奪還
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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「隊長の証言だけでも、ハウレスの裏切りは明白。
裏切り者を直ちに収監し…。
天使の情報を吐かせた上で…。
処刑することを求めます!」
「そ、そんな…。」
しょ、処刑!?なんだよ、それ…!
「それともうひとつ…。
悪魔執事の主の処分についてです。」
ん…?……俺っ!?
「なっ…!主様の処分…?
ど、どういうことですか!」
ハウレスが動揺して声を上げる。
他の悪魔執事も天使と繋がっている可能性が0ではない以上、悪魔の力を解放できる者の存在は大きな脅威となる。
疑いが晴れるまでの間、執事達と引き離すのは当然だというのが貴族の主張だった。
「ふむ…。
サルディス家の兵士にも犠牲が出ている以上…。
この辺りが落とし所、か。」
フィンレイ様が呟く。
「憲兵。
ハウレス・クリフォードを拘束し、ただちに収監せよ。
然る後に…。
悪魔執事の主もな。」
「ル、ルカス…。
どうにかならないのか?」
処刑という言葉に焦りが募る。
憲兵達に取り囲まれるハウレスから目が離せずに、俺はルカスに小さな声で助けを求めた。
「主様、申し上げ難いですが…。
この状況では、私でもハウレスくんを解放することは難しいです。」
「…俺なら、いざとなれば元の世界に逃げることができる。
だから…。ルカスはハウレスを…。」
「そのようなことになったとき、またこの世界に戻って来てくださると約束できますか?」
俺は恐る恐るルカスの方に顔を向けた。
ルカスの真剣な瞳が、俺を真っ直ぐ捉えて離さない。
「仮に戻って来られたとしてもグロバナー家が黙っていないでしょう…。
私達には、主様が必要です。」
何もできないまま、憲兵達はハウレスをどこかに連れて行ってしまった。
そしてその後…。
俺も、別の憲兵たちに取り囲まれる。
人間の力が及ばない脅威に対して、過剰に警戒をすることは理解ができる。
だけど俺達は裏切って等いないし、寧ろ人類の為に一番危険なところで戦ってきたじゃないか…。
皆、崩れかけた世界の均衡の上に立っていて、不安でたまらないのだとルカスが言う。
自分の身を守るために、他者に攻撃的にならざるを得ない。
自分達が安心できれば本当に裏切っていたのかどうかは、どうだっていいのだと。
「ですが主様、どうかご安心を。
私がいる限り…。
主様には決して手を触れさせませんから。」
ルカスはいつものように微笑んで、フィンレイ様に向き直った。