古の塔
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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俺がベリアンに促されるまま馬車を降りると、黒装束の可愛らしい女性が待ち構えていた。
ハウレスが魔女族と言っていたのはこの女性のことだろう。
話している様子からするとベリアンと知り合いのようだ。
「私たちの主様…ちとせ様です。」
「なるほど…なるほど…。
初めまして…悪魔執事の主様。
私は魔女族のエルヴィラと申します。」
黒装束の女性は以前エスポワールの街でムーがぶつかった相手だった。
街で会ったときと同じように、猫なのに人間の言葉を話すムーのことを誰かの使い魔なのかと訊いてきた。
古の塔はここからさらに北方の雪山の麓にあるが、ここからは魔女族の領地なのだそうだ。
入るには許可が必要だが事前に伝達済みで許可を貰っているらしい。
エルヴィラはここが領地へ続く関所なのだと言うと、俺に歩み寄ってきた。
「執事の悪魔化を止めたと聞きましたけど…。
本当に…あなたがやったのですか?」
「た、多分…そうです…。」
エルヴィラに手を見せてくれと言われ、両手を広げて差し出す。
「ふむ…なるほど…なるほど。
さて、長旅疲れたでしょう。
ここで休憩して行ってください。」
手を見せたのは何だったんだ…?
どう思われたのか分からなくて少し顔が強張る。
グロバナー家の偵察隊は魔女族のことを警戒しているらしい。
俺達だけ魔女族の領地で休ませて貰うことにした。
「フフッ♪
どうです?似合ってますか、主様?」
「ミンナニアッテルヨ。」
ルカスに思わず片言で返事をしてしまった。
白を基調とした、やたらヒラヒラと可愛らしい特徴的な衣装。
薄着だが不思議と寒くはない。
自分に合うサイズがあって良かったとミヤジが言った。
正直女性向きで男が着るには向かないが、皆は美形だから似合っている。
だけど自分が着るのはめちゃくちゃ違和感がある…。
はっきり言って似合ってない!
この白い衣装はゲストであることを示す服で魔女族の村に入るには必須のアイテムだ。
魔女族は警戒心の強い一族で、この服を着ることで安全を証明するのだと言う。
ムーは猫だから白い衣装は着なくても大丈夫なようだが、ちょっと着てみたかったらしい。
「関所の村、アグノームへようこそ。
悪魔執事とその主…。
あなた方を歓迎します。」