絆
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
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「だが…。
やはり…。
貴族の連中は許しておけない…。」
「ハウレス…?」
次の瞬間、黒いモヤがハウレスの身体をさらに強く覆い始めた。
「貴族は滅ぶべきだ。
あいつらは身勝手で…。
大切なものを奪っていく。
主様や大切な仲間が…。
この先、またいつ傷つけられるかわからない…。
それならばいっそのこと…。
今ここで、完全に滅ぼしてしまうべきだ…。」
アカン!考え方がめちゃくちゃ偏ってる…!
(これが悪魔化か…。)
「ハウレス!しっかりして!」
そんなことをしてしまったら…。
ハウレスは確実に処刑されるし、悪魔執事全体の信用も失ってしまう。
復讐も自由にさせてあげたい気持ちはあるけれど…そもそも悪魔化を止めないと、貴族を倒す前にハウレスが死んでしまう…!
「大丈夫です、主様…。
もう何も心配いりません。
俺がすべて終わらせますから。
主様のことは俺が守ります。
もう二度と…。
同じ失敗はしない…。」
ハウレス…。
ハウレスは悪魔化しても、俺や皆のことを一番に考えているんだ。
普段と変わらない…心優しいハウレス。
……“復讐”?
そう言えば、ハウレスの記憶では…。
「ハウレス、待って!
君は、本当にそれでいいの?
怒りと憎しみに駆られて、人を殺すなんて…。
トリシアさんは…。
君を慕ってくれていた妹は、そんなこと望んでいたの?」
「……!
トリシア…。」
そうだ…、フェネスの言う通り。
ハウレスの記憶の中で、牢獄から解放されたハウレスはトリシアさんの命を奪った貴族を拉致していた。
ハウレスは貴族に復讐して自分も死ぬつもりだったけれど、できなかった…。
トリシアさんの言葉を思い出したからだ。
『世界で一番やさしいお兄ちゃん』
『みんなを守るお兄ちゃんは本当にかっこいい』
『お兄ちゃんは、私の自慢のお兄ちゃんだよ』
「トリシア…。
俺のせいでお前は…。
すまない…。
本当に…すまない…。」
『泣かないで
これからもお兄ちゃんをずっと見守ってるから
世界でいちばん優しい…自慢のお兄ちゃん
みんなを守ってあげてね』
「わかったよ。
俺は…。
お前が誇れる兄であり続ける。
ありがとう、トリシア。」
まるで俺達にもトリシアさんの声が聞こえているような、そんな錯覚をしてしまう。
ハウレスは徐々に穏やかな表情になり、身体中を覆っていた黒いモヤも、いつの間にか消えてなくなっていた。