古の塔
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
不定期更新。
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
まず観察して分かったことは天使達に序列があること。
通常の天使は知能天使の命令を聞く。
知能が高い者が社会をコントロールするというのは、どの種族でも同じらしい。
「そして、知能天使の能力ですね。
彼の知能はかなり高いようです。」
「それは私も感じたよ。
戦場でのあの余裕。
そして、無理に攻めずに撤退する姿勢。
私たちが彼を分析するのと同じように…。
彼も私たちを分析しているようだった。」
「しかし…。
不利な情報だけでなく…。
私たちにとって良いことも分かったかもしれません。」
知能天使はスピードは速かったが、執事達を簡単に倒す程の力は持っていないのではないかというのが、ベリアンの考えだった。
もしも簡単に倒せる力があるのなら、わざわざ通常天使を使って襲わせることに説明がつかない。
また戦いの途中で引いたのは、自分の能力と執事達の能力を天秤にかけて分が悪いと判断したからではないかと言うのだ。
「一対一じゃ厳しいかもしれませんが…。
私たちが力を合わせれば…。
知能天使を倒すことはできるかもしれません。」
そうでないと困るというのが本音だが…状況を分析して冷静に勝ち筋を見つけるのは大事なことだ。
後一つ、気になることがあるとベリアンは言った。
ハウレスの妹に似ているという、天使に連れ去られた少女のことだった。
その少女のことがあるから…、俺はいつもより落ち着かないと言ってもいい。
あんな雪山で民家もないような場所に女の子が一人でいたのは明らかに不自然だ。
本当にただの迷子ならば、知能天使が連れ去ったのも疑問が残る…。
ハウレスが動揺していた。
自ら陣形を崩し単独行動を取るなんて、普段のハウレスからは考えられないことだった。
それほど妹のことを大切に思っているのだろう…。
ハウレスが経験した絶望を刺激されているのではないかと、良くない方に考えてしまう。
「はぁ…。
主様、私も一杯頂いてもよろしいですか?」
「おや、珍しいね。
ベリアンがワインを飲むなんて…♪」
「主様とお酒を頂く機会は滅多にないですし。
今日は何だか…。
飲みたい気分です。
考えすぎて頭が疲れましたから…。」
明日のグロバナー家との会議は荒れそうだとルカスが言う。
偵察部隊も怪我を負った人がいるし、明日はルカスの交渉術に頼ることになるだろう。
「うっ…やっぱり渋いですね。」
ベリアンが顔を歪める。
疲れている身体にアルコールが回るのはいつもより早く感じた。
俺もそろそろ切り上げて自室に戻らなければならないが…。
でも今夜は、あと一杯だけ…。