奪還
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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「こっちに来ます。」
ベリアンの言葉に緊張が走る。
守ってくれると言う皆の言葉を疑っている訳ではないけれど、心臓が煩くて仕方がなかった。
外見では分かりずらいと言われたことがある俺の些細な気持ちの変化は、今はもう執事の皆には分かってしまうのだろう。
「主様…ご安心ください。
何があっても私たちがお守りします。」
自分が傷付くのは何よりも恐い。
だけど…。
(執事の皆が傷付くのも、同じくらい恐い…)
動揺が顔にも出てしまっていたと思う。
知能天使の二人は一瞬で俺達の目の前までやって来た。
本当は彼らに負けない位、余裕のある態度で迎え入れたいのに…理想通りにはいかなかった。
「ほらほら、そんなに怖い顔しないでくれよ。
そんなに私たちが怖いのかい?」
無駄話をしている暇はないと、ケルビムがセラフィムを嗜める。
弓矢班が知能天使達に攻撃を仕掛ける中、『君たちを傷つけるつもりは無い』と知能天使は言った。
丁度、捕獲班の皆が近くまで駆け寄って来たところだった。
「だって…。
約束したじゃないか、ハウレスくん。」
「約束…?
な、何を言ってるんだ?」
「君は約束どおり人間たちを連れてきてくれた。」
「君が連れて来た人間たちは、私たちがすべて貰い受ける。
だから…。
私たちが交わした『契約』について、貴族たちにバレる心配はないんだ。」
知能天使達の話に寄ると、妹であるトリシアさんを蘇らせるのと引き換えに、ハウレスが契約を交わしたということらしい…。
とても信じられない話だし、ハウレスも覚えがないと否定している。しかし…。
「そういうことだったのか…。
だから、無理にでも今回の遠征に行こうと申し出たのだな!」
グロバナー家の偵察隊である隊長が叫ぶ。
「それじゃあ…始めちゃおう。」
その言葉を合図に…。
二人の知能天使の身体は強い光を放ち…。
辺りは白い光に包まれた。
とても目を開けていられない状態で、皆の声が聞こえることで辛うじて位置関係や距離感を測っている中、ベリアンが俺の身体を強めに引き寄せた。
「だ、大丈夫ですか?
主様?」
傍で聞こえた声の安心感とその手の温かさに、視野を奪われた俺は救われたのだった。