新局面Ⅱ
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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暗闇で足元が見えづらいからと、ベリアンが手を差し伸べてくれた。
古の塔は暗闇と静寂に包まれている。
前回昼間に来たときと比べ、不気味さに拍車が掛かっていた。
「主様、私たちは少し塔から距離を取りましょう。」
捕獲班と弓矢班の準備が整ったのを確認して、ベリアンが言った。
今回は知能天使の捕獲が目的なので、俺達は離れた場所から彼らを見守ることになる。
サルディス家の小隊とグロバナー家の偵察隊にも所定の陣形を組むように指示を出した。
後は天使が現れるのを待つのみで、張り詰めた緊張感が辺りを包んだ。
俺も天使狩りを始めて今までで一番緊張している。
皆が3週間掛けて訓練してきた成果が実を結ぶかどうか、今日に懸かっている。
「ん?
あれは…?」
ルカスの言う方を見ると上空に光る何かが見えた。
まるで大きな鳥籠のようなものがゆっくりと地面に向かって降りて来ている。
天使の罠を警戒したベリアンから力を解放するように言われ、俺は皆の力を解放した。
動物の耳を生やし風貌が変わったミヤジを見て、ユーハンさんとテディが驚く。
「まぁ…。
初見は驚くよね?」
「ベラベラとうるさいぞ…。
ルカス…。」
「はあ…。
性格が凶暴になってるから皆さん気をつけてね。」
鳥籠が地面に近付くに連れ、中に誰かがいるのが分かった。
遠くからは余りよく見えないが、助けを求めるその声は、前回も古の塔にいた子供の物だと分かった。
つまり鳥籠の中にいたのは、ハウレスの妹にそっくりな少女だった。
心配になってハウレスを見遣る。
思ったより落ち着いているようだし、フェネスとボスキが傍にいてくれてホッとする。
しかし安心したのも束の間、捕らえられた少女の口から思いも寄らない言葉が出てきたのだ。
「助けて…!
助けて…!
お兄ちゃん!
助けて…!ハウレスお兄ちゃん!」
「俺は…ずっと後悔してきたんだ…。
もう長い間…。
自分が生きてて良いのか迷っていた。
微笑むことにも…。
喜ぶことにも…。
ずっと心の奥底には違和感があったんだ。
俺なんかがそんなことを感じていいはずがないと…。」