奪還
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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眩しい光が収まり、徐々に辺りの様子が見えるようになったころ。
そこには…。
鳥籠に捉えられた偵察隊と、サルディス家の軍隊の姿があった。
悪魔執事の皆とユーハンさんやテディ、偵察隊の隊長は無事のようだ。
ルカスがミヤジに合図を送り、二人で知能天使に斬りかかった。
しかし二人の攻撃は知能天使に躱されてしまう。
知能天使たちは羽を広げ、上空に飛ぶ。
それに合わせて、兵士たちが捕まっている鳥籠も上空に浮かんだ。
弓矢班の弓矢は変わらずに知能天使を狙っている。
しかし知能天使達は、弓矢班が繰り出す攻撃を兵士達の鳥籠を盾にすることで回避した。
どうにか知能天使達を止めたいと思うものの、兵士達を盾にされては手も足もでない。
どうしたらいいか分からずに、皆その場に立ち尽くしていた。
「くっ…待て!
仲間たちを離せ!」
そんな中、テディが一人で知能天使達に向かって行った。
「テ、テディ副隊長!逃げてください!
こっちに来たら、あなたまで捕まって…。」
「お前たちを見捨てられるか…!
絶対に助ける!」
テディに触発され、兵士達の素直な感情が動き出す。
まだ死にたくないと、悲痛な叫びが木魂した。
「へぇ…すさまじい殺気だ。
捕まった人間たちが、相当大事なんだね。
焦り…怒り…恐怖…。
もっと見てみたい。
たとえば…。
絶望の表情とかね。」
そう言うとセラフィムは、鳥籠に手をかざした。
その手が、徐々に輝き始める。
「な、何をするつもりだ!?」
テディの言葉に、天使の放つ光が何を意味するか分かるだろうとセラフィムが残酷に告げる。
その言葉を理解して、兵士達が次々と悲鳴を上げた。
強くなる光と共に大きくなる叫び声が、何もできない自分を責めているようで思わず耳を塞いでしまいたくなる。
しかしその声もすぐに聞こえなくなり…。
光が消えると同時に…。
鳥籠の中にいた兵士たちの姿も、消えてなくなっていた。
セラフィムの行動は予定にないことだったのだろう。
折角捕まえた捕虜だったのにと、ケルビムが非難をする。
「それじゃあ、悪魔執事とその主。
私たちはこれで…。」
「ハウレスくん。
君はちゃんと役目を果たしてくれた。
妹のトリシアちゃんの件は、また今度話そう。」
「くっ…!
またわけのわからない戯言を…!」
そう言うと知能天使の二人は、夜闇に姿を消した。
後に残ったのは、重い沈黙に包まれた悪魔執事たちと…。
そして…。
地面を叩きながら涙を流す、テディの姿だけだった。
二人目の知能天使が現れるという予測できない事態になったとは言え、…完敗だった。