新局面Ⅱ
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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少女がハウレスの名前を呼んでから、ハウレスは明らかに動揺し始めた。
心ここに在らずと言った様子で、フェネスとボスキの声が聞こえているかも分からない。
やはりただの迷子ではなく天使が仕掛けた罠だということは分かったが、俺もこうなってしまっては何が正解なのか分からない。
だけど一つだけ言えることがあるとするならば…。
居ても立ってもいられず…。
遠くから俺は叫んだ。
「ハウレス、落ち着いて!」
「……。
あ、主様…?」
「ったく…主様の声は聞こえるってか?
ハウレス!
とにかく落ち着け!
どう見ても罠だろーが!」
「そうだよ!
きっと…天使たちの罠なんだ。
ハウレスを動揺させるための…。」
剣を持つハウレスの手が震えている。
必死に我慢しているようだ。
「ハウレスのところに行っていい?
お願い、ベリアン。」
前線に行き過ぎるのは危険だと言っていたベリアンだったが、俺が真剣なことを知って行くことを許可してくれた。
悪魔の力を解放し、驚異的な身体能力を持つミヤジが彼らのところまで運んでくれることになった。
捕獲班まではそれなりに距離があったが、ミヤジのおかげですぐに辿り着くことができた。
ここは危険だと皆が心配してくれる中、責任を持って護衛班のところに戻すと言ってくれたミヤジは頼もしい。
「主様…。」
「ハウレス、辛いよね。
だけど、落ち着いて…。」
「みんながついてるよ。
だから、自分をぞんざいに扱うことだけはするな。
何よりトリシアさんが望んでいないよ…。」
「み、みんな…。
トリシアが…?」
「ハウレス…。
きっと…辛いよね。
俺じゃ頼りないかもしれないけど…。
俺、ハウレスを支えたいんだ。」
フェネスの言葉を皮切りに、その場にいた他の捕獲班の皆もハウレスを支えたいと口にする。
「ったく…。
ハウレス、お前はそんなに弱くねぇだろ。
だから…しっかりしろよ。」
「俺もハウレスを支えるから。」
「あ、主様…。
お前たち…。」
ハウレスがゆっくりと深い息を吐いて顔を上げる。
「あ、ありがとうございます。
俺…耐えられそうです。
この心の苦しみに耐えて…。
戦います。」