新局面
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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遠征前日の夜、明日の確認のため俺達は玄関に集まった。
7番の古の塔までは馬を使っても数日掛かるらしい。
夏の連休を取りやすい時期と重なって本当に良かったと思う。
ベリアンが今回の遠征について改めて説明をする。
目的は知能天使の調査で、守って欲しいことが二つあると言う。
一つ目は深追いしないこと。
相手の能力が分からない以上、無理な攻撃は避け退却命令に従うことだ。
二つ目は、知能天使を討伐しないこと。
「討伐してはいけない?
なぜでしょう?」
ラトが質問する。
知能天使は新たな脅威だが、会話ができる知能天使なら色々と情報を聞き出せるかもしれないという返答だった。
「捕まえてから、拷問して情報を聞き出すのですね。
それはそれで楽しそうです。」
「え、えっと…。
ちなみに、羽の破壊は大丈夫です。
とにかく知能天使が話ができる状態なら大丈夫です。」
倒してしまわずに生捕りにして情報を聞き出すのか…。
仕方がないけど生々しいな。
とは言え天使についての情報は集められるだけ集めたい。
知能天使が何故いきなり現れたのかも気になる。
皆がベリアンの説明に頷いた。
俺はその夜、ベッドの中で寝返りを繰り返していた。
緊張で眠れなくて、今考えなくていいことまで余計に考えてしまう。
今までの天使は言葉が通じない決まった行動を取る相手だったけれど、知能天使は違う。
こうなってくると人間と異なるのは種族だけだ。
コミュニケーションが取れる相手と争い傷付け合うことに、少なからず抵抗を感じていた。
部屋の扉を叩く音が聞こえる。
こんな時間に誰だろうか…。
どうぞと言うと、部屋に入って来たのはナックだった。
「明日からの遠征、緊張されてるんじゃないですか?」
ナックが差し出したのは安眠効果があるラベンダーのアロマだった。
ラベンダーは元の世界でもアロマとして有名だし比較的好きな匂いだ。
ナックは長いこと不眠らしく他にも安眠グッズを豊富に持っているという。
「ありがとう、ナック。
いい匂いだね。」
「主様のお役に立てるのでしたら、不眠も悪い事ばかりではありませんね…。」
「主様〜!」
走って来る足音が聞こえると同時に、自室の扉が勢いよく開いた。