俺とルカス、ハウレスの3人はグロバナー家の会議に出席していた。
今はその帰り道で馬車の中だ。
二人は俺が貴族の前でも堂々としていたと言ってくれたが、俺は殆ど立っていただけで実質ルカスとハウレスが受け答えしてくれた。

貴族との会議は緊張感が半端ない。
この世界は貴族ごとに統治しているので、貴族の会議はいわゆる国会と同じようなものだ。
元の世界では裁判だって出席したことがないのに、粗があったとしてもよく頑張った方だと思う。

あのバスティンの悪魔化事件から、もう3ヶ月が経とうとしていた。


今日の報告会ではまず、事の発端となったサルディス家関連の依頼について説明した。
サルディス家の部隊が古の塔を探索に行って行方不明になり、彼らを見つける為に悪魔執事が駆り出されたのだ。

結論から言うとその依頼は悪魔執事を誘き出すサルディス家の罠であり、傭兵団「黒蛇の団」に依頼して悪魔執事の暗殺を企んでいたのだった。
奇しくも傭兵団の団長がバスティンの因縁の相手だったことが、バスティンの悪魔化に拍車をかけてしまった。

貴族達からしっかり報復するべきだという意見が出る中、グロバナー家当主のフィンレイ様は冷静だった。
サルディス家の軍隊と全面戦争するにはグロバナー家の軍隊では歯が立たないと。
またサルディス家は自らの手を汚さず傭兵団を使っており、責任逃れをされる可能性が高いとルカスが言った。

この3ヶ月の間に何度か貴族との会議に出席し、フィンレイ様とも対面をする機会があった。
フィンレイ様はルカスのことを呼び捨てにしており、他の執事よりも信頼していることが窺える。

しかし今日の会議の本題はサルディス家への対応ではなかった。

俺達はその後、天使の集団に襲われ問題なく倒すことができたのだが、空から謎の男が現れた。
天使の特徴を持ち合わせたその男は、はっきりと自分は天使だと名乗ったのだ。