夏油傑
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「ねー、傑。海行きたい。」
「これまた急だね。まだ寒いから入れないよ?」
月明かりが差し込む部屋で、枕を抱えて耳に携帯電話を当てている。相手は恋人の夏油傑。全寮制の高校に通う同い年。街中で逆ナンしてあっという間に告白された。
どこの高校かも知らない。会える機会も少ない。毎日電話するのが私たちのルール。連絡先を消されてしまえば二度と会えなくなる、脆弱な関係だった。
「流石に分かってるよ」
彼は忙しい人だから、会いたいと言って会える人じゃないことも分かってる。もしかしたら遊ばれているのかもしれない。それでもいいと思えるくらい、私は傑を好いている。
「たまには二人でどこか行っちゃおうよ」
思ったよりも弱弱しく出た自分の声。返ってこない返答に、”しまった”と思った。
「そうだね、今週の日曜とかどう?」
「えっ、いいの……?」
「楓が言い出したんじゃないか」と笑い声。
「何時集合にしようか」
とんとん拍子に決まっていく予定。夢ならば覚めないでくれと強く願った。
・
「やっぱ冷たい!」
「言っただろ」
電車を乗り継いで、ようやく会えた傑と海。どちらもやはり綺麗で、私の直感は間違っていなかったと確信した。
「傑も入ろう」
レジャーシートを敷きに、荷物を置いた彼は「まったく…」と言いながらも、靴下を脱いで来てくれる。
「楓、入りすぎ」
「ワンピースだから大丈夫」
「大丈夫じゃない。濡れるよ」
そう言う傑の手には、ワンピースの裾。遊ぶのに夢中で前しか押さえれてなかったようだ。
「それとも…」
傑の指に太ももをなぞられ、小さく声が漏れる。
「ここで脱がされたいのかい?」
彼は愉しそうに笑っていた。
・
途中で購入した弁当を一緒に食べたり、写真を撮ったり、傑が持参していたビーチボールで遊んだり。地元の人が散歩するぐらいで、人の気が少ない此処は、思う存分くっつけた。
「楓、そろそろ」
気づかないふりをしていた私に、傑は苦笑いしながら言った。
「ほら、腕回して」
屈んだ彼の首に腕を回せば、危なげなく抱かれる。そのまま海から上がっていき、私をレジャーシートに降ろした。
「マニキュアの色、変えた?これも可愛いね」
膝立ちした傑は、私の足を膝に乗せてタオルで包み込む。優しく、丁寧に拭かれる。指一本一本、間まで__。嚙み締めた唇から、荒い息と声が零れた。
「クスッ、感じちゃった?」
「悪い子だね」と彼は態とらしく叱った。
.
誰もいない車内。オレンジの光が二人の影を伸ばす。彼が携帯に表示される時刻を見るたび、とても泣きたくなった。彼は、優しい人。だから私が寝てしまえば、横に居てくれるのではないか。
「いけないことを考えてるね」
聡い彼にはお見通しだったようで「ダメだよ」と言われてしまった。
「…帰りたくない。まだ一緒にいたい」
握りしめた拳に落ちる涙。
「そう思っているのは、楓だけじゃないさ」
顔を上げれば、彼の親指が目尻を拭う。「ははっ!」と楽しそうに笑った彼は言った。
「決めた……次で降りて宿を探そう。夜も楽しませてね」
「これまた急だね。まだ寒いから入れないよ?」
月明かりが差し込む部屋で、枕を抱えて耳に携帯電話を当てている。相手は恋人の夏油傑。全寮制の高校に通う同い年。街中で逆ナンしてあっという間に告白された。
どこの高校かも知らない。会える機会も少ない。毎日電話するのが私たちのルール。連絡先を消されてしまえば二度と会えなくなる、脆弱な関係だった。
「流石に分かってるよ」
彼は忙しい人だから、会いたいと言って会える人じゃないことも分かってる。もしかしたら遊ばれているのかもしれない。それでもいいと思えるくらい、私は傑を好いている。
「たまには二人でどこか行っちゃおうよ」
思ったよりも弱弱しく出た自分の声。返ってこない返答に、”しまった”と思った。
「そうだね、今週の日曜とかどう?」
「えっ、いいの……?」
「楓が言い出したんじゃないか」と笑い声。
「何時集合にしようか」
とんとん拍子に決まっていく予定。夢ならば覚めないでくれと強く願った。
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「やっぱ冷たい!」
「言っただろ」
電車を乗り継いで、ようやく会えた傑と海。どちらもやはり綺麗で、私の直感は間違っていなかったと確信した。
「傑も入ろう」
レジャーシートを敷きに、荷物を置いた彼は「まったく…」と言いながらも、靴下を脱いで来てくれる。
「楓、入りすぎ」
「ワンピースだから大丈夫」
「大丈夫じゃない。濡れるよ」
そう言う傑の手には、ワンピースの裾。遊ぶのに夢中で前しか押さえれてなかったようだ。
「それとも…」
傑の指に太ももをなぞられ、小さく声が漏れる。
「ここで脱がされたいのかい?」
彼は愉しそうに笑っていた。
・
途中で購入した弁当を一緒に食べたり、写真を撮ったり、傑が持参していたビーチボールで遊んだり。地元の人が散歩するぐらいで、人の気が少ない此処は、思う存分くっつけた。
「楓、そろそろ」
気づかないふりをしていた私に、傑は苦笑いしながら言った。
「ほら、腕回して」
屈んだ彼の首に腕を回せば、危なげなく抱かれる。そのまま海から上がっていき、私をレジャーシートに降ろした。
「マニキュアの色、変えた?これも可愛いね」
膝立ちした傑は、私の足を膝に乗せてタオルで包み込む。優しく、丁寧に拭かれる。指一本一本、間まで__。嚙み締めた唇から、荒い息と声が零れた。
「クスッ、感じちゃった?」
「悪い子だね」と彼は態とらしく叱った。
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誰もいない車内。オレンジの光が二人の影を伸ばす。彼が携帯に表示される時刻を見るたび、とても泣きたくなった。彼は、優しい人。だから私が寝てしまえば、横に居てくれるのではないか。
「いけないことを考えてるね」
聡い彼にはお見通しだったようで「ダメだよ」と言われてしまった。
「…帰りたくない。まだ一緒にいたい」
握りしめた拳に落ちる涙。
「そう思っているのは、楓だけじゃないさ」
顔を上げれば、彼の親指が目尻を拭う。「ははっ!」と楽しそうに笑った彼は言った。
「決めた……次で降りて宿を探そう。夜も楽しませてね」
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