん…。
この方は…。」
「私たちの主様です。
とても優しく素敵な方ですので…。
どうか安心してくださいね。」
子供達と挨拶を交わす。
ハナマルさんはどこかに行っており不在らしい。
戻って来るまで教会の中で待たせてもらうことにした。
「主様もこちらへどうぞ。」
「外観は少し古いですけど…。
中は綺麗に掃除していますので、ご安心ください。」
さっきも思ったけど、、
この子たち凄くしっかりしてる…!
自分が同じくらいの歳の頃なんか、何も考えてなかったぞ。
今だって成熟した大人とは言い難いのに…。
教会の奥には子供達が住んでいる部屋があり、俺は部屋に入るなりその光景に驚いた。
「た、畳だ…。」
建物の造りは教会そのものなのに、その部屋の床には畳が敷き詰められていた。
教会に畳の部屋があることにも驚いたが、畳そのものがこの世界にあることに驚いた。
機械文明以外のものは基本的にあると思っていいのかもしれない。
ハナマルさんが帰って来るまでの間、皆でお茶をして待つことにした。
子供達はベリアンによく懐いており、子供達を見るベリアンはとても優しい目をしている。
そのことを本人に伝えると『子どもたちを見ていると自然と温かい気持ちになる』のだと、ベリアンらしい言葉が返ってきた。
ベリアンは子供達に紅茶の淹れ方を教えるようだ。
俺はこの辺りを見て回りたいと思い、ベリアンにお願いして近くを散策することにした。
一人では心配なようなので、ムーがついて来てくれることになった。
何気ない会話をしながらムーと森の中を歩く。
例えば穏やかで素敵な場所だねとか、子供達がすごくしっかりしていたという話を。
ザッ…ザッ…ザッ…
「ハナマルさん…。
お散歩に行ったって言ってましたね。
まだ帰ってこないんでしょうか?」
「うーん。」
「俺が何だって?」
「うわぁ!」
いきなり真後ろから聞こえた声に驚いて、思わず声を上げてしまう。
振り向くと、そこには着物のような服を着た男性が立っていた。
「あなたは…。」
「今、俺の名前呼ばなかった?」