絆
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
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「あっ!
ハウレスが目を覚ましたよ!」
「おい、大丈夫か!
ハウレス!」
ハウレスの心の中から出て暫く…。
俺達は地面に寝そべるハウレスの周りに集まって、ことの行く末を見守っていた。
やがて身体からも黒いモヤや炎がゆっくりと消えて行き、そして静かにハウレスが目を覚ました。
ハウレスは悪魔化していた自分の状況を、比較的早く理解したようだった。
「主様…。
ありがとうございました。
それからボスキとフェネスも…。
ありがとう。」
ハウレスを救ったのは俺じゃない。
トリシアさんと、彼女を思い出させてくれたフェネスと。
身を挺してハウレスと戦ってくれたボスキと…。
そしてトリシアさんが慕ってくれていた自分でありたいと、願ったハウレス自身だ。
自分も心配していたのだと、ムーがハウレスに声を掛ける。
喜ぶムーの表情と声はいつものムーだった。
ハウレスとバスティンが悪魔化したときに現れたあの黒猫の存在は、きっとムー自身も自覚していないことなのだろう。
「そうだ…。
おい、ハウレス。
お前に聞きたいことがある。」
「聞きたいこと…?」
ボスキはハウレスに最大の疑問をぶつけた。
「お前は主様が貴族に殺されたと思い込んで、悪魔化したんだよな?
いったいどういう経緯でそうなった。」
「それは…。
知能天使…。
セラフィムがそう言ったんだ。」
ハウレスは、ルカスの交渉のお陰で俺が「投獄されなかった」のを知らなかった。
拷問を受けて意識が朦朧とする状況では他の可能性まで考えが至らず、セラフィムの言葉を鵜呑みにしてしまったのだと言う。
地下の見張りが少なかったのは、やはり知能天使が先に来ていたからなのか。
しかしセラフィムがハウレスに、わざわざそんな嘘をついたということは…。
「知能天使の狙いは…。
やっぱりハウレスを悪魔化させることだったんだ。」
フェネスは古の塔にトリシアさんを連れて来たときから、知能天使の目的がハウレスの悪魔化ではないかと疑っていたらしい。
そうして悪魔化したハウレスに人間を襲わせることで「悪魔執事は人類にとって危険な存在だ」と思わせ、世界から悪魔執事を排除する流れを作り出す。
……そういう計画だったのではないかと。
「知能天使…。
相当厄介なやつらだな。」
とにかく屋敷に戻ろうということになったが、ハウレスとボスキはとても立って歩ける状態ではない。
皆で二人の身体を支えて帰ろうとしたその時、森の方から誰かが走って来る音が聞こえてきた。
「ボスキさん!
応援を呼んできましたよ…!
って、ハウレスさん…!?
良かった、悪魔化から戻ったんですね…!」
他の皆にハウレスの悪魔化を知らせに行っていたナックが、応援を連れて戻って来たのだ。
ナックが来た方向から数人の執事がやってくる。
ロノとアモンに、ラトとルカスも…。
皆とても心配していたのだと聞いて、ハウレスは柔らかい表情を浮かべた。
「ありがとう…みんな…。
俺にはまだ…。
守るべき仲間がたくさんいるんだな…。」