新局面
夢小説設定
本棚全体の夢小説設定「悪魔執事と黒い猫」の二次創作の本棚です。
まだまだ少ないですが少しずつ増やしていきます。
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俺の質問に、ベリアンは躊躇いながらも肯定した。
「もう…遠い昔のことなので…。
何に絶望したのか忘れてしまいました。」
この言い回しはベリアンの癖なのだろうか。
感謝祭のときも、丘の上から遠くを眺めて同じように言っていた。
絶対、忘れてないパターンのやつだ。
ただ人には言い難いことなのだろう。
正直、話すかどうか迷ったのだとベリアンは言った。
何も言わないで置くのは俺に失礼かと思い、話してくれたようだ。
用件を終えたベリアンは、長い時間ムーを待たせるのは可哀想だと言って部屋を出て行った。
絶望を経験した者でないと悪魔執事になれない。
裏を返せば、悪魔執事なら誰でも悪魔化する可能性があるということだ。
バスティンのときのように昔経験した絶望を刺激されたり、あるいは新たに絶望を経験することだってあるかもしれない…。
それにしても、強靭な精神力が必要なのは分かるけど、絶望を経験しているから強いというのはどうなのだろう。
現にバスティンは何でもなさそうに振る舞っていたが、心は傷付いたままだった。
何度も試して悪魔と契約する条件になったのだとは思うけれど、成功する確率が高いだけに過ぎない(実際に悪魔化という現象がある訳だし)。
…少し考え過ぎて頭が痛くなってきた。
一番は悪魔化しないように尽力することだが、仮に悪魔化しかけても勝算はある。
バスティンのときのように心に直接話し掛けることができたら…俺一人の力では絶望から救い出すことができなくても、皆がいる。
ロノがバスティンに呼び掛けてくれたように、皆の力を借りたら救い出せる可能性は高い。
それにはムーの力が不可欠だと思うのだが、本人にその自覚は無さそうだ。
ラズベリーマフィンを貰いに行こうとしているムーの背中に目をやって、俺は黒猫の影を探した。