奪還
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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俺は昨日からお風呂にも入らずに、ベッドの上で引き籠っていた。
眠れないと言いつつ自ら眠らない道を選んでいる気がする。
しかしどんなに現実から目を逸らそうとも、生きる為の欲求はいつも平等にやってくる。
喉が渇いた俺は水を貰いに食堂へと歩みを進めたのだった。
水を飲み、部屋へ戻ろうとする途中…。
地下への扉が、少しだけ開いているのを見つけた。
「おや?
主様…。
部屋から出て来られたのですね。」
「…喉が渇いて。」
地下倉庫ではベリアンが一人で考え事をしていた。
部屋から出た理由が『喉が渇いたから』では、ばつが悪いと感じ視線を逸らす。
ベリアンはいつものように微笑んで、そんな俺の為にハーブティーを入れてくれた。
ベリアンはハウレスのことが頭から離れず眠れなかったようだ。
過去の天使の研究資料を見て考えてはみたものの、打開策が浮かばず焦っていたのだと言う。
「ハウレスくんは、屋敷にとって欠かせない人材というだけでなく…。
何よりも、ずっと共に戦ってきた仲間ですから。」
聞けば他の執事達も元気がなく、屋敷の中はいつも以上に静かだったと言う。
また、それぞれにハウレスを助け出す方法を考えていたらしい。
「ごめん、こんなときに…。
俺って頼りない主だよね。」
自虐的に笑う。
「休めるときは、お休みすればいいんです。
主様は今まで十分頑張ってくださいました。
貴族達のことなら私達の方がよく知っていますし、主様がお休みしている間は、私達がハウレスくんを助ける方法を考えればいいのです。
…主様も、私達に頼ってください。」
「え…?」
「主様は一人ではありませんよ。」
気が付けば涙を流していた俺の背中を、ベリアンが優しく撫でてくれる。
ハウレスには皆を頼れと言っておきながら、自分でも出来ていなかったんだな…。
俺は皆を失いたくないと思っていること、だけど自分には力がなくて、どうにもできないことをベリアンに話した。
「ベリアン…、もう少しここに居てもいい?
俺もベリアンと一緒に、ハウレスを助ける方法を考えたいんだ。」
「ええ…。もちろんですよ、主様。」
丁度そのとき部屋の扉をノックする音が聞こえてきて、俺は慌てて涙を拭った。
扉が開くとボスキとフェネスが姿を現す。
「ベリアンさん。
ちょっと話があるんですが…。」